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ガン光治療 アメリカで効果確認

2017-10-27 10:41:50 | 健康・医療
アメリカラッシュ大学が実施した、光を当ててガンを破壊する新たなガン治療法の臨床試験の結果が発表されました。

この結果では頭頸部ガンの患者8人中7人でガンが縮小したようです。この結果を踏まえて日本でも今年中の治験開始を目指すとしています。これはガン光免疫治療とよばれ、米国国立衛生研究所(NIH)の日本人研究者が開発したものです。

ガン細胞だけがもつ細胞表面のタンパク質に結びつく性質がある「抗体」に、近赤外線を当てると化学反応を起こす化合物を付けた薬剤を患者に投与します。その後体外からや、内視鏡を使って近赤外線を患部に当てると、薬剤が結びついたガン細胞の細胞膜が破壊されます。

いわゆる抗体医薬は、ガン特異的な治療に使えるものとして、色々な抗ガン剤を結合させたりする試みが行われてきましたが、あまり有効という結果は出ていませんでした。

今回は抗体として上皮細胞増殖因子受容体という、いわばガン増殖のアクセル役になっているタンパク質に結合する抗体を作成し、これにフタロシアニンという化合物を結合させました。

まずシャーレ内でヒトのガン細胞で上記受容体を発現しているA431細胞にこの薬剤を加え、それに近赤外線を照射すると速やかにガン細胞が死滅することを確認しました。さらに動物実験としてA431細胞をマウスに移植し、同様にこの薬剤を注射し、近赤外線を照射してガンを縮小させる実験に成功しました。

近赤外線は比較的波長の短い赤外線で、ある程度ヒトなどの組織を通過し、体内に届く性質を持っています。またフタロシアニンは、この近赤外線が当たると化学反応を起こし発熱することが知られています。

またガン細胞の細胞膜が破壊されると、細胞の内容物が出てきますが、これは免疫細胞が外敵とみなして攻撃し、この内容物が付着したガン細胞も攻撃の対象となるようです。

今回の治験の目的は安全性確認が主で、手術や放射線治療、抗ガン剤などで治らなかった舌ガン、咽頭ガンなどの頭頚部ガン患者を対象としました。

薬剤量を絞り、光も1回だけ充てる治療を実施しました。9人の患者が参加し、途中で止めた1人を除く8人について1か月間経過を観察しました。その結果3人はガンが消滅し、治療後1年以上たった現在も生存しています。残りの4人はガンが小さくなり、1人はガンの大きさに変化がなく半年後に亡くなりました。

この治療自体による重い副作用は出なかったようです。研究グループは、今回は最低限の治療だったが、他に治療法がなかった3人の患者が完治したことは大きな成果であり、繰り返し光を当てたり薬剤を再度投与することで治療効果は改善できるとしています。

日本でも頭頸部ガン患者の治験を予定いるほか、他の部位のガンについても実施に向けた検討をしているようです。

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