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ストレスで白髪が増える理由解明

2020-02-19 10:58:42 | 自然
すごい恐怖体験やひどいストレスを感じたために髪の毛が一気に白髪になったという話を聞きます。

何百年前から伝わる都市伝説のような気もしますが、最近それが化学的に証明されました。

「突然白髪化」の歴史は古く、有名なのはフランス革命でギロチンにかけられた女王マリー・アントワネットで、1791年激化した革命運動は彼女にとってかなりのストレスだったようです。この年彼女は家族とフランス脱出を図り失敗しました。

その一晩で彼女の容姿はすっかり変わり、まだ35歳だったマリーの髪は70歳の女性のように白く変色したと記録されています。

極端な白髪化を記録した医学文献は意外と多く、2013年の研究論文によると、1800年以降で200件もの記録が発見されています。しかし突然白髪化の症例はかなり疑わしいとされ、中には自己免疫疾患の珍種で、円形脱毛症で黒髪が抜けて白髪が残った状態というような意見もあったようです。

これを科学的に探究したのがハーバード大学の研究チームで、2020年1月に幹細胞に注目した新たな研究結果を報告しました。幹細胞とはあらゆる細胞(発毛に関わるものも含む)に分化する能力のある万能細胞のことです。

研究に使われたのは黒毛のマウスで、様々な種類のストレス(体を拘束するなど)を与えた結果、ストレスのないマウスと比べて明らかに白髪が増加しました。その後免疫機能など白髪化と関連がありそうな要因をすべて探った結果、ある答えにたどり着きました。

免疫攻撃やコルチゾール値など、あるゆる可能性を調べた結果、その要因が闘争逃走反応を引き起こす交感神経系であることが分かりました。

交感神経は体の隅々に枝分かれする神経ネットワークで、ストレスに対する不随意反応(無意識に体が起こす反応)を司ります。これは頭皮も例外ではなく、毛を生成する毛包という組織もまた神経に包まれています。

毛包の内部には色素幹細胞と呼ばれる幹細胞があり、毛が再生する際にそれを着色する色素細胞(メラノサイト)に変化するようプログラムされています。

通常色素幹細胞は常に一定量貯蔵されて(老化によって徐々に減少する)いますが、ストレスを与えたマウスには、それが見られませんでした。ストレスが加わると交感神経がノルエピネフィリンという神経伝達物質を放出し、それを色素幹細胞が取り込んでしまいます。

すると色素幹細胞が活性化し、メラノサイトに変化します。本来ストックされている色素幹細胞の貯蔵がなくなり、その後に生える毛に色を付けるメラノサイトが生成されなくなります。

私のイメージでは、生えている黒髪も白くなってしまうような気がしていましたが、さすがにこれは都市伝説なのかもしれません。


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