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抗老化物質を女性に投与してみると

2021-05-20 10:23:23 | 健康・医療
老化細胞を除去すると老化が抑制されるという研究は非常に盛んで、このブログでも取り上げています。

しかし現在までマウスでの研究成果出ていますが、まだヒトでの臨床試験は実施されていませんでした。最近ワシントン大学の研究グループが、動物で老化を抑える効果が確認された物質をヒトに応用した研究結果を発表しました。

50〜70代の女性の筋肉で、血糖値を調整するインスリンの働きが改善されることが分かったとしています。この物質は「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」と呼ばれる薬剤で、体内に存在しブロッコリーや枝豆などにも含まれています。

このNMNは摂取されると体内でNAD(ニコチンアミド・ジヌクレオチド)に変化して補酵素として働くという説もあります。このNADが老化に関わる遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化します。

なおNAD自体はやや高分子ですので、吸収が悪くそれ自体は投与に向いていないようです。研究グループはこれまでNMNをマウスに1年間飲ませたところ、「中年太り」を抑え、老化に伴って起こる免疫や骨密度、目などの機能低下を防ぐ効果を確認していました。

NMNにはメスのマウスの糖尿病を改善する効果が高いことも確認していました。そこで肥満があり、糖尿病になる確率が高いとされる55〜75歳の閉経後の女性に研究に参加してもらい、13人にNMN、12人に偽薬を毎日10週間にわたって飲んでもらいました。

その結果NMNを飲んだ女性は、筋肉の細胞でインスリンの働きが25%も上昇しました。肥満があると血糖値を調整するインスリンの働きが悪くなり、糖尿病になりやすいことが知られています。

今回の研究で見られた改善は、体重70キロの人が努力して7キロ体重を落とす効果とほぼ同じとみられています。この実験でNMNに抗老化作用があるとは言えませんが、ある程度の良い効果が出たとは言えるような気がします。

問題はNMNが合成法や発酵法で比較的安価に製造できるため、すでに非常の多くのサプリメントとして販売されていることかもしれません。ある程度の安全性は確認されているはずですが、単なる健康食品としていわば野放しになっている状況です。

実際このNMNについては、否定的な意見を述べている(あまり科学的ではないような気がしますが)専門家もおり、もっとしっかりした検証が必要な感じがします。

今回の研究結果もサプリメントの販売業者の宣伝材料になりそうですが、科学的根拠としては人数も少なく、投与量もよくわかりませんので、あまり喜ぶべき結果とはなっていない気がします。


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