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腸内の「第2の脳」仕組みを解明

2018-07-02 10:13:38 | 自然
脊椎動物の腸の中には、脳と脊髄からなる中枢神経系から独立した腸管神経系があり、「第2の脳」とも呼ばれています。

最新の研究により、腸管神経系が排便を促進する仕組みが初めて解明されました。

腸管神経系(ENS)は、消化管壁の中に存在する神経ネットワークを指し、イギリスの生理学者が20世紀前半に自律神経系を交感神経系、副交感神経系、腸管神経系に分類するなど、その存在は早くから知られていました。

人間のENSは5億個のニューロンで構成されており、これは脳のニューロンの200分の1、脊髄のニューロンの5倍に相当するほど大きな神経系といえます。これまでENSが中枢神経系と連携して腸の働きを助けていることは知られていましたが、具体的な仕組みについては不明な部分がほとんどでした。

オーストラリアのフリンダース大学の研究チームは、マウスを使った実験でENSの働きを解明する研究成果を論文に発表しました。

論文によると、ENSが大腸の推進運動を促している事実はよく知られていましたが、大腸に神経性収縮を伝えるENSの発火パターンは未知のままだったようです。この発火パターンという意味がよく分かりませんが、おそらくニューロン間での伝達行動をこのような表現をしているのかもしれません。

この発火パターンを探るため、研究チームはニューロンの高解像度画像と電極を使ってマウスの大腸の平滑筋組織から電気信号を記録し、数百万もの細胞に関わるニューロン発火のリズミカルなパターンを発見しました。このパターンが腸内の筋収縮を促進し、体から排泄物を押し出していることを確認しました。

研究チームは、「消化管のユニークな特徴は、脳や脊髄から完全に独立して機能できる完結した神経系を持つ唯一の内臓である点」だとして、進化の観点からENSが「第1の脳」だとする研究もあると指摘しています。

私の感じとしては、腸の中にこれほど大きな神経系が存在することは知りませんでしたが、脳などの神経系から独立して働いているのであれば、単に消化管運動を促進するだけではなく、何かもっと別な働きがありそうな気もします。

本来脳の指令によって動かされても良いはずの腸管が、なぜ独立した神経系を維持しているのか生物の合理性からいえば何らかの必然性があったはずですので、こういった方面から面白い発見が出てきそうな気もしています。

研究チームは、今回の研究でENSにおけるニューロンの大規模集団が腸の収縮をもたらす仕組みが初めて解明されたとして、今後はこの成果が基礎となり、慢性の便秘などENSの機能不全による腸疾患の治療法が進歩する可能性があると述べています。

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