ごっとさんのブログ

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世界中で急激に進む少子化

2018-06-25 10:36:21 | 時事
日本では少子高齢化が問題といわれてかなり経っていますが、どうもこれは日本だけではなく世界的な傾向のようです。

合計特殊出生率とは、女性が生涯に産む子供の平均数を表します。これが2であれば、一人の女性が平均2人の子を産むことを意味しますので、若年死も考慮すると、人口を維持するためには、これが2を若干上回ることが必要となります。

世界銀行の統計によれば、2016年度の全世界の出生率は2.44であり、世界の人口は増加傾向にあると言えます。ただし1968年の出生率は4.92であり、半世紀で半減したことになります。

出生率は生活水準が向上すると減少する傾向を持ち、世界の先進国は軒並み2を下回っています。相対的に高いことで知られるフランスでも1.96で、アメリカは1.82、福祉国家として知られるスウェーデンでも1.85、イタリアは1.35と日本より低くなっています。

日本では少子化の原因を、新婚層の安定雇用や育児環境整備の不足に求める声も多く、優先的な対応が必要です。これが進めば先進国での上位の水準、出生率で言えば1.8程度まで改善するのは夢ではありません。

アジアの新興国を見ると、まず人口13億の大国である中国は1.62、経済発展の著しいシンガポールは日本を大きく下回る1.20、マレーシアは2.03、タイは1.48、理想的な人口ピラミッドを持つインドネシアで2.36、インドはそれより若干低い2.32となっています。

いずれの国でも出生率はこの50年間にほぼ半減しています。なぜこういった人口減少が進むかというと、もともと生活水準と産児数が負の相関を持つことは、人間の生物学的特性に基づく事実であると考えられます。

マウスなどの動物を、実験下で食糧不足の状態に置くと、多産化する傾向が認められます。栄養が十分とれる環境では少数の子を産み大切に育て、そうでなければなるべく多く生むことは、哺乳類の多くにとって種の存続のため合目的的な面があることは否めません。

これを裏付けるように、生活が豊かで安定化すれば少産化し、貧困状態にあれば多産になる傾向は、時代と地域を横断して広く人類社会にも見られます。飢餓の心配のないレベルになると少子化が進むという、世界各地で出生率が減少している根本的な要因といえます。

日本の少子高齢化の進行が速いのですが、韓国ほど劇的ではなく、中国との比較でもその速度は大差ありません。多くの国が遠くない将来少子化問題に直面します。日本が少子化に適応した社会政策を成功させれば、世界の模範となりうるでしょう。

とはいっても具体的な方策というのは、かなり難しい課題といわざるを得ません。


腸内の「第2の脳」仕組みを解明

2018-06-24 10:32:29 | 自然
脊椎動物の腸の中には、脳と脊髄からなる中枢神経系から独立した腸管神経系があり、「第2の脳」とも呼ばれています。

最新の研究により、腸管神経系が排便を促進する仕組みが初めて解明されました。

腸管神経系(ENS)は、消化管壁の中に存在する神経ネットワークを指し、イギリスの生理学者が20世紀前半に自律神経系を交感神経系、副交感神経系、腸管神経系に分類するなど、その存在は早くから知られていました。

人間のENSは5億個のニューロンで構成されており、これは脳のニューロンの200分の1、脊髄のニューロンの5倍に相当するほど大きな神経系といえます。これまでENSが中枢神経系と連携して腸の働きを助けていることは知られていましたが、具体的な仕組みについては不明な部分がほとんどでした。

オーストラリアのフリンダース大学の研究チームは、マウスを使った実験でENSの働きを解明する研究成果を論文に発表しました。

論文によると、ENSが大腸の推進運動を促している事実はよく知られていましたが、大腸に神経性収縮を伝えるENSの発火パターンは未知のままだったようです。この発火パターンという意味がよく分かりませんが、おそらくニューロン間での伝達行動をこのような表現をしているのかもしれません。

この発火パターンを探るため、研究チームはニューロンの高解像度画像と電極を使ってマウスの大腸の平滑筋組織から電気信号を記録し、数百万もの細胞に関わるニューロン発火のリズミカルなパターンを発見しました。このパターンが腸内の筋収縮を促進し、体から排泄物を押し出していることを確認しました。

研究チームは、「消化管のユニークな特徴は、脳や脊髄から完全に独立して機能できる完結した神経系を持つ唯一の内臓である点」だとして、進化の観点からENSが「第1の脳」だとする研究もあると指摘しています。

私の感じとしては、腸の中にこれほど大きな神経系が存在することは知りませんでしたが、脳などの神経系から独立して働いているのであれば、単に消化管運動を促進するだけではなく、何かもっと別な働きがありそうな気もします。

本来脳の指令によって動かされても良いはずの腸管が、なぜ独立した神経系を維持しているのか生物の合理性からいえば何らかの必然性があったはずですので、こういった方面から面白い発見が出てきそうな気もしています。

研究チームは、今回の研究でENSにおけるニューロンの大規模集団が腸の収縮をもたらす仕組みが初めて解明されたとして、今後はこの成果が基礎となり、慢性の便秘などENSの機能不全による腸疾患の治療法が進歩する可能性があると述べています。

医師がガンになったら

2018-06-23 10:26:05 | 健康・医療
ガンを治療することが専門の医師がガンになったら、どんな治療法を選択するのかというアンケート結果が掲載されました。

これは20代から60代までのガンの診療経験のある現役医師553人のアンケート結果です。治療法として手術、化学療法(抗ガン剤)、放射線治療、放射線と化学療法の併用などいろいろありますが、トップに来たのは意外にも心身の苦痛を和らげる緩和ケアでした。

特に膵臓ガンの場合は、その割合が56%と高くなていました。その理由として、「効く薬がないから」「痛いのはいや」「治療がしんどい」「現時点で有効な治療手段がない」「治る見込みないなら好きに過ごしたい」が上げられていました。

化学療法を選んだ人は16%で、「一度やってみて、副作用と効果を見たい」「劇的に効くこともある」「一応試して、そのあと健和ケア」といった意見でした。何と手術を選択した人は8%しかいませんでした。

この結果は私の経験とも一致するようです。私の友人のお父さんで親しくしていた医師の人が自分で肺ガンを見つけました。この発見時が何期だったのかはよくわかりませんが、その先生も緩和ケアを選択しました。

手術を含めた一切の治療をせず、痛みなどだけを取り除き元気なようでしたが、発見後2年ほどで60代で亡くなりました。当時は取り除くには大掛かりな開胸手術が必要で、現在のような内視鏡手術などがあればまた違っていたのかもしれません。

さてアンケートですが、医師たちに特にかかりたくないガンを尋ねたところ、3期や4期では膵臓ガンを筆頭に、肺ガン、食道ガン、咽頭ガン、脳腫瘍などが続いていました。

こういったガンは予後が悪い、治療が難しい、痛みなどの症状の負担が大きい、罹患や治療の過程で機能の損失や見た目の問題がある等、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を損なうと言われているガンが上位に来ているようです。

膵臓ガンは、早期発見が難しく予後が悪いという声が極めて多く、心的ダメージの言及もみられました。肺ガンでは呼吸困難、食道ガンや咽頭ガンには食事や発声ができなくなる恐れなど、ADLやQOLのリスクを指摘する声が多いようです。

3期、4期のガンと診断された場合に選択する治療法は、前述のようにすべてのガンで「緩和ケア」が最も多く挙がっています。

4期は多臓器転移のある状態で、医師ならば4期のガンの5年生存率の低さも認識しています。積極的な治療をするより、痛みなどの症状を和らげてQOLを優先したいということで、知識がある分一般人より諦めが早いのかもしれません。

私ももともとガンになっても緩和ケアだけにしようと考えていましたが、このあたりがガン治療の大きな問題点かもしれません。


ウインブルドン前哨戦面白い経過

2018-06-22 10:32:22 | テニス
芝のグランドスラムであるウインブルドンテニスが来月開催されますが、先週からその前哨戦である芝のコートでの大会が色々開催されています。

今週の大会では男子がドイツのハレでゲーリーウエバーオープン(ATP-500)が行われ錦織と杉田が出場しています。女子はイギリスのバーミンガムでネイチャーバレークラシックが行われており、大坂なおみが出場しています。

大坂はこの前の大会でもベスト4に進出し、大いに期待していました。こういったヨーロッパでの試合は日本時間の8時から10時ぐらいになりますので、ライブをゆっくりと見ることができます。

大坂の1回戦はイギリスの下位の選手とあたり、相変わらず鋭いショットと早いサーブで終始主導権を握り、6-1、6-2と危なげなく勝ち上がりました。大坂は前の大会で芝にも慣れており、特に問題はなさそうでした。

2回戦もスロベニアの予選勝ち上がりの選手でしたので、安心して見ていたのですが、どうも動きが悪いのです。得意のサーブもあまり入らず、普段なら取れそうなショットも対応できていませんでした。おかしいと思っているうちに1セットを3-6で取られてしまいました。

このセット間で大坂はトレーナーを呼び、横になって何か話していましたが、そのまま棄権してしまいました。どこが悪かったのかよく分かりませんが、前週の疲れが出てしまったのかもしれません。

さて錦織の1回戦は地元ドイツの選手でしたが、錦織はこれが芝の初戦ですのでやや心配していました。それでもややもつれましたが6-3、7-6とストレートで勝ち上がりました。

2回戦はロシアの若手のハチャノフで、伸び盛りというやや厄介な相手でした。ところが錦織が何かおかしく、ショットに切れがない以上にミスが多いのです。こんなにエラーの多い錦織はあまり見たことがなかったのですが、2-6、2-6とあっけなく負けてしまいました。

もう一人の杉田は最後のほうに組まれていましたので夜中になり見ていないのですが、このところ1回戦敗退が続いており、好きな芝コートで頑張れと思っていました。1回戦はドイツの同じぐらいのランクの選手で、フルセットともつれましたがなんとか2時間以上の試合を勝ち抜き、やっと連敗を脱出しました。

2回戦は全仏オープン準優勝のティエムでこの大会でも優勝候補となっていますので、勝つことは無理だろうとみていませんでした。ところが朝起きて結果を見るとなんと6-2、7-5で勝っているのです。本当にテニスはわからないものですが、杉田にとっては大金星です。

幸いWOWOWのオンデマンドでこの試合を見ることができますので、これからゆっくり見るつもりです。杉田がこのあとどこまで勝ち上がるか楽しみにしています。

インフルエンザ侵入の鍵となるタンパク質を発見

2018-06-21 10:31:46 | 健康・医療
北海道大学の研究グループが、インフルエンザウイルスが体内に侵入して感染するプロセスの鍵となるタンパク質を発見したと発表しました。

一般によく使われている高血圧治療薬が感染防止の特効薬になる可能性があるとしています。

インフルエンザの感染は細胞にウイルスが侵入することから始まりますが、詳しい侵入プロセスはわかっていませんでした。ウイルスは外套膜と呼ばれるタンパク質の表面にカギとなるタンパク質がついており、それがカギ穴となる細胞表面の受容体に結合してから感染するとされています。

この受容体については、40年以上に及ぶ研究でも受容体タンパク質は特定されていませんでした。研究グループは、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇することが、インフルエンザウイルスの侵入に重要であることをすでに明らかにしていました。

カルシウムイオンはカルシウムの原子がプラスの電荷を帯びたもので、濃度はカルシウムイオンが細胞外から細胞内に流入して上昇することが分かっています。

今回研究グループは新たな研究と解析を続け、カルシウムイオン濃度を制御する「カルシウムチャンネル」と呼ばれるタンパク質が、インフルエンザウイルス感染の鍵となる受容体タンパク質であることを突き止めました。

このカルシウムチャンネルは主に細胞膜に存在し、高血圧とも関係しています。その働きを阻害する薬は、「カルシウムチャンネルブロッカー」と呼ばれて広く高血圧の治療に用いられています。この薬は一般にジヒドロピリジン系と呼ばれ、色々な代謝などに影響されないことが特徴で、アダラートやペルジピンなど多くの薬が上市されています。

研究グループは、このカルシウムチャンネルブロッカーが感染予防の働きをするのではないかと考え、このブロッカーを投与したマウスと投与しないマウスそれぞれのグループに分けて、インフルエンザウイルスを感染させる実験を行いました。

結果は投与しなかったマウスはいずれもウイルス感染して体重が減少し4日で死亡しました。一方投与したマウスの体重は一度減少したものの、その後健康な状態に戻りました。この結果から研究グループは、カルシウムチャンネルブロッカーが実際にインフルエンザウイルス感染を抑えることを確認できたとしています。

これで高血圧治療薬としてよく使われている薬剤が、感染防止の特効薬になる可能性を期待しているようです。

これによると高血圧でジヒドロピリジン系の薬剤などを服用している人は、インフルエンザにかからないということになりますが、果たしてどうなのでしょうか。あまりそういう話は気が付かないのかもしれません。