九州大学や早稲田大学、東京工業大学などの研究チームは、マウスの骨格筋の再生促進に必要となる新しいタンパク質を発見したと発表しました。
今回発見し機能を解析したタンパク質は、ヒストンタンパク質と呼ばれるものの一種で、これは遺伝情報が記された全長2メートルにおよぶ糸状のDNAを、数ミクロン以下の細胞核内に効率よく格納するための糸巻きとして機能しています。
こう書くと簡単なことのような感じになりますし、教科書などでは非常に長いDNAがうまくヒストンを利用しながらくるくると縮んで、最終的には染色体という形で核内に収まるとしています。こういったDNAという巨大分子が、うまく畳み込まれるというのはすごいメカニズムだと思っています。
研究チームはこのヒストンの亜種を発見していましたが、その機能についてはわかりませんでした。ヒストン亜種は、主要なヒストンと類似性が高く、区別が困難であったことから、その存在が見過ごされていました。
今回これらのヒストン亜種のうち、マウスの筋肉(骨格筋)中にわずかに存在する筋幹細胞に多く含まれる「H3mm7」が、筋肉の再生に重要であることが分かりました。
骨格筋がヘビ毒などで損傷した場合、骨格筋細胞が筋肉の再生に必要な遺伝子の発現を上昇させ、筋組織へと分化することで修復(再生)します。このように短時間に筋肉を再生することで、筋肉の恒常性が保たれています。
しかしH3mm7遺伝子を欠損させたマウスでは、筋幹細胞の数は変化しないにもかかわらず、筋再生に必要な遺伝子の発現が促進されず、不完全な骨格筋再生が起こって損傷後の筋肉の再生が遅延していました。
その後の解析で、ヒストンH3mm7は筋幹細胞内でDNAを緩めて、細胞内の遺伝子を働きやすくする作用があることが明らかになりました。やはりDNAの糸巻きとして機能しているヒストンですので、硬く巻き込まれているDNAを緩めるというのは面白い作用のような気がします。
今回の成果は、ヒストン亜種が人体を形成する細胞や組織の恒常性を維持する機能を持つ可能性を示唆しています。今後、筋再生などの機能破綻によって引き起こされる疾患の発見や治療法の開発、再生医療への応用が期待されています。
今回の研究のように新しいタンパク質を発見すると、速やかにそのコードする遺伝子を特定し、欠損マウスを作成するという研究の流れは本当に簡単な操作になってきているようです。
今回発見し機能を解析したタンパク質は、ヒストンタンパク質と呼ばれるものの一種で、これは遺伝情報が記された全長2メートルにおよぶ糸状のDNAを、数ミクロン以下の細胞核内に効率よく格納するための糸巻きとして機能しています。
こう書くと簡単なことのような感じになりますし、教科書などでは非常に長いDNAがうまくヒストンを利用しながらくるくると縮んで、最終的には染色体という形で核内に収まるとしています。こういったDNAという巨大分子が、うまく畳み込まれるというのはすごいメカニズムだと思っています。
研究チームはこのヒストンの亜種を発見していましたが、その機能についてはわかりませんでした。ヒストン亜種は、主要なヒストンと類似性が高く、区別が困難であったことから、その存在が見過ごされていました。
今回これらのヒストン亜種のうち、マウスの筋肉(骨格筋)中にわずかに存在する筋幹細胞に多く含まれる「H3mm7」が、筋肉の再生に重要であることが分かりました。
骨格筋がヘビ毒などで損傷した場合、骨格筋細胞が筋肉の再生に必要な遺伝子の発現を上昇させ、筋組織へと分化することで修復(再生)します。このように短時間に筋肉を再生することで、筋肉の恒常性が保たれています。
しかしH3mm7遺伝子を欠損させたマウスでは、筋幹細胞の数は変化しないにもかかわらず、筋再生に必要な遺伝子の発現が促進されず、不完全な骨格筋再生が起こって損傷後の筋肉の再生が遅延していました。
その後の解析で、ヒストンH3mm7は筋幹細胞内でDNAを緩めて、細胞内の遺伝子を働きやすくする作用があることが明らかになりました。やはりDNAの糸巻きとして機能しているヒストンですので、硬く巻き込まれているDNAを緩めるというのは面白い作用のような気がします。
今回の成果は、ヒストン亜種が人体を形成する細胞や組織の恒常性を維持する機能を持つ可能性を示唆しています。今後、筋再生などの機能破綻によって引き起こされる疾患の発見や治療法の開発、再生医療への応用が期待されています。
今回の研究のように新しいタンパク質を発見すると、速やかにそのコードする遺伝子を特定し、欠損マウスを作成するという研究の流れは本当に簡単な操作になってきているようです。