kimitsuku独り言

日々の暮らしから感じたあれこれを
ひとりブツブツ独り言

嘘も方便…

2010年09月06日 | 日記
         
 今月も介護技術講習会が始まりました。介護の国家資格を取得するための
講習会で、コミュニケーション=人間関係の基本である相互理解と意思疎通に
ついて講義しているうち、『嘘も方便』の話になりました。
 高齢者介護に携わっていると様々な場面があり、頑固一徹がんとして介護や
医療を拒否する方も少なくありません。私が以前に勤務していた施設のMさんが
丁度そんな方でした。
Mさんは若い頃に妻に死なれ、男手一つで息子さんを育て上げた立派な父親です。
妻を若死にさせたことが原因してか、看護師の言うことを聞こうとしません。
血液検査のため採血しようとしても、「バカヤロ--」と罵倒し、拳を振り上げるやら
蹴飛ばそうとするやら、悪態の限りを尽くすのが常でした。
そんな時は私の出番。Mさんの弱点は優しい息子さんの話と、知っているからです。
「Mさんは随分と苦労して息子さんを育てたんだってねぇ、息子さんが話してくれたよ。
若い時に無理して働いたから、親父(Mさん)は腰が悪いんだ。もし腰が痛くなった時は
どんな高い薬でも注射でもしてやって欲しい…と、私、息子さんに頼まれているの。
Mさん、どうなの、腰は痛くない?、良く効く注射があるから打って貰おうか?…」。
「そうか、あいつはそんなこと頼んでいたのか。今ちょっと腰が痛いんだよなぁ」。
「じゃぁ、すぐ頼んで来るからね。息子さんも安心すると思うよ」。
これにて一件落着です。
『嘘も方便』とか。高齢者の心の琴線を揺さぶり、つつがなく業務を遂行する。
これこそプロフェッショナルの仕事でしょう。
コメント (2)
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