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今は遠い青春時代を振り返って思い出す一冊、『悲しみよ こんにちは』。
書いたのはフランソワーズ・サガン、まだ18歳のフランス少女だった。
私がこの本に出逢ったのは高校生の頃で、作者があまり自分と年の違わない
少女であることに驚いた。主人公のフランス・ブルジョア家庭に育った少女の
傲慢で奔放な生き方を読み、真面目な高校生活
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酷くつまらなく思えた。最初の書評では作者は別人だろう、18歳の少女に書ける
小説ではない…みたいなことだった。早熟で多感な才能があったのだろう。
朝吹登水子の名訳で、フランス少女の若さと気だるさが同居した日々、父の愛を
独占したいがため父の恋人を死に至らしめる画策、その後の空虚な心理状態など
些か文学少女だった当時の私に、ぴったり寄り添う青春の一冊だった。
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1954年『悲しみよ こんにちは』出版当時の、フランソワーズ・サガンの写真も素敵で
いつも物憂げに遠くを見やる視線で写っていた。
小説は世界的ベストセラーになって、1957年にジーン・セバーグ主演で映画化された。
ヒロイン少女セシルの髪型はサガンのショートカットそのまま、その後『セシルカット』が
世界中で流行した程。実は私も真似たことがあったけれど、いまいち…
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『ある微笑』や『ブラームスはお好き』など次々と話題作を発表する傍ら、自由奔放な
私生活も時折り耳目を集めていたらしく、自動車事故を起こしたニュースも伝わってきた。
22歳で書いた『ブラームスはお好き』は、パリを舞台に男女3人の恋愛模様を描いた小説。
その後1961年『さよならを もう一度』という映画になり、E・バーグマンとE・モンタンの共演
そしてA・パーキンスの豪華配役で評判になった。少し前にBSで再放送され、懐かしさで
胸キューン&瞳ウルウル。次第にサガンの名は聞かなくなり、2004年9月24日、心臓病で
逝去したとニュースで知った。69年の生涯だった。
サガンの処女作『悲しみよ こんにちは』は、ポール・エリュアールの詩から採られたそう。
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天井の線の中にも お前は刻み込まれている
私の愛する瞳の中にも お前は記されている
お前は惨めさとは どこか違っている
何故なら この上なく貧しい唇でも
微笑ひとつで お前を現わすのだから
悲しみよ こんにちは…
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