kimitsuku独り言

日々の暮らしから感じたあれこれを
ひとりブツブツ独り言

撰ばれてあることの恍惚と不安と

2010年12月12日 | 日記
        
 上の写真は、青森県五所川原市の芦野公園に建つ太宰治の文学碑。
かつて太宰文学のファンだった私は、この芦野公園を訪ねたことがある。
『撰ばれてあることの恍惚と不安と二つ我にあり』と、書かれていた。
原文はフランスの詩人ヴェルレーヌの詩だが、太宰は感じるものがあり
故郷の記念碑に刻んだ。かなり自意識が強かった太宰だから、青森の
旧家に生まれた境遇を、ヴェルレーヌの詩に重ねたのかも知れない。
確かに恵まれた境遇に生まれた者には、豊かな暮らしが出来る歓びと、
皆の期待に背いてはいけないと思う重圧を、併せ持っているものだろう。
太宰が、あのような生き方をせざるを得なかったのは分からぬでも無い。
       
 このところマスコミを賑わせている市川海老蔵も、『撰ばれた人』であろう。
歌舞伎の名門・成田屋の嫡男に生まれた時から、大変な重責を担っていた。
幼い頃から人々の注目を浴び、厳しい稽古に鍛えられ、仮にその代償として
甘やかされて世間知らずの傲慢な人間に育った…としても無理は無い。
歌舞伎社会では将来を嘱望される『天下の海老蔵』も、誰もがそれを認める
訳ではない。今回の騒動は一方的に海老蔵の不利益、争って勝ったところで
ナンボのものでも無い。
 これ以上、成田屋の看板に傷をつけることの無いよう願うばかりである。
コメント (2)
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