チュニジアから火がついた中東の反政府運動。エジプトでも30年間
政権を握っていたムバラク大統領が辞任して、現在はイラン・リビアに
飛び火したよう。民主化を求める国民運動がアラブ世界を変えようと
している。昨夜のNHKラジオ深夜便:ワールドネットワークは、エジプト
カイロ在住の中野真由美さん。18日間の『エジプト革命』の裏側を報告
していた。TV報道されたタウリール広場の激しいデモは、最初の3日間
そして駱駝に乗った大統領支持派が睨み合った2日間だけで、あとは
平穏な様子だったとのこと。中野さんも広場で友人とデモに参加したが、
身の危険は感じなかったと言う。面白かったのはプラカードに書かれた
エジプト人らしい、ユーモラスなスローガンやシュプレヒコール。
一例として挙げていた「空軍出身のムバラクよ、飛行機の準備は出来た。
今すぐ操縦桿を握って出発しなさい。さようなら」。
「エジプトは今、産みの苦しみを味わっている。もう間もなく新しい命が
誕生するだろう。子供の名前は、“希望”と決まっている」。
女性たちは唇と舌を震わせて歓びを表現し、リズミカルなアラビア語で
シュプレヒコールを叫び続けていた。広場に集まった人々は整然として
おり清掃もきちんと行なわれ、多分TVでは激しい場面ばかり報道され
ただろうが、実はちょっと違っていたのだとのレポートだった。
確かに報道する側は、どうしてもセンセーショナルな映像を欲しがるし
甚だしい場合には、最初からシナリオめいたものが存在していたりする。
最近のNHKTVでも参加者から苦情が出ているし、以前に私も新聞社の
取材を受けた際、返答を誘導される雰囲気を感じたりした経験がある。
一方的な報道に惑わされず、ニュースの裏側にも注意を払わなくちゃ…、
中野さんのエジプトレポートから、そんなことを考えさせられた。
八百長は相撲界ばかりじゃ無いってこと…、ご用心ご用心。