内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

パリの日本哲学研究会

2016-05-24 01:34:00 | 雑感

 先週土曜日は、パリのイナルコでの日本哲学研究会に参加した。
 朝、そろそろストラスブール中央駅に路面電車で向かおうと、ネットで時刻表を確認しようとしたら、「該当する電車はありません」との表示。嫌な予感がして、少し早め目に家を出て、自宅から最寄りの駅まで行くと、案の定、「本日ストライキのため、電車運行時間が大幅に乱れている」との電光掲示。いつ次の電車が来るかわからない。TGVの出発時間までまだ一時間以上ある。ストラスブール中央駅まで歩いて歩けないことはない。すぐに意を決して線路沿いに歩いて駅に向かう。途中停車駅の脇を通過するたびに電光掲示板を見て次の電車がいつ来るか確認するが、待っていて時間通り来る保証はない。
 四十分くらい歩いて、市の中心街の停車駅 Homme de fer まで来たところで、ちょうど中央駅を通るA線が来たのでそれに乗る。結果としては、TGV出発二十分以上前に駅に着くことができた。でも、背中は汗びっしょり。
 研究会前に予定されていた発表者二人と私も含めた研究会責任者三人との昼食時間までに少し時間があったので、ノートルダム寺院の周りを少し歩いて写真を撮る。初夏の汗ばむような陽気だったので観光客も多かった。フランス語以外の言語を話している人たちが圧倒的多数であった。
 二つの発表は、それぞれ道元の「思量不思量」と大森荘蔵の『物と心』について。前者の発表者は、この二月に、道元とストア派の比較研究で博士号を取得したばかりのルーマニア出身のオルレアンのリセの哲学教師。後者のそれは、ブリュクセル自由大学で大森荘蔵についての博士論文を準備しているベルギー人学生。来年(あるいは再来年)に予定されている彼の博士論文の審査には私も審査員として参加する予定になっている。どちらも発表内容が面白く、発表後の質疑応答も活発で、いい会になったと思う。
 会後、他の三人の出席者とイナルコのすぐ脇のカフェで一時間ほど歓談。
 最終のTGVでストラスブールに戻る。ストラスブールの路面電車については、ストライキによるダイヤの乱れは午後六時には収束すると今朝電光表示があったから、まあ夜は平常ダイヤに戻っているのだろうと思いつつ、一応TGVの車中からスマートフォンで時刻表をチェックすると、午後九時半以降が空欄になっていて、何度検索をかけても同じ結果。これはその時間以降もう路面電車はないということである。通常は午前零時半が最終電車なのだが。やれやれ、駅から自宅まで一時間近くかけて徒歩で帰らなくてはならないのか。一瞬タクシーにしようかと思ったが、ストライキのせいでこっちが余計に払わされるのは業腹だし、よく晴れて穏やかな宵の風が吹いているから、散歩のつもりで歩いて帰ることにする。下に貼った写真は、その帰りに道に歩きながら撮ったストラスブール市内の月下の風景である。