ILFI の第一部「物理的個体化」第二章「形とエネルギー」の最終頁を今日から読んでいく。
そこに出てくる 「非連続なもの」(« discontinu ») と 「連続的なもの」(« continu ») との関係は、シモンドンの個体化論を理解する上で一つの重要なポイントになる。ところが、私には十分にそれが理解できているという自信がない。シモンドンの他の著作や参考文献を参照している時間的余裕も今はない。だから、今日から同章最終頁について記すことは、原文の当該箇所を日本語でおよそなぞってみる以上のことではない。
同章の最終節では、様々な物理化学的現象において個体が成立してくる過程を物理レベルにおける個体化の具体例として考察することを通じて、個体成立以前の不定形な状態のままの分子量を「非連続なもの」、個体が形成され始めて分子の集合に一定の構造が観察可能になった状態を「連続的なもの」として、両者の区別と関係が特に検討されてきた。それを踏まえて、この章の結論として、まず以下のように述べられている。
En continuant dans cette voie, nous trouverions que l’aspect de continuité peut se présenter comme un cas particulier de la réalité discontinue, tandis que la réciproque de cette proposition n’est pas vraie. Le discontinu est premier par rapport au continu. C’est pour cette raison que l’étude de l’individuation, saisissant le discontinu en tant que discontinu, possède une valeur épistémologique et ontologique très grande : elle nous invite à nous demander comment s’accomplit l’ontogénèse, à partir d’un système comportant potentiels énergétiques et germes structuraux ; ce n’est pas d’une substance mais d’un système qu’il y a individuation, et c’est cette individuation qui engendre ce qu’on nomme une substance, à partir d’une singularité initiale (p. 97).
それまで論じてきたところから、「連続面は、非連続的な現実のある特殊な場合である」という命題が導き出されうる。ところが、その換位命題、つまり、「非連続な現実は、連続面のある特殊な場合である」という命題は真ではない。非連続なものが連続的なものに先立つからである。それゆえに、個体化研究は、非連続を非連続として把握することによって、認識論的・存在論的にきわめて大きな価値を有している。個体化研究は、エネルギーとしての潜在性と構造の萌芽とを内包をしたシステムから出発して、個体発生がいかに実現されるかを問うようにと私たちを導く。個体化は、一つの実体において起こることではなく、一つのシステムの出来事である。この個体化こそが、初発の特異性からいわゆる実体を産出する。