内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

動物を起動性のある植物と考える ― ジルベール・シモンドンを読む(77)

2016-05-21 06:05:34 | 哲学

 動物的個体化は、ある意味で、植物的個体化よりも複雑なものとして考えることができる。しかし、逆に、動物を「起動的な植物」(« végétal inchoatif »)として考えることもできる。その場合、動物は、植物の再生時に現われる諸々の可能性 ― 運動性、受容性、反応性 ― などを保持したまま、自己発展・自己組織化するものということになる。
 生命的個体化は、物理的個体化のもっとも早期の段階の相を保持・拡張する、と考えてみよう。そうすると、生きているものは、物理的なものに属し、その速度が弛められ、無限に拡張されつつあるものだということになる。
 このように考えると、動物的個体化とは、植物的個体化のもっとも早期の段階にある状態から食物を摂取し、成熟した植物に成る以前の段階にある何ものかを己の内に保ち、とりわけ、植物相においてよりもより長い時間に渡って、「個体形成に必要なものを受け取る能力」(« la capacité de recevoir de l’information »)を保持することだとも考えられる。