今、大量のヴァイオリンの弓の製材にかかっています。
フェルナンブーコですね。綺麗な黄色です。
この黄色が次第に赤い色に変わっていきます。その色の変化はまた今度、綺麗ですよ。
これはヴァイオリンの弓と二胡の弓です。
二胡の弓は長いと思っていらっしゃる方も多いようですが、弾く毛の長さというのはほとんど同じなのです。
大体64センチ。
二胡の弓は持ち手の部分があってその分7センチほど全体としては長いのです。
弓毛も似たように見えますが、決定的な違いは、二胡の弓毛は、弓魚の部分の方に馬毛の先端があります。
ヴァイオリンは反対なのですね。フロッグ(弓魚)の方に馬毛の元があります。
弓毛を張る時には、二胡の場合は先端に馬毛の元を固定して、それから弓魚の方へ向かって整えていきます。
ヴァイオリンは、フロッグの方にまず固定してそれから先端にしごいていきます。
馬毛の元から先端に向かって整えていくのです。
まあ、長い髪の女性も同じですよね。
何故こうするのかというのが分かりません。
ただ言えるのは、馬毛を手で扱いていく時、元の方から扱いていくと、とても抵抗がなく指先に違和感がありません。
ところが、馬毛を先端から元に手で扱いていくと、微かにですが、抵抗があります。
これは馬毛のキューティクルが鱗状になっていて、逆目になるのでしょうね。
弓毛に松脂を塗る時にも、二胡の場合手元から塗ると松脂の付きが良いです。ヴァイオリンの弓は反対です。(これは光舜松脂の時には感じます)
二胡の弓は引くときに(ダウンボウ)引っ掛かりが良く、ヴァイオリンは押す時(アップボウ)の時に引っ掛かりが良いです。
だからかもしれません、音の頭出しを良くしたい時、ヴァイオリンはアップから入りますし、二胡はダウンから入ります。
日本の鋸は引くものですが、西欧や中国では押しますね。
こんなところにもそのような違いが出ているのか??
あるいはまた他の理由があるのか?
ヴァイオリンの弓、作りながら考えてみます。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ