豊かな音色!芳醇な音色!妙なる音色!深い音色!暗い音色!明るい音色!書けばきりがないほど音色の表現はあります。
しかし、どれをとっても実際の音色は聞こえてこないです。
自分の中のイメージだけですし、これらの言葉ではイメージも沸いてきませんね。
カンディンスキーは色を楽器の音になぞらえています。
深い青はチェロの音色!
明るい青はフルートの音色!
自信ピアノもチェロも弾きなおかつ彩の豊かな抽象画を創始した人だからかもしれません。
先日来50年前にはなくなったヴァイオリン用の松脂の「缶ベル」をモデルにしていくつもの実験をしました。
その時に触媒を変えるごとに、そしてその濃度を変えるごとに音色が、それこそ極端に言うと弓を変えた?楽器を替えた?と思われるほど音色の違うものが出来てきたのです。
明らかに違ってしまうのです。
確かに、松脂を変えると随分違った印象の音色にはなりますが、楽器が違うのと思えるほどには普通はなりません。
響きが明るくなったかな???少し重い響き。
どちらかというと響きや、特にグリップ感の違いが出る方に、人は興味を示しますし、音の大きさ、弓の操作性の方は松脂の評価をするときに必ず出てくる言葉です。
しかし、音色の方は、明るい、強い、豊かな程度ですね。
以前「缶ベル」は複雑な音色と書いたことがあります、しかしそれではわかりませんね。
音色には味もあり香りもあります!
「缶ベル」はワインの味と香り。それも赤ワインでしょうか。
その「缶ベル」をモデルとした一連の光舜松脂の中には、シードルの様な爽やかな味わいの物もあます。
中にはブラックベルベットの様な素朴さと芳醇なシャンパンのかをりを持つものも出来上がりつつあります。
同じヴァイオリンでなおかつ同じ弓でそれだけ味わいの違いが出てくるのです。
たぶん天然に熟成された松脂は地中で長い間眠っている間に、その環境と時間によって、まさに熟成されてきているのでしょう。
その環境の違いが、様々に変化していたはずなのです。
ヴァイオリン用の松脂は単に音を作り出し、弓の操作性を左右するだけではないと思います。
そうでなくとも皆さんのヴァイオリンは、あるいは二胡はそれぞれの音を持っているはずなのです。その音を一番活かしてくれる音色もあるのではないかと思うのです。
今、ヴァイオリンの実験ではほぉさんの残してくれた80年前のヴァイオリンと私の作ったかなり強い性格のジリコテの裏板を持つヴァイオリンで弾き比べています。
ほぉさんのヴァイオリンは、いかにドイツ製の音色を響かせるのですが、どうしても高音域になると少し軽いのです。
どちらかというと黒ビールの味わいなのですが、それが今回の実験で作りだした「M」という松脂を塗るとそれこそそのビールにシャンパンをカクテルしたブラックベルベットの味わいになったのです。
その内皆さんにも、キャンテイの赤ワインの味がする光舜松脂も味わっていただけるのではと考えています。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ