光舜堂の松脂は数十年天然に熟成された松脂をモデルとしています。
その天然熟成の松脂は最初は弦堂さんに見せてもらったものでした、二胡用の松脂に作って10ケ作るくらいの量でした。
ところが最近その松脂を手に入れようとすると、ガムロジンと言われる普通に発売されている10種類くらいに精錬選別されたものきりありません。
光舜堂はこのガムロジンを使って天然熟成の松脂同じものを作り出しているのです。
いわゆる地中に埋まって熟成された松脂ではなく、木から、搾り取られたものでそれを蒸留してオイル分を抜き、その精度で等級をつけています。
そのままでは、擦弦楽器の弓に、全くではないですが使いにくいものです。
たぶん昔も木からとってそのまま弓に使ったものとは思えません。
やはり地面に埋まって数十年も経った松脂を使っていたのでしょうね。
その天然松脂思わぬところから手に入りました。
まさか自分で掘って来たのではないのですが知り合いにお願いして、中国の松脂をそれも老松脂と言われる、要するに天然熟成されたものです。
また別口で日本でも手に入れることができたのです。
考えてみたのです。江戸時代松脂はどうしていたのだろう?
胡弓は昔から弓で弾かれていたのでしょう。
という事は松脂があったのでしょう。
彫金で松脂は使いますし、鋳金でも松脂は使います。
たぶんその他お香としても、あるいは単なる火としても使われていたのだと思います。幸いにも周りに工芸家が沢山いますので、松脂を使っている人も多いのです。
特に鋳金の人は原型を作る時に松脂を使います。
蝋と混ぜて形を作ります。
その時には粒子が細かければ細かいほど良いのだそうで、天然熟成の物を使っていたようです。
ようです、というのは最近はほとんど入ってこない、入ってきても
このくらいの感じの物だそうで、
これは中国でも今は同じくらいなものが発売されているそうです。
おおよそ10年物といわれ、
このように黒くなったものはほとんどとれないそうです。
この黒くなったのは大変粒子も細かく10年物と言われるものは粒子の大きさがまだバラバラで、硬いところもあれば柔らかいところもあり質が一定していないので鋳金の型を作るのには向いていないのだそうです。
当然、二胡やヴァイオリンの弓につける松脂としても、ばらつきは困りますね。
そこで、光舜松脂を見せたところ、
「これ何処で手に入れたの?!!」
そこで実は最近は松脂屋になっている話をしました。
60種類くらいもテストでいろいろ造って来たのですから廃棄するものも沢山あり、それを試しに渡しました。
結果は「最高だよ!」とのことでした。
最近中国から仕入れたものには真黒でこれはよさそうと思って使ってみたら,溶かすと、中から色素(多分カーボン)が出て来たりもしたそうです、そこで光舜松脂の欠片をたくさん持っていったのです。
最初に弦堂さんに見せていただいたそしてほぉさんが精錬したものは本当に良かったですね。
天然熟成の松脂は当たると本当に素晴らしいものもありますが、、、、
1キロくらいあってもその中で一つ、二つでしょう。何しろ精錬されていないですから。
金沢の孟さんに聞いたり、横浜の中華街にいる友人に聞いたり様々手に入れようとはしていますが、入るのはほんとに1キロもないくらいな量が集まるだけです。
これらの天然熟成の物再度いろいろ調べてみようと思っています。
なにしろほぉさんが残してくれていた、前の松脂があって初めて出来上がった光舜松脂です。
作るうちに次第に進化安定してきたとはいえ、天然に松脂が熟成するのはその進化の過程は、分かり切れないです。かえって今の10年物といわれるような松脂が、その成熟過程を示してくれるのでこれは一つの研究テーマになるのではと考えています。
もしかしたらその研究が進めばさらに良い光舜松脂が出来上がるのではないかと期待もしていますが、それはネオちゃんの時代でしょうか。
松脂工房光舜堂
西野和宏&ほぉ・ネオ