二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

良い二胡、良い楽器、その1

2012-01-23 09:33:01 | ■工房便り 総合 
以前、それこそ40年ほど前に、チェロを買おうとして、先生に相談した事が有ります。予算があるとはいえやはりその中でも良い物欲しいというのは、働きながら学校出た実としては、かなり切実な問題でしたから。

良い楽器の条件は?

まず、

① 弾きやすいこと。

② 音が大きいこと。

③ 全音が綺麗に出ること。

と言うお話でした。これはどんな楽器でも同じ事が言えると思います。



二胡に関して言うと、これらに追加して、

④ 小さな音でもしっかり出ること。

⑤ 二胡独特の掠れる音がでること。

そして、これはチェロでも同じ事が言えますが、

⑥ 遠鳴りがする事。

この最後の⑥、遠鳴りがするというのは他の弦楽器では、プロユースと言う意味が強いのですが、二胡の場合、そうでなくとも他の弦楽器などに比べて小さめです。

多分バイオリン1台に対して、二胡4台ぐらいは必要なのではないでしょうか?

バイオリンの音は、普通でも1500人ぐらいの会場ならちゃんと届きます。

しかし、二胡の場合、せいぜい350人ぐらいではないでしょうか?

これもホールの形によっては、相当力のある人が、北京系の楽器の良い物を弾いた場合と言う感じです。

先年、チョウカイビン先生が、上野の文化会館小ホールで弾かれた時、PA無しで、ピアノ伴奏で、多分400人を越える聴衆の方の前で弾かれたのを聞きました。

流石に力のある方ですから、かなり後ろの方まで、音は通ってはいましたが、ホール自体の形が、扇型のせいでしょうか、ある地点でいきなり音が落ちると言うのを、実感しました。

それでも先生だからこそ、400人を越える方に音を届かせたのだと思います。

人の体は、衣服も含めて、とても音を吸収してしまいます。

ですから聴衆が増えれば増えるほど、いっ気にどこかの地点で音が通らなくなるのです。

1930年代になって、ニューヨークのカーネギーホールが、大改装をしたと言います。

木の壁を増やし、カーテンを増やしたのだそうです。

何が起こったかと言いますと、その1930年代になって、女性達のスカートが、一気に短くなったのだそうです。

それ以前はくるぶしの近くまで足を隠す、ロングドレスが主流だったのに、膝のあたりまでスカート丈が短くなったおかげで、

それまでの石の多いホールでは、音がライヴになり過ぎてしまったのだと言います。

その無くなった、スカートの長さ分、カーテンを増やしたのだそうです。

まあそれだけが理由だったとは思えませんが、確かに人の身体と衣装は、音をよく吸収してしまいます。

元々が弦楽器の中では胴の大きさが、小さい方ですから、現代の演奏家としては、遠くになる、音が大きいというのは、楽器としての能力として求められるのかもしれません。

そう言う意味でも、二胡の場合は遠鳴りがすると言うのは楽器を選ぶ時の一つの基準になります。

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