ある実験をしてみました!
この一本の馬毛でヴァイオリンを鳴らしてみたのです。
松脂を付けなければ微かに擦る音はします。
そして幾つかの松脂のテストをしました。
既存の松脂は4種類くらいテストしました。
勿論音は出ます。
松脂の粒子が弦を振動させますから。
しかし音が馬毛を移動する途中で数カ所も途切れるのです。
中には定期的に途切れていくもの、そして数センチは音が出るがふと途切れてというもの、強く押しつけないと音の出ないもの、などの状態がありました。
E弦はみな良く音が出ますが、弦が太くなるにしたがって、馬毛一本ではなりにくくなります。
そこで、馬毛の量を増やしていくと、松脂の種類によって違いますが3本以上になると皆音が途切れずになり始めます。
このことは、松脂が均一に馬毛に付着していないから起こるのでしょう。
既存の油分などを含んだ松脂は完全に均一にその油分などが松脂粒子一つづつを包んだ状態ではないからなのではと考えます。
松脂と混合されている油分は基本的に液体です。その液体が松脂の粒子幾つかづつを包んだ状態のようです。
ですからそこで音が途切れる感じです。
馬毛一本だけでもつける松脂によって音の大きさは変わります。
例の高額な松脂は一番音が大きくなりますし、音の途切れるのも比較的定期的です。
これは油分を混ぜる時にかなりの高温、普通作る時には湯煎ですから100度以内ですから、たぶんそれ以上の加熱をして松脂をより液状に近くしているのではないかと考えられます。
その制作時の温度によってかなりの違いが出るようです。
では光舜松脂は?
勿論馬毛一本で綺麗に音がつながって弦を振動させます。
その上ぴんと張らなくとも乗せておいて引っ張るだけでも音が出ます。
「基」だけはG弦の音が小さい気がします。2本に増やすと十分よい鳴りになります。
その他の種類の光舜松脂はどの弦をも一本の馬毛で鳴らします。
だからでしょうね、チェロやコントラバスの方はこの「基」だけでの演奏は満足いかないようです。
これは天然熟成の松脂ですと更にG弦は十分には鳴らなくなります。
しかし絹弦(二胡の場合)やガット弦は一本の馬毛でも十分に良く振動しますね。
寧ろ今通常弓に張られている量ですと、雑味が多く寧ろガット弦などの時にはもし皆さんが天然熟成や光舜松脂を使う時には弓毛を減らした方が良いのではなどと感じられます。
現在の弓毛の量は金属巻の弦を油分などを混ぜた松脂で良い状態になるようにその毛の量が考えられているのかもしれませんね。
残念ながらその当時ガット弦や天然熟成の松脂が使われて頃のオールドと言われる弓を使ったことが無いのです。
もしかしたら、古い物は馬毛を入れる穴が小さいのかもしれません???
あるいは現代の金属弦に合わせて既に馬毛の入れる穴は大きくなっているのかもしれませんね??
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ