二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の調整・考、基本は皮。

2016-03-01 10:12:51 | ■工房便り 総合 
普通の弦楽器、ギターや、ヴァイオリンマンドリン三味線、などなど、

あらゆる弦楽器の調整という事で触ってはいけないところが多くあります。

まずは振動板、裏板のある物は裏板、これは、出来上がった後から触ることはできません。

いわゆる弦楽器の胴ですね。

仕上がって、楽器の形になってから、削ることも付け足すことも出来ません。

もし、手を入れたとすると、訳の分からない雑音が出てきたりもします。

そしてそれらの雑音は、いわゆる調整程度ではほとんど手に負えないくらいになってしまいます。

基本的に、弦楽器の調整というのは、木軸(ペグ)そして駒、弦の交換、

あるいは台、ヴァイオリンなら、テールピース等の交換、あるいは顎宛の交換ですかね。

ギターならサドルの削りや交換、ネックの調整、などです。

ところが、二胡は本来ならできないことが出来ます。

まず皮の調整、これは皮の張り具合いが、木の収縮などで歪んで伸びてしまったりした時に、

のびきれずに硬く残ってしまったところを、揉み解すことも出来るのです。

二胡の皮の全体を触って、他のところと違って硬くなっている所があった時にその部分を揉み解すのです。

これは音の裏返り音が多い楽器に現れる皮の特徴の一つでもあります。

その硬い部分を揉み解すと、全体に柔らかくなり、いわゆる音の裏返り音というのが、止まることが多いです。

大変わかりにくいので、良い子はマネをしないでください。

しかしこの方法は、いままでに数十台の二胡の裏返り音を消しています。

私が良く言うたくさん弾き込んである楽器には、このような裏返り音は少ないです。

購入して1,3年経って裏返り音の出て来る楽器が多いです。

元々の張り具合の不均一だったもの、あるいは胴の木の収縮の違いなど、様々な理由によってくぁが均一に振動しなくなった時に、裏返り音は出やすいです。
(他の理由路しては胴の木がある部分薄すぎるというのもあります。これはチェロや、二胡の北京系に多いです。)

良くなる楽器、鳴らない楽器と言うのも、皮に原因があることが多いです。

柔らかい木の胴に、硬い皮を張ってあったり、硬い木に薄すぎる皮を張ってあったりする場合も、なりすぎて音が割れたり。

なんだかくぐもった音しかしない楽器も出てきます。

これらは、駒の種類や、弦の種類などによって少しは調子することが出来ます。

最近になってやっと二胡の世界にも調整という言葉が定着してきて、各楽器販売店が調整会を開いたりすることも多くなってきました。

とても良い事だとは思いますが、

ある面怖い事でもあります。

弦楽器の調整は、基本的にその楽器を作ることのできる人に切り調整は出来ないはずなのです。

これは当然のことでしょう。

管楽器などはまれに作れなくとも、調整をする人もいます。

トランペットやホルンやフルートなどを、最初の段階から作れる人の方がとても少ないという事も言えますから。

金属で出来ている楽器が多いためか調整というよりすぐ修理の方へ行ってしまうことも多いです。

今まで数人の人にかなり細かく二胡の調整ということを伝えてきたつもりですが、

最近思うのは知識としては伝えられても、技術は無理だなと感じます。

まずはたくさんの具合の悪い二胡を触らせてもらえる環境がない事。

そして基本的な木工技術を得るには時間がかかること、

そしてそこそこは二胡を鳴らすことが出来る事、

そして、二胡の材料を知っている事。

そして何より二胡の修理が楽しくやれること。

これらを併せ持っている人がとても少ないという事も言えます。

知識は残すつもりです。

現に、」このブログにもたくさんの知識は書き込んでいますから。

しかしどうも、きちっと調整という技術を伝えられないのだなと最近では実感しています。

ですからできる限り私の生きている内に、沢山二胡を直しておきたいのと、

最近は、多少の調整が甘くても楽器はそこそこなるようにしておきたいと、

「にこのこま」を作り始めました。

今皆さんの手元にはまだわたっていませんが、その内皆さんが「松富士」の威力をきっちり認識してくれると思うのです。

何でこんな形の、駒がと思われている間は駄目でしょうが、この形こそ二胡の本来の駒の形であるおっ定着してきた時には、

皆さんがプロ並みにどんな状態の皮でも鳴らすことが出来るようになるでしょうし、

たくさん弾き込んでそれこそ裏返り音などなくなるくらいに、皮が良い状態になると思います。

たくさん弾き込みtかうなるくらいに良い音色で楽器が鳴ってくれます。

購入して数年、皮が柔らかくなって鳴らしきれなくなった二胡にはこれこそ本来の音だと思わせてくれる形なのです。

まあ、そのことが定着するまでは、生きて伝えていくことはまだあると思います。







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4 Comments

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にこりすさん (nisino )
2016-03-03 09:39:31
今回、「にこのこま」ワンセットsにしたのは、「松富士」「松鷹」どちらのk間が合うのかがわかりにくいからです。
皮が柔らかいといっても、よほどたくさんの二胡を触ってみないと、ご自身の楽器の皮の柔らかさというのはわかりにくいですもんね。黒主さんの門下の方で、もうお試しで(光舜堂にいらして)松富士付けている人はいます。
流石の黒主さんが、爆音になったと驚いていたそうです。(北京系でしたが)、光舜堂のお問合せにメールくださるか、黒主さんに、話してみて下さい。
そうそう、お問合せに連絡もらっても良いのですよ。
ご自身で皮の柔らかさ確認できた方は、
とにかくこの「にこのこま」は、全国の二胡弾きさんに広げるべきだと私は考えています。そしたら、光舜堂の調整はいらなくなりますが。
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続・松富士 (にこりす)
2016-03-03 09:03:52
西野様
私も是非とも松富士だけの販売をお願いしたいところではありますが、残念ながら私は関西に住んでおりますし、なかなか上京の機会もありません。ちなみに現在の黒主ユーザーの門下生でもあります。
でも、自分の二胡に合う駒があると判ったことは大きな収穫です。
松富士の通販での単独販売を気長に待たせていただきます。

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にこりすさん (nisino )
2016-03-02 18:37:41
松富士お買い上げありがとうございます。
ホントに二胡は皮の状態によってかなりそれぞれ違います。松富士は、kなり長い間二胡を活かしてくれます。
中胡ですか、中古の場合、大きさが其々かなり違うのです、直径で10センチくらいの物も在れば、12センチくらいの物まであります。ですから二胡よりさらに、皮に合わせなければいけないのです。一応お店には中胡用の駒も有りますが、、、、ほとんど削り合わせています。
形は松富士です。
この松富士のお蔭で皮の張替の方が減っています。
益々光舜堂は売れ無い二胡屋になりますね。
彪駒、黒彪駒はお友達に譲ってはいかがですか。
あるいは、いずれ皮張替えた時の為に取っておくというのはどうでしょうか。
お近くなら、松富士だけをお売りすることも出来るのですが、、、
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松富士 (にこりす)
2016-03-02 14:00:33
黒豹駒並びに豹駒のユーザーです。
にこのこま、購入させていただきました。
私の十数年来の相棒である老紅木には松鷹より松富士が良く合います。
そして、伸びた皮に効くというなら、と、どうにも鳴ってくれない中胡にこの松富士を合わせてみたら、何とか使い物になるレベルの音にまでなりました。
皮の張り替えを考えていましたが、当分の間はこれでいけるかもしれません。
でも、中胡ちゃんに松富士を使うなら、老紅木用にもう一つ松富士を買わないといけないかな。
そして、余ってしまった豹駒と黒豹駒の使い途をかんがえねば。
西野様、中胡用の駒も研究していただけませんか。
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