これは胡弓の弓です。
竹で出来ています。
たぶん私が知っている限り、擦弦楽器の弓としては一番扱いの難しい弓です。
持つな握るな!
まさに弓を扱う上で脱力というのを一番要求される形です。
理由は弓の先端の形にあります。
演奏の都合上この先端の折れ曲がっている長さは必要です。
演奏の動画は館谷美里さんあるいは木場大輔さんの動画を見てください。
因みに二胡の木村ハルヨさんも胡弓始めたみたいです。
全ての擦弦楽器の弓は引いたり押したりします。
この弓比較的には弾くときにはほとんど問題は出ないのですが、押し弓の時にこの先端が動いてしまいます。
弦に弓毛が真札で引っかかりますから、少しでも竹に手の力を入れると、先端の竹の角のところでツツっと、ぴくぴくと動いてしまうのがお分かりですね。
お陰で、手のひらの脱力がとても必要になり、演奏がとても難しくなります。
とても綺麗な音色なのですが、その為か演奏者がとても少なくまた愛好者も苦労しているようです。
そこで弓つくりネオちゃんと私とで考えました。
いずれにせよ400年以上胡弓の弓の形は変わってきていません。
当然この良さはあるのでしょう。
そこでネオちゃんが考えたのはこの形!
先端に伸びのある形ですので、押し弓の時に比較的竹が安定します。
ただ、先端が重くなりすぎるという難点もありさらに二人で改良を重ねました。
それほどの違いはないようですが、先端がくるっと、半円形に近くまで曲げ込んであります。
そして、普通は竹だけなのですが、これは小葉紫檀(コウキ)を使っています。
昨日、風の盆の館谷美里さんに試してもらいまして。
「これ欲しいです!押し弓引き弓が変わらない」
これで400年の胡弓の弓の歴史が少しは変わるかもしれません。
さてこれからさらに改良が必要です。
なにしろ、高額な小葉紫檀いくら頑張ってもヴァイオリンの弓並みの金額になってしまうのと、流石に重いのです。
これからさらに改良を加えて、胡弓愛好家が楽しく引けて尚且つリーズナブルなものにしなければいけません。
どんなに鳴るのか二人で楽しみにしています。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
今度の冬の休みは一週間あると思っていたのですが、どうやらネオちゃんも私も休みなしになりそう。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ