先日、私の仕事場の若い人たちの友人が来ました。
靴の作家です。
今度神楽坂で靴の展示会をやるとのこと、その中に下駄を出したいとのこと、
「下駄!」
「そう下駄です」
下駄とその収納の箱が一体になった感じの物で、これ見て下さいと図面を取り出す。
最近どういうわけか若手作家の相談役やることが多くなってきた。
こんな物、あんな物作りたいが、手伝ってもらえないかとか、
作り方教えて下さい、とか。
まあ、これも爺の役割、というより爺になった。
というわけで下駄を作ることになった。
彼の希望は、一枚の木で掘り出すような感じ。
「出来たら、この厚みは70ミリで」
「いや、木は完全に乾かすなら、55ミリ以下だよ」
「出来ないのですか」
「出来なくはないけど、それには時間がかかるよ、」
「どのくらいですか」
「15年」
「えッツ!冗談でしょ」
「いやそのくらいはかかる、昔知り合いの、秋田の下駄屋さんが、火事にあって材料を全部燃やされてしまって、彼は55歳だったけど、もう仕事はあきらめたんだ、」
「何でですか」
「下駄の材料が、納得するまでに乾燥するのに、15年はかかるから、その頃には彼は70歳、もう仕事はできないと考えたんだそうだ」
木の乾燥は、自然に乾かすととんでもなく時間がかかります。
例えば、30ミリの板ならそのまま自然に乾かせば、含水率17%ぐらいになるのに、3年はかかります。
これは針葉樹の場合。
広葉樹、特に紫檀や、黒檀などは、15年ぐらいはかかります。安全を見るなら、20年でしょう。
自然に乾かした木は、
多分、もういくら湿気が有るところで使ったとしても、殆ど動かなくなるには、
製材してから、2,300年はかかるでしょう。
そこで、人工乾燥というのが出てきました。
これだけ世の中に、エアコンが発達してくると、自然環境とは決定的に乾燥度が違います。
もし密閉してある部屋なら、殆ど湿度10%位になってしまいます。
そうなると、自然に乾燥した木は、縮むだけ縮み、狂うだけ狂います。
良く無垢の木のテーブルが、そっくりかえっているのを昔は見たものです。
そのために人工乾燥で、含水率を、熱をかけて10%位に落とします。
そうすると木はそれ以上動きにくくなりますし、湿気を与えても、含水率15%以上には戻りにくくなります。
しかし、このように、ほんらいならば、2,30年の時間をかけるべき物を、人工乾燥は、1ヶ月くらいでやってしまいますので、木は傷みます。
無理やり熱で乾かしますから。
それと、人工乾燥では、55ミリ以上の木は、表面が硬化してしまって、内部に水分が残ってしまい、厚いいものには使えません。
その靴屋さんの希望で、なんとか厚い70ミリの板でやっては見ましたが、
案の定、失敗、クラックが入ってしまいました。
「ね、こうなるのですよ、」
「ホントですね、どうしようか」
「一枚のように見えるように木を接ぎこみますよ」
という事で今回は、納得してもらった。
木は、木長に付き合うしかない物ですね。
と言いつつ、やっと、3年前から、自分なりに乾かしていた(、ちょっと工夫して、
緩い人工乾燥を考え出して、)それで乾かしていたのが、使えるようになった。
シャム柿が乾いた。
これで、10月には、4台くらいはシャム柿の二胡出来上がる。
お待たせしました。
靴の作家です。
今度神楽坂で靴の展示会をやるとのこと、その中に下駄を出したいとのこと、
「下駄!」
「そう下駄です」
下駄とその収納の箱が一体になった感じの物で、これ見て下さいと図面を取り出す。
最近どういうわけか若手作家の相談役やることが多くなってきた。
こんな物、あんな物作りたいが、手伝ってもらえないかとか、
作り方教えて下さい、とか。
まあ、これも爺の役割、というより爺になった。
というわけで下駄を作ることになった。
彼の希望は、一枚の木で掘り出すような感じ。
「出来たら、この厚みは70ミリで」
「いや、木は完全に乾かすなら、55ミリ以下だよ」
「出来ないのですか」
「出来なくはないけど、それには時間がかかるよ、」
「どのくらいですか」
「15年」
「えッツ!冗談でしょ」
「いやそのくらいはかかる、昔知り合いの、秋田の下駄屋さんが、火事にあって材料を全部燃やされてしまって、彼は55歳だったけど、もう仕事はあきらめたんだ、」
「何でですか」
「下駄の材料が、納得するまでに乾燥するのに、15年はかかるから、その頃には彼は70歳、もう仕事はできないと考えたんだそうだ」
木の乾燥は、自然に乾かすととんでもなく時間がかかります。
例えば、30ミリの板ならそのまま自然に乾かせば、含水率17%ぐらいになるのに、3年はかかります。
これは針葉樹の場合。
広葉樹、特に紫檀や、黒檀などは、15年ぐらいはかかります。安全を見るなら、20年でしょう。
自然に乾かした木は、
多分、もういくら湿気が有るところで使ったとしても、殆ど動かなくなるには、
製材してから、2,300年はかかるでしょう。
そこで、人工乾燥というのが出てきました。
これだけ世の中に、エアコンが発達してくると、自然環境とは決定的に乾燥度が違います。
もし密閉してある部屋なら、殆ど湿度10%位になってしまいます。
そうなると、自然に乾燥した木は、縮むだけ縮み、狂うだけ狂います。
良く無垢の木のテーブルが、そっくりかえっているのを昔は見たものです。
そのために人工乾燥で、含水率を、熱をかけて10%位に落とします。
そうすると木はそれ以上動きにくくなりますし、湿気を与えても、含水率15%以上には戻りにくくなります。
しかし、このように、ほんらいならば、2,30年の時間をかけるべき物を、人工乾燥は、1ヶ月くらいでやってしまいますので、木は傷みます。
無理やり熱で乾かしますから。
それと、人工乾燥では、55ミリ以上の木は、表面が硬化してしまって、内部に水分が残ってしまい、厚いいものには使えません。
その靴屋さんの希望で、なんとか厚い70ミリの板でやっては見ましたが、
案の定、失敗、クラックが入ってしまいました。
「ね、こうなるのですよ、」
「ホントですね、どうしようか」
「一枚のように見えるように木を接ぎこみますよ」
という事で今回は、納得してもらった。
木は、木長に付き合うしかない物ですね。
と言いつつ、やっと、3年前から、自分なりに乾かしていた(、ちょっと工夫して、
緩い人工乾燥を考え出して、)それで乾かしていたのが、使えるようになった。
シャム柿が乾いた。
これで、10月には、4台くらいはシャム柿の二胡出来上がる。
お待たせしました。