昨年は朝鮮の核拡散防止条約NPT脱退宣言というきな臭い出来事で開始された。1994年には朝鮮半島危機としてアメリカによる武力行使瀬戸際の国際問題化したが、今般は危機に至らなかったのは、どういうわけであろうか。
おそらくは、アメリカがイラク問題に注力していて、朝鮮にかまっている余裕がなかったせいであろう。実際、アメリカは例によって有志軍を引き連れてイラクに侵攻、戦争を開始した。
開戦はイラクが大量破壊兵器を保有しているという情報に基づいているが、この情報の信憑性は疑問視され、西側でもフランスやドイツが反対する中で押し切ったのは、初めからイラクのサダム・フセイン政権を転覆する狙いに違いない。
サダムと言えば、隣国クウェートへの侵攻を契機に、ブッシュ米大統領の父が大統領時代に発動した湾岸戦争で敗北しても懲りず、焼け太り的に独裁を強化して政権に居座ってきたのだから、息子ブッシュにとっては仇に近い関係である。
現在でなく、将来核兵器を保有するかもしれないという懸念もあり、予防的に排除したかったのだろう。むしろイラクが核兵器をまだ保有していないことを知っていたからこそ、〝安心〟して侵攻できたのではないか、と勘繰りたくもなる。
イラク戦争をめぐっては、米国の極東総代理店・日本の小泉政権も早速支持表明し、自衛隊のイラク派遣を強行、かつ便乗的に憲法違反の疑いも持たれる有事法制(戦時法制)を制定した。自衛隊の海外派遣と戦時法制という保守勢力の宿願が一挙に達成された形である。
国内政治では、11月の総選挙で野党第一党の民主党が177議席を獲得、旧社会党の最大獲得議席を上回る記録で、いよいよ二大政党政治の幕開けという論評も見られる。しかし、自由民主党と民主党の相違は党名上も不明瞭である。
社会党ではなく、「自由」の枕詞もないただの民主党とは何なのか?自民党とは別筋の第二保守政党ではないか?保守二大政党で政権のたらい回しをするだけなら、戦前の政友会と民政党の二大政党の焼き直しではないか?等々、疑問は尽きない。
ちなみに、個人的には昨年は遅いインターネット・デビュー年となった。デジタル社会へのささやかな参入である。名もない草の根に何ができるか未知であるが、インターネットはマスメディアでは得られない情報の埋蔵地帯に見える。