内閣
【第91条】
1 内閣は、その長たる大統領、副大統領及び大臣で構成する。
2 大統領は、副大統領及び大臣を任命し、その権限及び職務を委任し、かつ罷免することができる。
3 大統領は‐
(a)副大統領を国民議会議員の中から選任しなければならない。
(b)いかなる大臣も国民議会議員の中から選任することができる。
(c)2人を超えない大臣を議会外から選任することができる。
4 大統領は、閣僚の1人を国民議会における政府任務の首班として任命しなければならない。
5 副大統領は、政府の機能の遂行において、大統領を補佐しなければならない。
本条は、大統領制下での内閣の構成について定めている。大統領は内閣の長を兼ね、副大統領及び大臣の任免権を掌握する強力な存在であるが、2人以内の大臣を除き、すべて下院に相当する国民議会の議員から選任することとされ、議会との連携を図っている。第4項の政府首班大臣は首相に近い存在であるが、議院内閣制下の首相とは異なり、あくまでも大統領の配下で政府任務を主導する存在にとどまる。
行為責任と結果責任
【第92条】
1 副大統領及び大臣は、大統領によって委任された行政の権限及び職務について責任を負う。
2 閣僚は、その権限の行使及び職務の遂行について、集団的及び個別的に議会に対して責任を負う。
3 閣僚は‐
(a)憲法に従って行為しなければならない。
(b)その管理下にある諸問題に関する完全かつ定期の報告を議会に提供しなければならない。
第2項で、内閣は集団的にも議会に対して責任を負うとされるのは、議院内閣制下の責任内閣制に近い面を持つ。大統領制ながら議会を重視する南ア特有の構制の表れである。
副大臣
【第93条】
1 大統領は‐
(a)いかなる副大臣も国民議会議員の中から任命することができる。
(b)閣僚を補佐するため、2人を超えない副大臣を議会外から任命し、かつ罷免することができる。
2 第1項b号の定めるところにより任命された副大臣は、その権限の行使及び職務の遂行について、議会に対して責任を負う。
[第93条は2001年第6次憲法修正法第6条により修正]
副大臣は内閣を構成しないが、やはり大統領が大臣に準じて任命(免)する。
選挙後の内閣の存続
【第94条】
国民議会の選挙が実施されたときは、内閣、副大統領、大臣及びいかなる副大臣も、次期議会によって選挙された大統領が就任するまで引き続き職務を行なう。
宣誓及び誓約
【第95条】
副大統領、大臣及び副大臣は、その職務を開始する前に、附則第2条に従い、共和国への忠誠及び憲法への服従を宣誓し、または誓約しなければならない。