119. 法案の発議
州行政府の閣僚または州議会の委員会もしくは州議会議員のみが議会に法案を発議することができる。 ただし、州の財政問題を担当する州行政府の閣僚のみが、議会に財政法案を提出することができる。
法案の発議と題する本条によれば、州議会における発議権を有するのは、州政府閣僚と州議会の委員会または議員個人である。ただし、財政法案の発議権は、州の財政担当大臣にのみ存する。
120. 財政法案
1. 以下の内容の法案は、財政法案である。
a. 資金を充当すること。
b. 州税、負担金、徴収金または課徴金を課すこと。
c. 州税、負担金、徴収金もしくは課徴金を廃止し、減額し、または免除すること。
d. 州庫基金からの直接支出を授権すること。
2. 財政法案は、以下の事項を除く他のいかなる問題も扱わない。
a. 資金の充当に付随する副次的な問題。
b. 州税、負担金、徴収金もしくは課徴金の賦課、廃止または減額。
c. 州税、負担金、徴収金もしくは課徴金の免除、または
d. 州庫基金からの直接支出の授権。
3. 州法は州議会が財政法案を修正するための手続きを定めなければならない。
財政法案と題する本条は、前条但し書きを受ける形で、財政法案の定義及び範囲、さらに州議会による修正の手続きの法定について規定している。国の財政法案に関する77条にほぼ準じた内容である。
[第120条は2001年第7次憲法修正法により置換]
121. 法案への同意
1. 州首相は、この章の定めるところにより可決された法案に同意し、署名するか、または州首相が当該法案の憲法適合性に関して留保するときは、それを再審議のため国民議会に差し戻すかしなければならない。
2. 再審議の後、法案が州首相の留保に完全に対応しているときは、州首相は法案に同意し、署名しなければならない。そうでないときは、次のいずれかを選択しなければならない。
a. 法案に同意し、署名する。
b. 憲法適合性に関する決定を求めて、憲法裁判所に付託する。
3. 憲法裁判所が当該法案を合憲と決定したときは、州首相はそれに同意し、署名しなければならない。
法案への同意と題する本条によれば、州首相が法案を保留にできるのは憲法違反を理由とする場合のみである(第1項)。その場合でも、憲法裁判所が合憲判断を下せば、州首相は法案に同意・署名をしなければならない(第3項)。
122. 州議会議員による憲法裁判所への訴願
1. 州議会議員は、州の法律の全部または一部が憲法に違反する旨を宣言する決定を得るため、憲法裁判所に訴願することができる。
2. 訴願は‐
a. 州議会議員の20パーセント以上の賛成がなければならず、かつ
b. 州首相が当該法律に同意し、署名した日から30日以内になされなければならない。
3. 憲法裁判所は、第1項で定める訴願の対象である法律の全部または一部は裁判所が訴願に関して次の点を決定するまでは効力を持たないことを宣言することができる。
a. 司法的公正さがそれを要求すること、かつ
b. 訴願が成功する合理的な見込みがあること。
4. 訴願が不成功であり、かつ成功する合理的見込みを欠いたときは、憲法裁判所は訴願者に対して費用の負担を命ずることができる。
州議会議員による憲法裁判所への訴願と題する本条は、国会(国民議会)にも同様の規定(第80条)にほぼ準じているが、法律の違憲性訴願に必要な議員数は20パーセントと国会(三分の一)より緩和されている。
123. 州法の公刊
州首相によって同意され、署名された法案は法律となり、直ちに公刊されなければならず、公刊された時、またはその法律の定めるところにより決定された日に発効する。
州法の公刊と題する本条は、国法に関する同様の規定(第81条)に準じている。
124. 州法の保管
州法の署名入り謄本は、その法律の諸条項の決定的な証拠であり、公刊後は、保管のため憲法裁判所に寄託されなければならない。
州法の保管と題する本条によれば、公刊後の州法は憲法裁判所が保管する。これも国法に関する同様の規定(第82条)に準じている。