水産環境(魚の生息環境)では、ぐんまのアユ事情シリーズの最初で述べたように「河川の構造」、「水量や水質」、「生態系」が重要な要素となっていて、アユ漁不振の原因としては大きく分けて①河川環境の悪化 ②冷水病のまん延 ③カワウの食害 ④種苗と放流方法の問題があげられています。①と②は既に書きましたので③と④についてあと数回続けてみたいと思います。番外編も考えています。
今回は③のカワウの食害について考えてみたいと思います。
まずカワウの生態と被害状況です。カワウは鵜飼で使うウミウと似ていますが少し小さく、河口付近などに棲む体長約80cm、翼開長約1.3mの褐色味の黒い鳥です。繁殖は秋~冬で3~4個産卵をして平均1~2羽が巣立ちます。
カワウ1羽が一日に魚を約500g食べる(体重の3~4分の1)といわれ、集団で魚を大量に食べてしまうので被害がとても大きくなっています。最近の群馬県の試算では、年間で約97トン、被害額約2億3千万円となっているそうです。
次にカワウの生息数ですが、戦前は狩猟鳥として昭和初めのころまでは結構多い捕獲記録がありまする。その後、非狩猟鳥となって昭和40年代には激減し全国でも3000羽程度となってしまいレッドデータブックに載るほどでした。
その後、徐々に増え始めて現在の生息数は全国で6万~10万羽とも言われていいます。群馬県内では時期によって変動が有りますが、十数カ所のコロニーとねぐらが確認されていて600~1000羽が生息または飛来していると言われています。
「そんなことはない! もっとたくさんいるぞ」と言う声が聞こえて来そうですが、空には県境が有りませんので他県からの飛来も多いのでしょうね。ちなみに関東地方には約2万羽が生息すると言われています。
年間97トンの魚を食害するということを基本に荒っぽい試算してみると・・・アユが川に居る時期に魚を食べる量は、5~9月の5ヶ月間アユが居るとすると97トン×5÷12=約40トンとなります。これが全てアユなら、放流しているのが全県で20トン程度ですから生長量を5~6倍と勘案しても3割~4割は食べられてしまう計算になって由々しき問題となるのです。
しかし、実際の漁獲量などを見るとそれほどは食べられていないような気がします。何故かというと漁協の人たちが一生懸命追い払いを行っているから、そしてカワウが食べるのはアユばかりでなく捕らえやすい他の魚種も食べているからなのでしょうが・・・では、効果的なカワウの食害防止策は有るのでしょうか? 次回で検討してみたいと思います。
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