三谷和夫:その夫のともに明るく語りゐて病む妹の顔も和ぎたり(新アララギ2015.10)
佐々木フミ子:住井すゑ氏逝きて十八年か住む人の絶えたる屋敷にひとり我が来つ(新アララギ2015.10)
木村和子:かもの田の米の評判よしと聞く農の気合に今年も育つ(新アララギ2015.10)
千葉照子:寝静まる佐渡の海辺に星数多近く見えつつ一つ流れぬ(歌会2015. 10)
須田博:連休の五日続けど老いし身は遠出もならず近所うろつく(歌会2015.10)
今野英山:移り住む人絶えてなき美(は)しき島ここには夢があるのかないのか(新アララギ2015.10)
高橋毬枝:使ふなく捨てむと広げまた畳む青蚊帳の薫りにわが里ありて(新アララギ2015.10)
小熊宗克:捨船の舳に生れし猫五匹産声あげて処分されにき(歌会2015.10)
山崎日出男:みんみん蝉四小節を五回鳴き暮れなづむ杜に静かさ深まる(歌会2015.10)
麦島和子:*寂しいと母の言葉に気づきたり言い過ぎし言葉を省みる我(新アララギ2015.10)
岸野トモヱ:ふるさとを捨てたつもりはないけれど捨てたと言われ返す言葉無し(歌会2015.10)
大倉康幸:*ポジティブに生きて行かねば進まない先の見えない仕事するには(新アララギ2015.10)
小那覇暁美:*当たり前のことなのだけどジンとくる「明日が来るのをお知らせします」(歌会2015.10)
前澤重成:*嵐来るヤモリが二匹ガラス戸にへばりつきつつ我を見上げる(歌会2015.10)
相川盈子:*梅雨最中あぜ道歩くザリガニは鋏ふりあげ犬に真向かう(新アララギ2015.10)
宮本通代:母の言ひし一言重くのしかかかる今の平和を壊してなるか(新アララギ2015.10)
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