句会後感その1

2006-06-04 09:57:28 | Weblog
      ブラシュの花

 6月のテーマ句会56句の投句の満開でした。

 選句7句という縛りの中からこぼれた佳句を紹介し、私なりの感想を書きます。

 *蛇衣を脱ぎ山門を出でにけり 
 佳句。なまめかしさも感じる。尼寺という私の中の物語
 *悪態を吐いてさばさば浴衣がけ 
 後談で下五が「単衣帯」に変わっていたとか、私がプリントした時はこうでした。
 そうです。「浴衣がけ」でなく名詞どめがいいです。
 *吊橋に届く出水の滾りかな
 佳句です。出水の滾りがいいですね。しいて言えば「届く」といったところが
 選者の混乱をさせたのかもしれません。
  *百合の香や母にもありし泣き黒子
 句会の披講の時にも言いましたが、なぜ百合の香としたのかもったいない一句。
 上五は例えば山百合、白百合などに抑えたほうが良かったでしょう。
 香で触発された発句でも名詞で充分一句の中に香ります。でも佳句
 *梅雨空に浮かぶ二人や観覧車
 このお句も披講の時に言いましたが「や」によって種明かしになってしまいます。
 それと「空に浮ぶ二人」は「や」で切ると不自然に感じます。
 「の」をお薦めしました。後談、作者のお話を聞いて微笑ましいご夫婦の旅の
 思い出のお句とか・・なおさら「二人の観覧車」がいいです。
 *校庭を泡立たせけり大雷雨
 乾ききった校庭の土は大雷雨によって泡だったようなさわぎ。
 私の中では「けり」なのか「たり」なのか迷っていました。それは「たり」によって
 雷を擬人化したかった私の間違いでした。やはりここは客観で掲句が正解。
 *滴りの中に丸まる世界かな
 よく分かります。一度は◎を付け、はずしました。どうしても「丸まる」のほかの
 表現が欲しいように思います。  
 *旅先に意気投合の夏帽子
 このお句も良く分かります。「の」がひっかっかります。客観で詠むなら
 「意気投合す」でしょうね。
 *夏服の園児駆けくる聖母月
 「夏服」と「聖母月」の季重なりより、その二つが同じ重さにあるのが問題かと
 思います。できれば園児と聖母の同時斡旋は避けたほうがよいのかもしれません。
 *片影を選びて母と歩みけり
 なにも言うことがないお句。それが物足りなく思わせてしまうのかも知れません。
 でも一句として発していると思います。
 *一閃の魔の走るごと黒蜥蜴
 よくわかります。しいていえば「ごと」でない言い方の工夫がほしいところ。
 黒蜥蜴一閃の魔のよぎりけり ではいかがでしょうか?
 *万緑の片隅にゐて国憂ふ
 このお句に関しての評は自信がありません。
 私が感じたままを言えば景色を広げすぎたために大げさに感じました。
 「万緑」と「国憂ふ」の大きさに対して片隅の作者との距離感に違和感がありました。

 選句にたいしては様々な採りようが有って良いと思います。
 今回特に気になったことはたった一語の「てにおは」が物語や景色を
 広げたり、閉ざしたりすることを感じて欲しいと思いました。



 

 
コメント (2)
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