( 冬空 )
冬空の弾けば響きさうな青 木内怜子
冬空や津軽根見えて南部領 河東碧梧桐
冬空遠く大工の音とアヴェマリア 安東次男
☆ 今日は波郷忌 昭和44年11月21日
石田波郷・本名石田哲夫。大正2年3月18日生まれ,五十崎古郷、
水原秋桜子に俳句を学び,昭和8年(波郷20歳)馬酔木同人・戦地で
胸膜炎を得て送還される。昭和38年以降,清瀬の国立療養所への
入退院を繰り返すが、昭和44年11月21日朝,心不全のために逝った。
妻あき子は波郷7回忌を前の10月21日,波郷に呼び寄せられるように
逝った。昭和33年練馬区谷原町(現在高野台)に新居をもうけたが、
病院での生活の方が長かったということになる。
ひとつ咲く酒中花はわが恋椿 昭和33年
バスを待ち大路の春をうたがはず 昭和8年
初蝶や吾三十の袖袂 昭和17年
今生は病む生なりき烏頭 石田波郷(昭和44年)
見舞はねば夢に来る夫星祭 石田あき子
早梅や相見て足れる病夫婦
病変の夜や仙人掌の一夜花
胸の辺にひらかむと百合うすみどり
波郷忌のはや暮れなづむ実むらさき