( 鎌倉浄智寺・山桜 )
走り根の岩を割りたる山桜 北村 保
磐石を支ふ磐石山桜 松岡悠風
鳴き交す鳥のまほろば山桜 岡田順子
山桜逢ひに行かねば逢へぬ母 名村早智子
(明月院悟りの窓) 方丈に隣る丸窓草若葉
独り言
楽しい吟行句会でした。北鎌倉駅集合で徒歩10分ほどの浄智寺へむかう。ここのお寺は
鎌倉五山のうちの第4位という。この五山というのは山のことではなく、それぞれ寺・つまり
五寺のことを云うとは今まで知らなかった。 ・・・知らないことばかりで感心しきり。
鎌倉は高校時代~成人した一時期まで海側の鎌倉材木座海岸にキャンプをして(家出?)
何日も何回も過ごした地でありながら、俳句に縁の無かった時代には山寺のこと歴史のこと
もたいした興味で無くいたためか何も知らない。
浄智寺の入り口には甘露の井戸(名水らしい)ここから鎌倉石の磴を登る,周りの林からは
鶯、小綬鶏、四十雀、美しい声が迎えてくれました。連衆の句にも声透き通るとあったが、
まさしく透き通る美しさでした。
山桜を借景とした山寺に春禽の声。
山桜万朶に風の吹きわたり
見事にどなたにも採って頂けなかった句(この日は選者の調子が悪かったようだ)・・
それにしても連衆の吟行句はすばらしい。ご紹介できないのが残念。
浄智寺から山を下り、明月谷戸(やつ)をまた登る。
この明月院は北鎌倉の紫陽花寺で有名なところ。 花の頃には駅前から入場者が並ぶという
紫陽花ばかりではなく、今の時期にも 紅白の桃・花海棠・枝垂桜・連翹・山吹・山桜が盛りで
した。方丈(本堂)の隣にある悟りの間の壁面は写真の通り丸く開いている。
ご朱印を頂くために寄った作務所で聞いたところ。 この丸窓を通り過ぎる人から次に通り過ぎる
人までの時間の間に悟りの行を行うとのこと。禅の心なのだろう。
句会場はここからさらに登った「明月荘」第55代内閣総理大臣、石橋湛山の別荘(隠遁所とも)
広大な敷地に古びた平屋の建物でしたが、7月には取り壊されるといわれている。
庭で持参の弁当をひらく。近くでは鶯が姿を見せながら鳴いている。頭上には我々の弁当を
狙ったか・・大きな鳶が旋回していた。
大きな庭に大きな屋敷。そこに連衆8名 全く贅沢な時間と空間でした。
お世話役のRさんMさん、ありがとうございました。
もうひとつ・・吟行句会の選評や講評では、たまにどこの景色?そんな所あった?
などという意見も出ます。それはそれでいいのですが、現地現場検証することが重要では
無く、確かな写生から生まれた詩情はそこから離れるほど豊かに感じることがあります。
優れた鑑賞者の鑑賞文を読むとそれを感じます。
講評も立派な作品でもあると思っています。