寒卵・寒玉子
寒中の鶏卵。寒の卵は滋養があると言われる。割ると黄身が盛り上がりいかにもうまそう。
これを食べればじきに春がやってくるような気になる。食べ物は何でも命をいただくものだが、
寒卵はことにその感が強い。使い分けに明確な基準はないが、一般的に、生物学上では「卵」と表記し、
調理されたものや食材に使用するたまごは「玉子」を用いる。 ただし、魚類など鳥類以外のたまごは調理済みで
あっても「玉子」と表記せず、食材に使用されることが多い鶏のたまごは、調理に関係なく「玉子」と
表記されることもある。
寒卵二つ置きたり相寄らず 細見 綾子
霊場の瀧へ供へし寒玉子 栗田やすし
三輪山の祠に赤き寒卵 国枝隆生
寒卵割つて言ひたきこと忘れ 服部冨子
寒卵呑むのど仏二度動き 山 たけし
朝の市産毛貼りつく寒たまご 上杉美保子
寒卵コツと割る聖女学院 秋元不死男
朝の餉の目玉と呼ばれ寒玉子 阿波野青畝
寒卵狂ひもせずに朝が来て 岡本 眸
朝の日の鶏舎にあまねし寒玉子 星野立子
籾殻の底よりとりて寒卵 長谷川櫂
寒卵わが晩年も母が欲し 野澤節子
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