3月尽

2006-04-02 09:51:48 | Weblog
   満開の東京大仏

 やっと3月が終わった。やっとと言うのは可笑しいかも知れないが
 この一ヶ月は少なくとも2000句を目にしたと思う。
 参加している現俳の選句899句、IT句会の毎日投句選句、吟行句会の投選句、
 そして我々の句会の選句。現俳の入力の為の句集の選択。
 これは嘆きではなく満足と言うべきなのだろう。
 
 3月10日から再開されたG句会、本当に良かったと思う。
 投句欄を見る限り、以前より写生句が多くなったとは思うが高点句はそれなりに
 手練れている。その俳句自身は批判すべきものではなく只毎日句会のお手本とは
 成り難い,参加初心者がその方向に向くのを危惧している。
100句に達したらやめるつもりでいる。

       梅東風へ御目ふせたる地蔵尊

 現俳の1年間の結果が出た。目標は達せられなかったが,それなりに得るものが
 あった。目標の一つに今私が詠んでいる俳句が何処まで現俳の中で認知を受けるか?
 今詠んでいる俳句の出典は勿論,毎月楽しみにしている八雲句会。
 そこでの評価こそが今の私の俳句の原点であり、教場である。
 年間130点を頂いた。これは連衆に頂いたもの、有りがたく感謝しています。

       嫁がせて蛤椀の薄ぐもり
       ものの芽に力こめたる日差しかな
       能登の市みな息白く商へり
       売り物のランプを灯し歳の市
       朝市や桶に溢るる菊の水
       半分は兎となりし林檎かな
       へつついの火の神に炊今年米
       亡き人に独りごと云ふ良夜かな
       どの部屋をあけても独り障子更ふ
       米浸す水の澄みゆく月夜かな
       生涯を敵役なる油虫
       のつぺりと街起きている熱帯夜
       夏暁や母にまつわる水の音
       この世から声をかけられ昼寝覚め
       教会の影の中なる草取り女
       病む人に嘘ゆるされし朧かな
       紅ひいて女荒ぶる宵御輿
       浅草に喜劇の幟つばくらめ

    ( 多少の推敲の上投句しましたが、以上の句は多くの支持を頂きました)

   昨日は楽しみにしていた八雲句会、桜満開の東京大仏,赤塚植物園での散策
   多くの佳句にまみえ,連衆それぞれの
   個性溢れる披講,暖かい逆選。そして何より元気に全員のお顔が揃ったこと
   本当に楽しい一日があっと言う間に過ぎていきました。
   お疲れ様でした。そして有難うございました。

       
       花冷や露座大仏の前かがみ   ころころ
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2 コメント

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不易流行俳句作家 (あのさ)
2006-04-03 21:31:37
力作揃いですね。

さっそく私の「ころころ句集」に書き加えさせていただきました。折に触れて愛唱する句となるでしょう。

ことに私の心を捉えてはなさない12句は(3句はと書こうとしてまったく収まりませんでした)



       嫁がせて蛤椀の薄ぐもり

       ものの芽に力こめたる日差しかな

       売り物のランプを灯し歳の市

       朝市や桶に溢るる菊の水

       亡き人に独りごと云ふ良夜かな

       どの部屋をあけても独り障子更ふ

       米浸す水の澄みゆく月夜かな

       のつぺりと街起きている熱帯夜

       夏暁や母にまつわる水の音

       この世から声をかけられ昼寝覚め

       教会の影の中なる草取り女

       紅ひいて女荒ぶる宵御輿

       

「この世から声をかけられ昼寝覚め」。

わたしは「昼寝覚」とお見かけしたような気がしていました。

今「昼寝覚め」と「昼寝覚」には状況や時間にデリケートな違いがあるのに気づき、「!!」感じ入っております。
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本当に嬉しいです。 (ころころ)
2006-04-03 21:56:09
「昼寝覚め」理解いただけるとは本当に嬉しいです。

たった一語の有るなしは私にとって大きな違いとなって

いました。

「一語一得」

「昼寝覚」は」時間的には過去なんです。そして昼寝から

覚めた自分を見ている自分がいます。

「昼寝覚め」は、ほんの少し前、今起きた自分が感じて

いる感覚なんです。

本当に俳句作家冥利に尽きます。

絵画でも音楽でも小説でも優れた理解者を得ることが

作家の本懐だと聞いたことがあります。

まさにそれを感じています。胸が熱くなりました。

ありがとうございました。

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