8月11日

2009-08-11 00:05:21 | Weblog

       ( 秋蝶 )

 

午前中の仕事を終えてから俳友と待ち合わせて、別称ころころの離れの庭、
赤塚植物園へ行ってきました。朝から土砂降りの雨も嘘のように止んで,蒸し暑く
とも有意義な吟行をしてきました。生憎この時期の植物園は花数も少なく思って
いましたが同行の俳友には喜んで頂けたようで何よりです。早々家に戻って
多作多捨、今日見た嘱目26句を詠んでみました。出来はまあまあ自画自賛。
それにしても花の少ない植物園でも秋の季語がごろごろしているもんです。

 

秋蝶の黄を強くせり土俗舞         細見綾子

 

秋蝶や硫気痛みの神の階          岡本 眸

 

秋蝶の驚きやすきつばさかな                原石鼎

 

秋蝶やサフラン色の便り書く                  仙田洋子

 

 

      伊吹嶺8月号より

 

     寝ころんでしろつめくさのつめたさよ   関根切子


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8月10日

2009-08-09 23:59:00 | Weblog

        ( 空蝉 )

 

久しぶりに近くの植物園へ行ってみました。冬と今の時期が一番花数も少なく、
多いのは降りしきる蝉の声と藪蚊、それに蝉の抜け殻でした。夏山には夏山の
服装が有るように、夏の植物園には虫除けスプレー、かゆみ止め、それと長袖の
シャツは必需品かもしれません。藪蚊も空蝉も虫除けも季語、それを詠うのもまた
いいのでしょうね。

 

空蝉のなほ苦しみを負ふかたち         鷹羽狩行

 

空蝉の爪のなかなか縋るなる          富安風生

 

空蝉の一太刀浴びし背中かな          野見山朱鳥

 

 

     伊吹嶺8月号より

 

         自在鈎揺るる陣屋の夏座敷     武藤光晴

 

 

 



 


 

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8月9日

2009-08-09 00:10:08 | Weblog

        ( 鶏頭 )

 

鶏頭を三尺離れもの思ふ            細見綾子

 

晩学や夜は力抜く鶏頭花            岡本 眸

 

泣く吾子を鶏頭の中に泣かせ置く       福永 耕二

 

鶏頭の赤が最も暗き庭             山田弘子

 

★ 今日は広島に続き長崎に原爆が投下された日です。長崎忌

 

消えてより蜥蜴の蒼さ長崎忌              鍵和田釉子

 

耳環にも反射光あり長崎忌               田口美喜江

 

 

  伊吹嶺8月号より



        
姫女苑大地に黒き捕鯨砲      菊地佳子

 







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8月8日

2009-08-08 00:25:26 | Weblog

      ( 雁草・帆掛草 )

 

炎天のすでに秋めく己が影       高橋悦男

 

高原の秋めく日ざし小雷         星野立子

 

日のさしてをりて秋めく庭の草      深見けん二

 

 

★ 今日から俳誌伊吹嶺の中から一日一句ころころのお気に入りの句を紹介
   します。

 

    蘇鉄咲く風鳴るばかり辺戸岬     砂川紀子




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8月7日

2009-08-07 00:20:27 | Weblog

      ( 紫紺野牡丹・小石川植物園にて )

 

野牡丹の古代紫たぐひなし         五十嵐播水

 

野牡丹散華無常とはかく美しき       富安風生

 

野牡丹の散りし紫浄土かな         勝又一透

 

 

昨日のブログで少し紹介した、角川「俳句」八月号の特集は
「多作多捨で自句を鍛える」です。言葉としては俳句をする人ならば一度は
聞いたことがあると思いますが、なぜそれが必要なのかを理解するうえで
分かり易く書かれていると思います。中でも未来図の新海あぐりさんの
「作る技術=捨てる技術」はとても面白く読みました。
その他の記述で「多読多憶」という言葉があります。俳句の上達に
近道はなく多作多捨をして励むこと。多捨においては自選で推敲できるもの
また捨てるものを選り分ける力をつけるために大いに句集を読み、諳んじられるように修練するとが望ましいとあります。俳句の楽しみ方には人それぞれが有っても
一向に構わないとは思いますが、結社で学ぶなら主宰と一対一に向き合い、
例え一句欄でも四句欄でも一喜一憂せず、主宰に自句を見せて、教えを請う事に
喜びを感じるべきだと個人的には思っています。
ころころは長い時間俳句をしてきて、作句の力はまだ四合目、頂上も見えません
それでも「多作多捨多読」までは人一倍やってきています。
俳句の本当の喜びは良い作品が詠めた時に他ならない。それ以外の喜びは
後に残らない軽いものです。

 

      ☆☆☆ 今日は暦の上の立秋です ☆☆☆

 

立秋の雨はや一過朝鏡            中村汀女

 

立秋の声を聞かずに行きたまふ       細見綾子

 

今日よりは秋の薊として咲けり        青柳志解樹

 

バスクより来たる神父や今日の秋      水野真由美



 

 




 

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8月6日

2009-08-06 00:00:37 | Weblog

      ( 羽黒蜻蛉 )

 

今日は広島の原爆記念日です。昭和二十年のこの日,広島市に原爆が投下され
その瞬間20万人もの尊い命が奪われました。被爆者は36万人とも言われています
この日広島では平和を祈念する式典が行われ、夜には流燈流しが行われます。

 

顔洗う手に目玉あり原爆忌        五島高資

 

ふんだんに水出る蛇口原爆忌      小川裕子

 

流燈会われも流るる舟にゐて      栗田やすし

 

 

今日の写真の羽黒蜻蛉、昨年埼玉県日高の巾着田へ彼岸花の群生を見に行った
時に撮影しました。近くの蓮田の脇の小流れに多くの羽黒蜻蛉飛んでいました。
今年もまた見に行きます。今度は連衆をお誘いして。

 

      水音を離れぬ羽黒とんぼかな 

 

☆ 角川の「俳句」八月号を買いました。今月のテーマ「多作多捨」「多読多憶」
とても参考になります,立ち読みでも是非ご覧になってください



 

 

 

 

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8月5日

2009-08-05 00:42:38 | Weblog

         ( 鳥兜・とりかぶと )

 

火の山にかぶさる雲や鳥兜          高橋悦男

 

白樺の大露に咲く鳥兜             飯田蛇笏

 

鳥兜毒もちて海の青透けり           加倉井秋を

 

踏み入りし森の深さや鳥兜           伊勢由美子



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8月4日

2009-08-04 00:10:05 | Weblog

        ( 龍の髭 )

 

ながき日やちる花やどす竜の髭         久保田万太郎

 

竜の髭の花いとほしめ庭男            籾山梓月

 

竜の髭兄亡き後の家事の煩            村山古郷


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8月3日

2009-08-03 17:52:44 | Weblog

        ( 金魚 )

 

セルを着て稚き金魚買はむなど          沢木欣一

 

金魚玉浅草のほか母は知らず          本土みよ治

 

短夜の金魚に微塵沿ひ浮けり           八木絵馬

 

時計屋の微動だにせぬ金魚かな         小沢昭一



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8月2日

2009-08-02 07:53:19 | Weblog

         ( 酔芙蓉 )

 

酔芙蓉白雨たばしる中に酔ふ         水原秋櫻子

 

白といふはじめの色や酔芙蓉          鷹羽狩行

 

曲らねば町を出る道酔芙蓉          鈴木俊策

 

待ちびとを持たぬ気やすさ酔芙蓉             岩切青桃

 


★ いつもより一日遅れで俳誌が届く、今月号栗田主宰の第四句集「海光」の特集
で様々な方が鑑賞を寄せている。会員として末席にあっても主宰との関係は一対一
まずはその特集から読みふけています。どなたからも主宰の代表句になるだろうと
言われている一句 

    滝凍てて全山音を失へり

は勿論揺ぎ無い大きな景色がその景色を見ていない読者にも良く伝わる名句に
思いますが、私は

    へそ小さき風神雷神桜舞ふ

この一句が特に気に入っています。柴又吟行会の帝釈天での一句です。
この句会は各支部からの参加も多く多人数の句会でした。句会終了後の酒席、
まだ入会間もないので主宰の近くへ座るよう同人に促され,お話を伺いました。
お酒のせいもあって思い切って少し意地の悪い質問を承知で「なぜ中八になさった
のでしょう?」「風雷神や」なら七ですよね。と・・・・
主宰は笑ってお答えなさらなかったのです。今思えばなんて失礼な事をと恥じていますが、多人数連座の中では聞けない話もこんな時にこそ出来る、それを許されて
いる主宰の人柄の大きさに惹かれます。この句には形に拘って眼目を見失っては
いけないと教えられます。楼門の憤怒の顔の風神像,雷神像、に思っても見なかった小さな臍が見えた。そんな風に観て感じられたのも桜舞うころの旅の地に主宰の
喜びがあるからだろうと納得しています。

 へその小さき風神像雷神像桜舞ふ だから ぶれないのだろうと今更痛感し
 主宰の膝下に学ぶ喜びを感じています。
今月号の中での主宰の一文に
「何事も基本が大切です。それぞれ所属の句会でしっかりと基本を学んで欲しいと
思います。句会の指導者は繰り返し基本の大切さを説くとともに、自ら実践される事を願っています。」と公平に厚く指導されています。
ころころが最終的に結社の俳人となれるかどうかは分かりませんが、まだまだ学ぶことが多いと実感するばかりです。







 

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