( 柚子湯 )
いや~あ、今日も寒かったですね。明日は冬至。柚子湯で暖まりましょう
ししむらの淋しくなりし柚子湯かな 井上土筆
金溜まることに縁なき柚子湯かな 鈴木真砂女
柚子湯沁む無数の傷のあるごとく 岡本眸
魚のごとく啼きぬ柚子湯の柚子押せば 岡崎光魚
「伊吹嶺」12月号より
回覧版来る脱穀の音の中 渡辺慢房
( 柚子湯 )
いや~あ、今日も寒かったですね。明日は冬至。柚子湯で暖まりましょう
ししむらの淋しくなりし柚子湯かな 井上土筆
金溜まることに縁なき柚子湯かな 鈴木真砂女
柚子湯沁む無数の傷のあるごとく 岡本眸
魚のごとく啼きぬ柚子湯の柚子押せば 岡崎光魚
「伊吹嶺」12月号より
回覧版来る脱穀の音の中 渡辺慢房
( 雪だるま )
居酒屋の灯に佇める雪だるま 阿波野青畝
考へるさまに傾く雪だるま 大高千代
出稼の父待ち大き雪だるま 太田土男
雪だるま残し旅人宿を発つ 新田千鶴子
「伊吹嶺」12月号より
奥会津短き稲を高干しに 磯田なつえ
( 浅草 羽子板市 )
昨日17日から3日間、東京の年末の風物詩の中の一つ,羽子板市が開催されて
います。子供の頃は毎年行っていたものの、かれこれ10年は行っていません。
境内に50位の数の出店が出て、値段は千円から数十万するものまで、多彩です。
羽子板市切られの与三は横を向き 石原八束
羽子板市片割れ月も明治ぶり 林 翔
羽子板市三日の栄華つくしけり 水原秋桜子
うつくしき羽子板市や買はで過ぐ 高浜虚子
「伊吹嶺」12月号より
秋空に湯殿行者の鈴ひびく 栗田せつ子
( 焚火 )
昨今は焚火も畑焼きも例外を除いて禁止されていますが、太古より人は火を
熾し、煮炊きをして、暖をとり、生活の真中にあったような気がします。
また焚火はコミュニケーションの場であり、それは文化にも通じるように思うの
ですが、皆さんはどう感じられますか?
ころころの小学生の頃の冬の朝、炭屋のおじいさんが炭俵で焚火をしてくれて
それが登校の集合場所になっていました。その時代ですから集団登校など
無いわけですが、いいタイミングで「さあ、行きなさい」とそのおじいさんが声を
かけてくれます。 「行ってきます」 と子供達の声がまだ耳の奥に残っています
片頬のほてり焚火を離れても 片山由美子
夜焚火や闇より波の走り出づ 岡本眸
夕焚火生命線のまつかつか 大倉郁子
帰りきし父に焚火のにほひあり 大高 翔
「伊吹嶺」12月号より
航跡の白穂に触るる秋つばめ 八尋樹炎
( 熱燗・温め酒 )
熱燗が美味しい時期になりましたね。まあころころは一年中美味しい時期と心得て
ますが、ちなみに日本酒なら8合が限度ですが、どうしてもと言われるなら・・
芋焼酎のお湯割をあと2杯ほどなら嗜みます。
熱燗に泣きをる上戸ほつておけ 高浜虚子
手刀をきり熱燗の一本目 水木なまこ
熱燗に饒舌続く旅の宿 天野美代子
ねころぶは杜甫か李白か温め酒 有馬朗人
温め酒雨なら雨を褒めてをり 能村研三
「伊吹嶺」12月号より
涼しさを言ひて荷を解く朝市女 国枝隆生
( 世田谷ボロ市 )
今日15日,16日、翌1月15日,16日と世田谷のボロ市が開催されます。
このボロ市は北条氏政が開いた楽市が始まりで400年もの歴史のある市です。
ころころが参加させて頂いている吟行会は今日,忘年会を兼ねた吟行句会。
馳せ参じたいところ、仕事の打ち合わせの終了時間とのにらめっことなりそうです。
(幹事さんには申し訳けないけど・・微妙です←独り言)
参加の皆様には,代官餅をお早めにお買い求め下さい。からみ餅はすぐ無くなります
いざ目指せ天租神社(ここで売ってます)
ぼろ市の由緒くはしき河童の図 有馬朗人
ぼろ市や臼と別れて杵売らる 宮下翠舟
ボロ市に何買ふとなく屈みけり 毛塚静枝
ボロ市の人かき分けてベビーカー 安斉君子
襤褸市や大学芋の金色に 辻 桃子
ぼろ市のランプ灯して売られけり ころころ
( 義士祭 )
元禄15年12月14日(西暦1703年1月30日)未明,本所松坂町の吉良邸へ
赤穂浪士47名が討ち入り、主君の仇をうった日です。
写真は松坂町(現両国)吉良邸跡に残る、討ち取った吉良上野介の首を洗った井戸
として残されています。
義士祭香煙帰り来ても匂ふ 石田波郷
義士祭酒のしたたる一基あり 鈴木十歩
大義よく人死なしむる義士祭 岡本 眸
義士祭の遺品に並ぶ呼子笛 和田幸八
「伊吹嶺」12月号より
身に入むや大仏裏の地獄絵図 辻江けい
( 竈猫・かじけ猫 )
何もかも知つてをるなりかまど猫 富安風生
しろたへの鞠のごとくに竃猫 飯田蛇笏
山桃酒飲みたき貌やかまど猫 岡田久慧
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫 松本たかし
「伊吹嶺」12月号より
秋潮や薪高く積む塩煮小屋 鈴木みすず
( 湯豆腐 )
ころころが唯一苦手としている冬の食べ物。
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保田万太郎
湯豆腐のそろそろ踊り出す気配 原 育子
湯豆腐の昆布のびのびしてきたり 辻桃子
湯豆腐や障子の外の隅田川 吉田冬葉
「伊吹嶺」12月号より
たんねんに鉄鍋磨く野分晴 関根近子
( 毛糸・毛糸編む・毛糸玉 )
ルノアルの女に毛糸編ませたし 阿波野青畝
毛糸編み上げし時間もプレゼント 山田弘子
青い鳥ゐるを信じて毛糸編む 菖蒲あや
啄木の歌が大好き毛糸編む 富安風生
「伊吹嶺」12月号より
駐在が玉串捧ぐ村まつり 夏目悦江