先月、『わたしたちのJR福知山線脱線事故 ―事故から10年展』を観たのがきっかけだった。他にも行きたいところがあったので、結局1日は試合を観ずに過ごした。
宿泊場所の大阪・長堀橋から散歩を兼ねて1時間ほど歩き、大阪天満宮駅からJR東西線・宝塚線に乗り、尼崎の一つ先、塚口駅に向かった。そこから更に30分ほど歩き、目的地に辿り着いた。
10年前の4月25日、この場所でJR福知山線の快速列車が事故を起こし、乗客106名と運転手が亡くなられた。
当時、この事故は今の世の中が抱える様々な問題が積み重なって発生したと感じた。そして、その思いは今も変わっていない。
運転士の判断が事故を引き起こす直接の原因となったことは疑いないものの、彼をそこに追い込んだ背景も事故後に明らかになっている。JR西日本の経営者が罪に問われるものの、現時点で有罪には至っていない。しかしながら、多くの人が会社に責任があると感じている。
10年目を迎えた日のワイドショーで、あるコメンテーターが「運転士の安全意識を高めて欲しい」といったコメントを述べているのを見て、この人はいったい何を見てきたのかと呆れた。そして、この人と首相が寿司を食べているということの滑稽さを思い、重ねて呆れた。
この場所には、事故が起きた年の7月、そして5年前の1月に訪れていて、今回が3度目だった。
事故現場となったマンションとその周辺には警備員の方々がいらして、彼らが深々とお辞儀する中を献花台まで進み、焼香だけさせていただいた。
この時、僕の他には訪れている方はいらっしゃらず、警備員の方々の方が多いといった状況だったけど、彼らは僕を目の前にするとただただ深々とお辞儀されるばかりなので、事故について話をさせていただくということもなかった。
しかしながら、今思うと僕もこの日はこの場所を訪れたことに満足してしまったのかもしれない。
だから、この事故…事件については、今後も考えていきたいし、考えたことをこの場で書きたい。
事故の犠牲となられた方々のご冥福と、負傷された方々、そしてご家族や大切な人を亡くされた方々の心の傷が少しでも癒えることを願う。