踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

「女性天皇・女系天皇問題」各党の政策比較・候補者アンケートを読む

2019年07月03日 | 平和・人権
新聞に参院選候補者アンケートが載っていたので一緒にまとめてみますが、そもそも女系天皇を前提としない女性天皇の是非を問うのは意味がありません。
(下記の「国民」の政策に合致しますが、現実的には悠仁天皇(あるいはその男子)の前に「つなぎ」である愛子天皇の時代を長く続けさせるという意味しかない。さらなる現実問題としては、継承権第一位になる愛子内親王に婿入りする一般男性が出現することは想定しにくい。。)



また、この問題で「男女平等」を持ち出してくるのも的外れと言わざるを得ません。
良い意味で勝ち取るべき「権利」ではなく、人生の全てを費やさざるを得ない「義務」を強いることになるのだから。。
必要なのは、原則論・一般論だけでなく、いまを生きている上皇の孫である4人の皇族に、どういう役割を国民(主権者)がお願いするのかという具体的な議論のはず。。

個人的な判断としては、12年前ならともかく、すでに女性皇族が大人になった今となっては、時期を逸して解決不能問題になったと考えています。
その最大の責任者は安倍晋三首相であることは間違いない。
最終的には、運を天に任せるしかないでしょう。。

●各党政策比較
▽国民民主党:男系の女性天皇を容認、女系天皇は認めず、男子を優先。
▽立憲民主党:女性天皇・女系天皇を認める。皇位継承順は男女の別にかかわらず天皇直系の長子を優先。女性宮家の創設も必要。
▽共産党:女性・女系天皇を認める。優先順位には言及していないが、男女平等という趣旨から立憲と同じと考えられる。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-04/2019060401_01_0.html
▽安倍政権:女性・女系天皇ともに慎重姿勢

●皇位継承順位
▽国民 ①愛子内親王、②秋篠宮文仁親王、③悠仁親王(以上記事による)、④眞子内親王、⑤佳子内親王(④⑤は記事には言及なし)
▽立憲・共産 ①愛子内親王、②秋篠宮文仁親王、③眞子内親王、④佳子内親王、⑤悠仁親王
(愛子内親王の子が生まれれば男女に関わらず2位に)
▽自民 ①秋篠宮文仁親王、②悠仁親王、③(悠仁親王の男子)
(3人の内親王は制度変更の前に結婚して皇籍離脱すれば候補から外れる。その前に女性宮家制度が確立していれば上記の順位に残る。)

●評価
▽国民案は意味不明で、その目的も理解不能。次世代を愛子内親王と悠仁親王のどちらにするかの違いで、次次世代は悠仁親王の男子だけになるのは安倍自民と同じ。
▽立憲・共産案では唯一の男系男子である悠仁親王が天皇になる可能性は限りなく小さくなるが、国民の大多数がそれで良いのなら候補者は増えるでしょう。将来、女性宮家が増えたときの範囲限定と廃止が問題になるかも。いずれにせよ、実現可能性は低い。
▽安倍政権の長年の放置政策は皇室廃絶を促しているに等しい。
この問題で日本人(政治家・国民)が合理的な議論と判断ができるようになるとは想像しにくい。
(旧宮家の皇籍復帰など事実上不可能だし、旧宮家男子を女性皇族に「あてがって」婿養子縁組するなど人権侵害でしかない。)
結論は、繰り返しますが、運を天に任せるしかない。。
(その際には、悠仁親王やその妃に対する人権問題が生じてくるのは不可避です。)

もし、その結果として将来天皇家が断絶の危機に陥ったとしても、共和制(大統領制)なんてこの国の国民には何百年経っても想定することはできないでしょう。(もし実現したとしたら、今の時代でたとえれば「安倍晋三大統領」になるということを想定すればわかるでしょう。)

平成30年度日医母子保健講習会 自見氏講演 シンポ「成育医療の現代的課題と対策」

2019年05月10日 | こども・小児科
平成30年度母子保健講習会
2019年2月17日(日) 東京都・日本医師会大講堂

講演
「子ども政策の今日的課題
     成育基本法の成立と今後について」
          参議院議員 自見はなこ
 全ての妊婦・子どもに妊娠初期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供する事を目的とした成育基本法は、対決法案のあおりで廃案となるところを、超党派議連の合意と自見氏の決意により特例で12月8日に成立した。
 同法の施行により、国は成育医療等協議会を開催して基本方針を6年ごとに策定し、政府・都道府県は評価を年1回公表することが義務づけられる。議会で毎年質問していただきたい。
 虐待の温床となる懲戒権が民法改正後も残ってしまった。千葉の事件などを踏まえて児童虐待防止法に体罰の禁止を盛り込む方向で議論中である。今後、予防接種法、感染症法が改正となるが、日本版ACIPを目標に近代化をはかりたい。取り組んできた液体ミルクが承認となったが、母乳哺育の重要性を損なうものではない。

シンポジウム「成育医療の現代的課題と対策」

1) 産科領域における諸課題
     日本産婦人科医会副会長 石渡 勇
 全ての医療機関で、全ての妊産婦を対象にメンタルヘルスのスクリーニングを行い、必要な支援に繋げるための多職種連携を目的に、メンタルヘルスケアマニュアルを策定し、教育・研修システムを構築して、2017年以来実施してきた。思春期の性の問題や性暴力への支援ネットワーク、行政によるワンストップ支援センターの設置なども紹介された。HPVワクチン問題では世界が日本の動向を注目しており、コクランレビューでも高度前がん病変減少効果は疑いの余地がないとされた。支援してきたHPVワクチン訴訟は、講演後、敗訴が言い渡され、控訴の運びとなった。メディアはノーベル賞を受賞した本庶佑氏の「科学的根拠のない主張ばかりを報じてきた」という発言を報道しなかった。

2) 小児科領域における諸課題
       日本小児科医会会長 神川 晃
 虐待防止対策強化プランでは子ども家庭総合支援拠点を1700の市町村に増設し、児童福祉司も増員した。子どもの事故死は10万人あたり1.9人(2016年)まで減少した。医療的ケア児は約1.8万人で、10年で2倍近くに増加している。ひとり親世帯の相対的貧困率は5割を超え、OECD加盟国中最も高い。貧困の世代間連鎖を切るために、家庭力の向上、就学前の学習支援、給付型奨学金などの支援が必要である。フィンランドのネウボラでは全ての親子を切れ目なく支えるシステムとなっており、新生児虐待死はゼロである。日本でも子育て支援包括支援センターを2020年度末までに全国展開を目指すことになっているが、出生前に比べて出生後のポピュレーション・アプローチが少なく、1996年の厚生省局長通知[1歳前に9回、1〜3歳は年2回の健診など]は現実とは程遠い。3歳未満児の約7割は家庭で子育てしており、地域子育て支援拠点(マイ保育園)は、ネウボラと同程度なら大田区の規模で100ヶ所必要になる。

3) 成育過程におけるメンタルヘルス
         〜精神科の役割について〜
  東京医科歯科大学医学部精神科 竹内 崇
 周産期における精神疾患として、精神疾患合併妊娠と産褥期の精神障害があるが、両科のある総合病院では患者の急増に対応できない。産婦人科医会のマニュアルを基に、精神科医によるハイリスク・アプローチから、助産師・保健師および全てのスタッフが行うポピュレーション・アプローチまで段階的な対応が求められる。妊娠中はWhooleyの2項目質問票によるスクリーンングが有用である。演者の大学において、精神科・産科・新生児科・MSWによる院内連携から、地域における自殺予防、適応支援、虐待予防の支援へ移行させる取り組みが紹介された。

4)母子保健行政の最近の動向
 厚生労働省子ども家庭局母子保健課 平子哲夫
 上記の講演で紹介された諸政策に加えて、健康寿命延伸に向けたデータヘルス事業、未就学児の睡眠指針、乳幼児健診マニュアル、虐待防止ネットワーク拠点病院への虐待専門コーディネータの配置などが紹介された。

ACIP : Advisory Committee on Immunization Practices(ワクチン接種に関する諮問委員会)

「詭弁・誤魔化し・先送り」は日本人の文化(某業界紙掲載予定原稿)

2019年04月26日 | 東日本大震災・原発事故
 環境部(※)では原発・核燃問題とタバコ問題を扱ってきたが、いずれも労多くして功少なく、関わるのは馬鹿だと思われている。

 反論はもちろん可能だ。喫煙により年間十数万人が死亡し、受動喫煙でも七十数名がSIDSで死亡している現在、禁煙活動により数多くの命を救ってきたことは確かだ。

 福島原発事故が現実のものとなっただけでなく、原発輸出頓挫、もんじゅ廃炉、高速炉計画も見通しが立たず、原発・核燃サイクルが破綻したいま、反核燃活動に終結宣言を出しても良いはずだ。

 しかし、現実はそうはなっていない。

 2012年に民主党政権の原発ゼロ政策に対して六ケ所村と青森県が反旗を翻して以来、現実に目を瞑って詭弁・誤魔化し・先送りを繰り返し、「原発・核燃サイクル推進」というお題目を取り下げることは不可能となった。

 立地4市町村への国の援助が予算化されたが、誤った治療による瀕死の患者に、同じ治療を続けながら対症薬を投与するのに等しい。

 実際に、大間原発が稼働する可能性はゼロに近く、電源開発もリスクの高い大間から撤退する機会を探っているはずだ。生き残り策はダークツーリズムくらいしか思いつかない。

 むつ市の中間貯蔵施設に核燃料税目的で使用済み燃料を搬入する可能性を考えても、第二再処理工場を前提とした非現実的な契約を破棄して、再処理もされず最終処分の見込みもない半永久的な貯蔵を認めるとは思えない。

 世耕大臣はMOX用の再処理工場は断念していないと言い逃れた。福島のデブリをどこに搬出するのか、誰も議論しようとはしない。

 繰り返される詭弁を笑い飛ばす気力も失せた。戦艦大和のように誰も責任をとらず破綻まで突き進むのに従う義務はない。

 従来型の活動から脱却して『核燃サイクル後の青森』で求められる活動を吟味し、政府を置き去りにして言論や行動で現実を動かしていくべきだ。



※青森県保険医協会環境部のこと

(青森県保険医新聞5月1日号掲載予定)

八戸市議選公報で候補者を比較 これを読めば投票する候補選びはバッチグー

2019年04月17日 | 政治・行政
明日、期日前投票に行く予定なので、少し真面目に公報をチェックしてみました。新聞の立候補者の一覧表も参考にして。。実を言うと、(個人的には)このチェックリストを読んでも投票する候補はバッチグーでは決まりません、困ったことに。。

候補者の氏名及び党派別の一覧 [92KB pdf]
選挙公報 [4721KB pdf]

▽公報に政党の公認・推薦の情報を記載していない候補者が多数。自民党が多いが国民民主も数名(いずれも数えてません)。市議会では政党・会派に関わらず市民と議員との関わりが濃密であるとは言え、最大の基本情報を掲載しないのは有権者に対して不誠実。特に上条さんは特殊な政党を「新党」としか記載しないのは意図的としか考えられない。
▽詳細に一人一人評価するのは不可能だし意味がないので、総合評価と個別の項目について検討。

▽トータルのパッケージとしては、三浦さんと山内さんがわかりやすく納得できる内容。
▽逆に総合評価で最低なのは藤川さん。この方はポスターもそうだったけど、この公報の内容では女子高生レベルと言われても仕方ないのでは(…有権者を馬鹿にしてるのだろうか)。

▽以下、具体的項目を誰が取り上げたかをチェック(敬称略)。全氏についてチェックしましたが漏れがあるかもしれません。なお、山内=やまのうちたかし、山之内=山之内ゆう、これはわかりにくい(票が割れるかも)。高橋、吉田、久保も二人ずついる。

▽年齢が記載<新聞を見ればわかることだが>:吉田こうりゅう(26)、夏坂(50)、高橋まさと(36)、山之内(35)、上条(54)、あいだ(52)、中村(57)。生年を元号・西暦で書いている候補者は他にもいるが、年齢もどのような時代を生きて立候補したのか判断する上で重要な基本情報。(平成生まれは吉田こうりゅう1名のみ)
▽ネット情報を記載:三浦、高橋まさと、夏坂、高橋貴之、中村、久保ももえ、山内(7人しかいない!)

▽具体的項目の評価から外れるが、一番面白かったのは「やしま隆」氏の「中高年の主張」。内容への賛否は別として、有権者が知りたいのはこういうことなのだろうと感じた。

▽スポーツ(一般論を除いて、本人の経歴や主張などより):吉田こうりゅう(サッカー)、ひなた(ソフトテニス)、山之内(アイスホッケー)、もりぞの(スポーツクラブ)、やしま(演劇・ダンス・音楽)、山内(柔道)、豊田(ソフトボール)、たなぶ(ダンス・フィットネス)、小屋敷(ウォーキング)、立花(体育振興会)
▽伝統文化:工藤(三社大祭華屋台)、山内(騎馬打毬)、豊田(縄文・三社大祭・えんぶり)

▽市議会活性化:三浦
▽元教職:吉田じゅんいち、苫米地、山之内、岡田(伊藤は未記載=新聞には記載)

▽給食無料化:たばた、寺地(教育費無料化)、久保しょう、苫米地
▽給付型奨学金:高橋まさと、寺地(教育費無料化)、久保しょう、苫米地、小屋敷
▽小児医療費(所得制限緩和):高橋まさと、苫米地、小屋敷、たなぶ(医療介護の助成拡充)

▽原発・核燃サイクル:たばた、山名
▽消費税:たばた、久保しょう、苫米地
▽憲法:たばた、久保しょう、苫米地、やしま

▽地域を特定:ひなた(鮫・浜通り)、松橋(大館)、あいだ(中心街)、中村(中居林・江陽)、立花(本八・中心街・長根)
▽八戸駅:岡田、工藤、山内(←駅西口開発がなぜ2002年でなはく2019年の論点になっているのか個人的には理解できないのですが)

▽子育て中をアピール:三浦、久保ももえ、たなぶ
▽その他:三浦(くらし=6項目の掛け算)、伊藤(共創・市民派)、たばた(九十億円の新工場団地批判)、石橋(八戸→はちのへ改名)、坂本(LNG、国立海洋研)、小屋敷(コンパクトシティ)

▽医療関係者:なし
▽福祉関係者:石橋(障がい者施設)、苫米地(養護学校)、高山(住職)、豊田(社会福祉法人)

▽ここに名前が出てこない方は評価に値しないという意味です。私の場合、選挙期間中に選挙運動に接する機会がほぼゼロなので、公報の情報で判断するしかありません。ただし、前述のように、これで投票行動が決まるかと言えば、そうでもないと言わざるを得ませんが。。

元号が国民生活を象徴する時代の終わり/天皇は三代の継投策へ

2019年04月01日 | 平和・人権
新元号発表が近づくにつれ興味が失われつつありますが、発表前夜に、あえてブログに記録しておきます。

★ 新元号への期待が薄れ、この機会に元号をなるべく日常生活や仕事から排除していこうと考える理由。

1)不便を通り越して障壁になっている(説明省略)

2)選択に恣意的な要素が入る可能性(不明)

3)昭和と平成の時代は確かにこれまでの前半生・後半生だったと言えるが(1989年は公私共に大きな区切りの年だった)、新たな元号と残りの人生を結びつける必然性は薄そう

4)新天皇は前二代の天皇(祖父世代と父世代)と違い同世代なので、敬意よりも親近感の方が大きく、その時代の元号に象徴性を感じることは少ないだろうと思われる(…良い意味での新たな天皇像を期待したい)

5)一番大きいのは、皇位継承者が「弟→甥」という順に移るので、おそらく次の元号は20年程度、秋篠宮天皇は10年程度の短期継投策が予想される。更にその次の悠仁天皇の元号(昭和から数えると5つ目)まで見届けられるかどうかわからないが、その時代には元号は象徴的な意味すら持たなくなっているだろう。
(官公庁や学校、それに連なる仕事をしている方などは否応無く新元号への移行と使用を余儀なくされるとは思いますが、現実生活ではそういった方でも同様のはず)

※この皇位継承については、現時点では表立って議論はされていないが、かなりセンシティブな問題になることが予想される。
「叔父→甥」という形も想定されるが、明治以降「父→長男」の継承が続いてきたことを考えると、健康状態などを考慮して上記のような三代の早期継承が次善の策だろうと思われる。
30年後に悠仁天皇は40代なので、平成の30年を超える在位となる可能性が高い。(が、それは30年後の次の30年というお話)

更にその次の時代については、「今の時代」の国民や政治家が「丁か半か」の博打に賭けることを決めてしまったので(…もう議論のタイムリミットは過ぎた)、どうなるかは全くわからないし、心配する気も失せた。

(どうなっても今の政治家は生きてないから責任は取りません。この時代の「解決不能問題」の一つ。無論、本質的な議論を掘り下げれば解決不能ではないはずなのですが)

次の元号が何になるかなどということに熱狂するほど象徴天皇制を維持したいのであれば、1億人のプレッシャーをものともせず悠仁親王に嫁入りする女性が現れて、いとも簡単に男子を出生するというシナリオについて少しでも疑問を感じた方が良いのではないだろうか。

悠仁親王および未来のプリンセスに対して、皇室の維持(=「国体の護持」)と個人の人権や幸せという観点で議論すべきではないのか。

ということは、30年後であっても望めないだろうと思う。(そもそもそれは議論しても始まらない問題なのだから)

結論)新たな元号は何に決まろうが、喜んだり悲しんだり憤ったりするのは無意味。ただ傍観するのみ。(再度記載しますが、新天皇には期待しつつ見守りたい)

リスク軽減を主題として協会の(脱原発・反核燃)活動を考える(2018年12月掲載原稿)

2019年01月30日 | 東日本大震災・原発事故
これは2018年12月に青森県保険医協会の新聞に掲載された記事です。紹介が遅れましたが(草稿の段階でFBに掲載しましたが一部修正されています)、一読してお分りいただける通り、現状に対する強い危機感と閉塞感から書かれたもので、最後段の提起については具現化を考えていますが道筋が立っていません。
-----------
「リスク軽減を主題として協会の活動を考える」
 残された時間は長くない。福島原発事故の三十年後まで見届けることを誓ったが、2042年には高齢者数がピークに達する(河合雅司『未来の年表』)。私たちも例外なく老いて、今の子どもたちである現役世代は年々減少し、社会機能の維持が難しくなってくる。

 福島の廃炉作業は行き詰まって方針転換を余儀なくされているはずだ。核ゴミの最終処分場は解決の見込みがなく、次世代に持ち越せば更に困難となる。半ば永久的に青森県内に存在し続けることを前提に考えるべきだ。

 六ヶ所再処理工場が廃止されても被曝を伴う解体作業は長期間で莫大な費用を要する。各地の原発廃炉も含めて、被曝労働と費用を次世代に負担させるという倫理的問題が残る。

 原発・核燃問題に関しては、政府・推進派が誤りを認めて謝罪し、政策転換しない限り、中立的な立場や「二項対立を超えた議論」は存立し得ない。反対しなければ賛成とみなすという姿勢は変わっていないからだ。脱原発は公正な社会を遺すための最低条件と言える。

 一方で、日常的に県民の健康に関わっている医師・歯科医師の団体である協会は、どのようなスタンスで何を目標に活動すべきなのか。他団体やネットワーク、選挙や政治との関わりについて、中間的な8割の会員や県民の感覚と乖離していないか危惧している。

 プルトニウム削減が義務付けられ、核燃サイクルは事実上頓挫したが、政策転換は先送りされる。これらの現状を踏まえて、将来世代のリスク軽減という観点から、①高レベル廃液、②使用済み燃料/乾式貯蔵、③ガラス固化体/直接処分/最終処分場、④保有プルトニウム、⑤中レベル廃棄物、⑥再処理廃水と福島の汚染水、⑦廃炉作業、⑧立地地域対策等について、専門家を交えた本音の討論の中で現実的な合意形成を目指せないだろうか。

 再エネ地域電力の斡旋事業も着実な一歩だ。

自由研究「八戸の夏は暑くなっているか」1951〜2018年の最高気温の分析から

2018年10月04日 | 環境・エネルギー
<結論>
1)7月は暑くなっている可能性が高いが、比較期間の設定により変化しうる
2)8月の傾向はこの検討では何とも言えないが、
3)ヤマセの影響もあり変動が大きく、8月後半でも暑くなることもある
4)熱中症の危険性を考えると八戸三社大祭は9月にすべき

<方法>
気象庁のサイトから1951年〜2018年の7/1-8/31の最高気温をダウンロードし、エクセル上で整形し、1951-2010年の最高気温の平均、最高、最低、2011-18年の最高気温、平均を算出
WBGTは熱中症サイトからダウンロード(7/1-8/31)

<結果>
図1 1951-2010年の最高気温の最高、平均、最低(各太線)の上に、2011-18年の最高気温を重ねてみた

変動が大きく、一見して何かの意味を読み取るのは難しい。
7月は平均(黄色)よりも上に偏っているように見える。
8月は2017年(オレンジ色の太線)のように低温が続いた年もあり、変動が大きく傾向は読み取れない。

図2 2011-18年も平均してみた(オレンジ色)

特に7月から8/5頃にかけて、黄色より上の部分が大きくなっているが、8/20過ぎの数日も高くなっているように見える。比較期間が前者は60年、後者は8年なので、今後の傾向を追加していかないと(あるいは比較期間を変えてみないと)なんとも言えない。

図3 7月の最高気温の平均

各年の平均最高気温の推移と、その平均。51-10平均(緑)と比べて、11-18平均(黄色)は高くなっているように読み取れるが、これも比較期間の選定により変わり得る。

図4 8月の最高気温の平均

こちらは、各年の推移と平均値(過去60年間と最近8年間)を見て、明らかな傾向は指摘できない。

表1 7月と8月の最高気温の平均

以上を数字で示すと、7月は平均で1度以上高くなっているが、8月はほとんど差がない。

図5 三社大祭開催期間(8/1と8/3)の最高気温

1970年代半ばにも高温の時期があったことが示されている。1990年代後半以降は、ほぼ隔年で32℃以上に上がっている。

図6 かつての三社大祭開催期間(8/21と8/23)の最高気温

「8/1と8/3」に比べると32℃を超える日数は明らかに少なくなっているが、数年に1回は2日のうちどちらかが32℃を超えていることが読み取れる。

表2 7/31-8/4の最高気温

図2のうち、現在の前夜祭〜後夜祭の期間(7/31-8/4)を表にすると、過去の最高気温がいずれも34℃を超えており、過去最高の37℃(1978年)を記録したのもこの期間である。図2をみてわかる通り、この期間が最も最高気温が高い時期であり、屋外で長時間の活動を強いられる祭りをあえて期間に実施する危険性について厳しく再考すべき。

表3 8/20-8/24の最高気温

同様に8/20-8/24を表にしてみると、過去60年間では平均が26℃台かそれ以下であるのに対し、直近8年間のうち4日で27℃か28℃を超えている。2018年の最高気温はこの期間に観測されており(図1)、7/31-8/4よりは低くなる可能性が高いものの、変動幅が大きくこの時期が安全であるとは判断できない。むしろ、今後危険性が増ことを想定した方が良いだろう。

図7 暑さ指数(WBGT)と気温の関係

実際の熱中症対策の指標となる暑さ指数(WBGT)と気温の関係を2018年の8月に限って調べてみたが、両者はほぼパラレルに動いており、最高気温が高かった3つの時期で解離がみられるものの、WBGTが「危険」となる31℃以上に上がった日はなかった。ただし、8/1と8/20過ぎの時期は「厳重警戒」を超えており、今後もどの時期でも厳重警戒以上になり得ると考えた方が良いだろう。

図8 気温(乾球温度)と相対湿度、WBGTの関係

例えば同じ32℃であっても、湿度によってWBGTの値には大きな差が生ずる。図7での解離はそのためと考えられるが、8月後半から9月に入れば同じ気温でも湿度が下がって過ごしやすくなるはず。今回の検討では9月は調査していないが、9月以降遅ければ遅いほど熱中症の危険性が低くなるのは自明の理である。

以上について、①正常性バイアス、②事故防止に関するハインリッヒの法則、③熱中症予防と水分補給についての誤解(必要条件と十分条件の違い)等について考察を加えた上で、正式に要請文を個人名で出そうかと考えたが、面倒なのでやめることにする。子どもの命が大事でないわけではないが、ここで得られた結論は実証的ではあるが、ある意味では自明の話とも言えるので、これをもって新たな知見が得られたとして変化が起きることは考えにくい。

取り返しのつかない事態が起こる前に、自律的に変化が起きることを期待したいとは思うが。。

「喫煙率ゼロ達成」2014年の推定2033年から、2018年の推定2041年に8年先送り

2018年10月03日 | 禁煙・防煙
「喫煙率ゼロ達成年推定」2014年から4年経って、推定は2033年から2041年に8年も先送り。


喫煙率調査はJTデータ(7月発表)で、9月発表の厚労省データではありません。

単純に直線を引いてゼロになる年を計算するだけ。期間は男女が2000-2018、合計が2000-2018。


男性 減少率 -1.4%/年 あと19.5年(2037年)
女性 減少率 -0.3%/年 あと31.3年(2049年)
合計 減少率 -0.8%/年 あと23.9年(2041年)

上記の表で、男女の起始年も2010年にすると、男性は減少率が0.3%鈍って達成年が6年も先送りになり、女性は減少率が0.1%加速して達成年も10年前倒しになることがわかります。
男性は2010年代半ばからの足踏み
女性は2000年代の足踏みとその後の減少
がグラフでも見て取れます。

同じ試算を2014年にした時には、
男性(2000-2014):あと18.3年(2032年)
女性(2005-2014):あと22.1年(2036年)
合計(2010-2014):あと18.8年(2033年)
(ここで女性が2005年からなのは恣意的だったのですが、今回、男性に合わせました)

201809福島県の小児甲状腺がん3巡目15人(+3)累計201人 3巡目の減少はほぼ確定

2018年09月07日 | 東日本大震災・原発事故
前回(6月)から、3巡目で3人増加しました(確定+2、疑い+1)。大筋では特に変化はありません。当日の議論も議事録が出ていないのでまだ把握していません。

第32回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成30年9月5日)資料

前回記事「福島県の小児甲状腺がん:115+71+12=198人 地域差と3回目の減少が確定的 2018年06月28日」に上書きして記載します。

甲状腺がん患者の発見状況
先行検査①:2011-13
本格調査②:2014-15
本格調査③:2016-17
(以下、数字のみで表記)


表1 患者数の推移

① 2017.06、2018.06で変わりなし
 確定101+疑い14=115 (他に手術・良性1)
② 2018.06と変わりなし
2017.10 確定50+疑い21=71
2018.03 確定52+疑い19=71
2018.06 確定52+疑い19=71

2017.10 確定3+疑い4=7
2018.03 確定7+疑い3=10
2018.06 確定9+疑い3=12
2018.09 確定11+疑い4=15
合計
 確定164+疑い37=201

累積患者数に意味がないことは何度も書いた通りです。

発見率
① 38.3/10万人
② 26.2
③ 6.9(前回 5.5)

推定発症率
① 3.8/10万人
② 11.9(前回は13.1)※
③ 3.4(前回 2.8)

①は1/10(スクリーニング効果を10倍と仮定)
③以降は1/2(検査間隔2年)
②2巡目の計算方法を再び変えています
 13市町村→1/2.5
 その他の地域→1/2
 県全体→1/2.2(※前回は1/2としていた)

地域別の発見率(表・グラフ)




地域別の推定発症率(グラフ)


結論および推論
1)①の患者数がスクリーニング効果だけなのか、放射線被曝の影響が加わっているかどうかは、③の結果が確定して④の傾向が出始めれば評価できるだろうが、被曝の影響はあったとしても評価が難しい程度ではないかと推定される。

2)②の増加が県全体で顕著で、③が減少に転じていることも確定的。③の結果確定待ちだが、③は一次の受診率が64.6%で判定率は100%、二次の受診率は61.6%で確定率は90.5%なので、③の患者数は②の1/3程度にとどまる見通し。

3)②で地域差が明らか。13市町村>中通り>浜通り>会津。③では13市町村>中通り・会津>浜通りとなっている。絶対数が少ないので評価が難しいが、13市町村が多地域や県全体の倍程度の数字となっており、被曝の影響を否定できない。

4)②③の傾向が④以降どうなっていくのか、引き続き検査を継続して変動を見守っていく必要がある。個々の患者さん・県民の権利を守り、被曝影響との関連を知るためには、検査態勢は維持して継続することが重要。

註:全体の流れとして被曝の影響があったかどうかが評価できたとしても、個々の患者さん・県民についてその有無や程度を個別に確定できるわけではないというのが、どのような場合であっても前提となる原則です。

その中で、どの程度の影響があったのか、あるいは影響が判定できない程度だったのかを客観的に知ることは、すでに診断されている患者さん一人一人にとっても重要なことだと考えます。

甲状腺がん集計外11人→必要な情報を明らかにすべき:第10回甲状腺検査評価部会(2018年7月8日)

2018年07月31日 | 東日本大震災・原発事故
7月8日の甲状腺評価部会で発表された集計外の11人(医大で手術)の資料を整理してみました。
(と書いたのが7/20ですが、アップし忘れてました)

この11人のうち、8人は甲状腺検査を契機として診断されており、そのうち7人は保険診療・経過観察を経て手術されています。
少なくともこの8人については、本来、元の検査(一巡目、二巡目?)の集計に加えられるべきですが、今回の発表ではその詳細が明らかになっていません。
また、福島医大以外での集計外症例も明らかになっていません。

なお、同日資料において、高野らによる「倫理的問題と改善案(早期診断の有用性を否定)」が提起されたが、吉田明教授による「若年者の臨床経過」「超音波検査の有用性」によって、ほぼ全面的に否定された。
(議事録は未読:未公開)

第10回甲状腺検査評価部会(2018年7月8日)資料
http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-b10.html
資料3「甲状腺検査集計外症例の調査結果の速報 福島県立医科大学甲状腺・内分泌センター長 横谷 進」より

福島県立医科大学付属病院で診療した、甲状腺検査集計外の甲状腺がんの症例

2011.10.9 - 2017.6.30
医大病院で手術を受けた患者
160人(良性2人)
 集計内 148人(良性1人)
 集計外 12人(良性1人)
  ↓
集計外の悪性11人
 甲状腺検査と無関係に受診 3人
 甲状腺検査を契機に受診  8人
  一次検査でB判定、二次検査を経由せずに受診 1人
  二次検査から保険診療・経過観察を経て手術 7人
   二次検査で穿刺吸引細胞診実施せず 5人
   穿刺吸引細胞診実施し「悪性/悪性疑い」以外 2人

性別 男性4 女性7
事故時年齢 13.8 ± 4.0歳
(0-4歳:1、5-9歳:1、10-14歳:4、15-19歳:5)

避難区域13市町村:4人、中通り:4人、浜通り:3人、会津:0人
(註:人口比で考えると13市町村の患者数が多い)

同時点で甲状腺検査により「悪性ないし悪性の疑い」と診断 193人
(良性1人を除く)

医大病院で手術を受け甲状腺がんと診断 158人
(集計内147、集計外11)

193−147=46人 医大以外で手術

医大以外での集計外患者数は不明
推定 3〜4人
 11/147=x/46
 x=(11×46)/147=3.4人

結論
この11人については、情報が明らかにならない限り「集計外」として扱わざるを得ない。少なくとも8名については1巡目か2巡目かといった情報だけでも明らかにすべき。

折爪岳は「北上高地最北端の独立峰」ではなく折爪断層による連峰の一部<直下型地震注意>

2018年07月17日 | 東日本大震災・原発事故
Facebookに書いた「折爪岳は独立峰か?」の続きですが、各種観光案内ページなどにも決まり文句として「独立峰」と書かれているようです。(>_<)

北上高地の最北端に位置する独立峰「折爪岳」(二戸市観光協会)
http://ninohe-kanko.com/archive/oritsume.pdf

NHKさわやか自然百景「岩手 折爪岳」
https://www.nhk.or.jp/sawayaka/contents/program/2009/8/20090809_orizume.html
岩手県を南北250㎞に渡ってつらなる北上山地。折爪岳は、その北端に位置する独立峰です。

まず、赤色立体地図のスクリーンショットを掲載しておきます。



中央右寄りの山塊が折爪岳、その北に名久井岳、馬淵川を挟んで辰ノ口撓曲(※)。

折爪岳の南側にも、地形図によると、小倉岳652m、傾城峠736m、就志森770m、名前のない726mと連なっていて、葛巻町で断層は終わっているようです。

折爪岳の左(西)が二戸、馬仙峡の渓谷の南が一戸。
「+」印のずっと南にある巨大なカルデラが七時雨山。
画面左下(南西)の高原が八幡平。

この地図を見ても一目瞭然で、折爪岳は折爪断層によって形成された連峰の一部で、独立峰ではありません。
また、北上高地の最北端も、名久井岳とみるべきでしょう。

ちなみに、Wikipediaの「北上山地」によると、
「東に太平洋、西に北上川・馬淵川が作る低地帯に接する。…北は青森県南東部の階上岳付近を末端として、南は宮城県の牡鹿半島を末端としている。」
となっているので、最北端は階上岳のようです。

※地震調査研究推進本部の解説によると、折爪断層の北端は名久井岳ではなく、馬淵川を越えて旧倉石村に至る「辰ノ口撓曲」だとのこと。
(下記ページに掲載されている地図参照)

折爪断層全体が動くと、M7.6程度で、震度6強〜7、八戸でも震度6弱〜5強が予測されているので、直下型でこれが来れば相当な被害が出るはず。
ただし「最新活動後の経過率及び長期確率は不明」。
こういうのは心配しても仕方がないけど、起きた時に「想定外」だったという言い訳はできません。。

------------------------------------------------
折爪断層(地震調査研究推進本部)
 折爪断層は、青森県三戸郡倉石村(現・五戸町)から岩手県岩手郡葛巻町北部に至る断層で、北部は辰ノ口撓曲からなります。長さは最大47km程度である可能性があります。
 折爪断層の将来の活動については不明です。仮に全体が一つの区間として活動した場合について試算すると、経験則から、発生する地震規模はマグニチュードが最大で7.6程度で、そのときの上下変位量は最大で4m程度となります。本断層の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は不明です。
https://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f011_oritsume.htm

折爪断層の長期評価について
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/04apr_oritsume/index.htm
------------------------------------------------

福島県の小児甲状腺がん:115+71+12=198人 地域差と3回目の減少が確定的

2018年06月28日 | 東日本大震災・原発事故
前回から間があいてしまったが、傾向に大きな変化はないようです。

第31回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成30年6月18日)資料

甲状腺がん患者の発見状況
先行検査①:2011-13
本格調査②:2014-15
本格調査③:2016-17
(以下、丸数字のみで表記)


① 2017.06、2018.06で変わりなし
 確定101+疑い14=115人 (他に手術・良性1)

2017.10 確定50+疑い21=71人
2018.03 確定52+疑い19=71
2018.06 確定52+疑い19=71

2017.10 確定3+疑い4=7人
2018.03 確定7+疑い3=10(+3)
2018.06 確定9+疑い3=12(+2)
合計
 確定162+疑い36=198人

累積患者数に意味がないことは何度も書いた通りです。

発見率
① 38.3/10万人
② 26.2
③ 5.5

推定発症率
① 3.8/10万人
② 13.1
③ 2.8
(①は1/10、②③は1/2)

地域別の発見率(表・グラフ)




地域別の推定発症率(グラフ)

(①は1/10、②の13市町村は1/2.2、②の他の地域・県平均と③は1/2)

結論および推論
1)①の患者数がスクリーニング効果だけなのか、放射線被曝の影響が加わっているかどうかは、③の結果が確定して④の傾向が出始めれば評価できるだろうが、被曝の影響はあっても限定的だろう。
2)②の増加が県全体で顕著で、③が減少に転じていることも確定的。(③の結果確定待ちだが)
3)②で地域差が明らか。13市町村>中通り>浜通り>会津。③で同様の傾向が出てくるようだと、被曝の影響とほぼ確定できる。
4)②③の傾向が④以降どうなっていくのか、引き続き検査を継続して変動を見守っていく必要がある。

「朝鮮半島の非核化と核燃料サイクル」(青森県保険医新聞掲載):核の無意味化と核燃サイクルの終焉

2018年06月22日 | 東日本大震災・原発事故
#ここで重要なのは「北朝鮮の核廃棄」ではなく、世界的な核廃絶のプロセスの中での「朝鮮半島の非核化」であり、米国による「核の傘(脅し)」も排除することが必要だという点です。核禁条約への加盟という一見あり得ない案は、ノーベル平和賞ICANの川崎氏の主張を取り入れたものです。

---------------------------------------------------
「朝鮮半島の非核化と核燃料サイクル」

 4月に開催された南北首脳会談の前に「米国がノーと言えないロードマップ」と題した予測をSNSに書き記した。①南北2国間で朝鮮戦争終結・平和条約締結(の声明)、②南北統一は当面先送り、③「朝鮮半島の非核化」宣言(南北同時)、④韓国が米国の核の傘から離脱、⑤南北同時に核兵器禁止条約加盟(核兵器は未廃棄)、⑥米朝国交正常化・平和条約締結(制裁は未解除)、⑦段階的な核兵器廃棄と制裁解除、⑧在韓米軍撤退。

 ここで詳しくは触れないが、①②③については概ねその方向で動いていると言えるだろう。④以降について、この通りに進む可能性は低いかもしれないが、文大統領は相当な覚悟で動いていると考えられ、専門家の予測とは違ったサプライズも十分にあり得る。

 重要なのは、70年近く継続してきた戦争状態をまず終わらせることであり、それが全ての始まりになる。「完全かつ不可逆的で検証可能な非核化」と繰り返し唱えるばかりでは、蚊帳の外に置かれるのも当然であろう。

 ④⑤は決して理想論ではなく、何も動かさずに情勢を百八十度転換でき、米国の核使用や先制攻撃の可能性も事実上なくなる。同時に、北朝鮮が核を保有する意味も消滅するため、即時の廃棄も可能となる。国交正常化と核廃棄の順序が逆では、実現は難しくなる。

 核兵器廃棄の段階について考えると、北朝鮮としては核兵器は廃棄しても、ポテンシャルは残しておきたい。ここで、ウラン濃縮と再処理の2つを非核保有国で保持している唯一の国が日本であることが絡んでくる。韓国は従来から日米原子力協定で認められている再処理と同等の権利を米国に求めており、南北統一を視野に入れて、北の核施設を民生用に残すと要求することで利害が一致する。

 米国は当然そのような条件は認めたくない。3月の猿田佐世氏の講演によると、米国内では原子力推進派であっても日本の再処理に賛成する人はほとんどいない。日米原子力協定は7月に自動延長となるが、それ以降は6か月前の通告で終了できる。米国にとって何のメリットもない日本の再処理を、取引材料に使うことはあり得る話だと考えている。

 米朝首脳会談後の展開がどうあれ、六ヶ所と北朝鮮の核は密接不可分である。北東アジア非核兵器地帯については長崎大学核兵器廃絶研究センターのHPを参照いただきたい。

---------------------------------------------------

(原稿は以上で、字数の関係から触れられていないが、Facebookにはその他の重要ポイントについてもメモしているので、ここに再掲しておく)

・核兵器の完全廃棄の確認は不可能
・韓国が核の傘から離脱した時点で最前線は日本列島に(これまでも北朝鮮が韓国を核攻撃する可能性はゼロだったのだが)
・北の体制保証と金王朝永続の保証とは違う(次の課題)
・拉致問題は、米朝→日朝国交正常化の後に…
・南北朝鮮統一のためには、統一国家を永世中立国とすることが必要。混乱・難民化回避と新国家建設のために国連PKOを第三国で構成して駐留。ただし、金正恩体制のままでは統一は不可能。

更に追記
金王朝の永続ではなく、南北朝鮮の中立国家としての統一という、これまたあり得なさそうに思えるプロセスを考える上で、最も重要なことは経済開放、民間交流の拡大であり、その中で起こってくる情報の共有が、必然的に南北両国家間の一定の方向性を決めてくると考えている。。中国の習近平は自国同様の資本主義+強権国家の維持を目論んでいるだろうが、朝鮮半島の流れは動き出したら止まらなくなるはず。(流動化は危険性も伴うが)

都道府県別喫煙率(2016年):青森県は男性・女性・男女総合ともに銀メダル(2位)に

2018年05月31日 | 禁煙・防煙
昨年(2017年)公表された都道府県別喫煙率(2016年)。3年毎の国民生活基礎調査のデータですが、過去2回(2013、2010)はいずれも男性1位、女性2位、男女総合2位。
(銀、金、銀メダル)



今回、佐賀が停滞したため男性の連続金メダルの記録は途絶え、男・女・合計ともに銀メダル(2位)ということで覚えやすくなりました。

上位(ワースト)は、北海道、青森、佐賀の争いで、岩手・福島の東北勢がしぶとく実力を発揮。

下位(ベスト)の京都・奈良とは男性で依然として10%近くの大差。(わずかに縮まったとは言え)

都道府県別喫煙率(国民生活基礎調査)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/smoking.html

都道府県別喫煙率をグラフ化してみる(国民生活基礎調査) 2017/07/10
http://www.garbagenews.net/archives/2185244.html

都道府県別の健康寿命(2016年) 青森県男性は健康寿命34位、闘病期間1位(最短)

2018年05月30日 | 禁煙・防煙
2016年の都道府県別の健康寿命が発表になっています。
青森県
男性 健康寿命34位 制限期間1位(最短)
女性 健康寿命20位 制限期間4位
この結果は、発見時に手遅れで、見つかってから早期に亡くなってしまう人が多い結果だろうと予想したのですが、他の都道府県との比較が数字だけではわからないので、散布図にしてみました。




全体として、男女とも右肩下がりに分布している。
散布図の右上の方が平均寿命が長く、左下の方が短かい。
(わかりやすくするための赤の補助線を入れてみました=当初の図の補助線がいい加減だったので、正確なものに差し替えました)
そして、青森県、特に男性は左下の飛び地。
健康寿命ビリの秋田県は、闘病期間が少し長いので、全国の集団からさほど離されないで済んでいる。

この「健康寿命」「闘病期間」と「平均寿命」の関係については様々な要因がありそうなので、専門家の見解を知りたいところですが、これを見ると男女とも長野県は健康寿命は中位で、その中で闘病期間が比較的長めなので、平均寿命が長くなっていると読めます。
これが早期発見の結果なのか。

逆に青森県は男女とも闘病期間が短かいのは、手遅れが多いからなのか。
(このグラフからはそう推測されますが)

むしろ、長野県よりも、山梨県(男性)や愛知県・三重県(女性)などを参考にした方が良いのではないか。
とも思えます。
「長野県長寿神話」を過信していた可能性は?