踊る小児科医のblog

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今年のインフルエンザ予防接種は… <予約開始>

2010年07月17日 | 新型インフルエンザ
 これまでお知らせしてきたように、今シーズンのインフルエンザワクチンはA香港型+B型+AH1N1/pdm(いわゆる「新型」)の組み合わせになります。国内で必要量は確保される見通しなので、昨年のような優先順位は設けずに、例年通り申し込み順で希望者に接種する予定です。10月中旬に接種開始の見込みで、接種価格は未定です。予約開始しますので随時お申し込み下さい。

 インフルエンザウイルスは常に変異を繰り返しており、同じ型の中でも最新の流行状況に基づいた株が用いられており、昨シーズン接種したワクチンとは異なります。なお、子どもの接種用量をWHO推奨量に増量する申請が出されていましたが、今シーズンには間に合わず従来通りの量になるとの情報です。

(院内報より)

院内版感染症情報~2010年第02週(01/11~01/17)

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 インフルエンザは11月中旬にいったん減少し、11月最終週をピークに急上昇した後、減少傾向が続き、冬休みに入ってほぼ下火になりました。7月から12月中旬までに全国で1400万人以上が感染し、その8割の1100万人は未成年だという推計も発表されましたが、未成年の人口は2300万人程度ですので、疑い例や不顕性感染を含めると、すでに子どもの過半数は感染したものと推測されます。乳幼児や大人を含めて、未感染の人もある程度残っているので、3学期に入って小さな山がみられるかもしれません。12月末現在ウイルス定点で検出されているインフルエンザウイルスはほぼ全てA/H1N1(いわゆる新型)ですが、今後A香港型などの季節性が流行してくるかどうか注意が必要です。

 ほかの感染症は目立ちませんが、インフルエンザが下火になるのと入れ替わりに、この時期に毎年見られるウイルス性胃腸炎(ノロまたはロタウイルス)や咳がひどくなるタイプ(RSウイルスなど)が増えてきています。

 一部の保育園などで水ぼうそうやおたふくかぜが流行しているようですが、水ぼうそうやおたふくかぜのワクチンは個人防衛ためのもので、流行は野放し状態にあると言えます。(米国では両ワクチンとも公費で接種されています)
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

ゼロ歳児も接種開始~インフルエンザワクチンの接種状況

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 基礎疾患のない健康な成人に加えて、これまで接種できなかった0歳の乳児(当院では6ヶ月以上)にも接種できるようになり、全ての年齢で接種できることになっています。また、既に感染した子どもも多く、流行も下火になっていることから、予約された方にはできるだけ早いうちに接種を終わらせてしまいたい状況にあります。今後はワクチンの入荷も予約分のみに絞っていきますので、0歳児や健康な成人も含めて、ご希望の方は早めにお申込みください。季節性ワクチンの接種は終了しております。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

輸入インフルエンザワクチンは使用しません

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 中高生までは国産ワクチンを接種することになっていますが、大人でも入手できる限り国産ワクチンで接種します。輸入ワクチンは国産と違って免疫を高める成分が入っていて筋肉内注射が必要なことや、使いにくい大瓶であること、国内での使用経験がなく副反応などの懸念も解消されていないことから、 当院では使用しないことにしました。国産ワクチンの供給も余裕がある状況なので、 輸入ワクチンはほぼ全量余ることになるでしょう(これも税金)。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

インフルエンザ終息へ ウイルス性胃腸炎流行中

2010年01月05日 | 新型インフルエンザ
全国の小児科医有志が連日データを入力して集計している「MLインフルエンザ流行前線情報データベース」
(私も以前参加していたのですが今は見るだけになってます)
http://ml-flu.children.jp/

毎週月曜日のピークは11月下旬以来低下し続けていたところで、お正月明けの1月4日に注目していたのですが、わずかに認識できる程度の小山で、9月以前のレベルまで下がっています。
もちろん、感受性者がいる限り感染する人は今後もいるでしょうし、冬休みが終わったら小さな流行が見られるところもあるでしょう。
しかし、全体としては終息に向かっていることは間違いありません。
(WHOの事務局長が「終息には程遠い」と言っているのは途上国も含めた世界的な話で、北半球の多くの国では同じようにピークを過ぎているようです)
今後は季節性(特にA香港型)にむしろ注意していくことになります。

現在、流行の中心はウイルス性胃腸炎(ノロまたはロタウイルス)になっています。

インフルエンザワクチンの接種状況 輸入ワクチンについて

2009年12月30日 | 新型インフルエンザ
 健康な成人を含めて全ての国民が接種できると発表になっています(下記のように輸入ワクチンも含めると供給過剰になります)。また、既に感染した子どもも多く、流行も下火になってきていることから、予約された方には出来るだけ早いうちに接種を終わらせてしまいたい状況にあります。季節性ワクチンの受付は終了しております。

<輸入インフルエンザワクチンについて> 中高生までは全員国産ワクチンを接種することになっています。大人も可能なかぎり国産ワクチンで接種したいと思いますが、当院では輸入インフルエンザワクチンを使うかどうか決めていません。輸入ワクチンは政府が過剰に契約したため余ることが確定的になっています(これも税金)。国産と違って免疫を高めるための成分が入っていて筋肉内注射が必要なことや、使いにくい大瓶であることなどから、できれば使用せずにシーズンを終えたいと考えています。今後の状況により判断します。

インフルエンザは下火、ウイルス性胃腸炎が増加

2009年12月30日 | 新型インフルエンザ


 インフルエンザは11月中旬にいったん減少し、11月最終週をピークに急上昇した後、減少傾向が続き、冬休みに入って一段落の状態です。7月から12月中旬までに全国で1400万人以上が感染し、その8割の1100万人は未成年だという推計も発表されましたが、未成年の人口は2300万人程度ですので、疑い例や不顕性感染を含めると、すでに子どもの過半数は感染したものと推測されます。乳幼児や大人を含めて、まだ感染していない人の総数は多いため、3学期に入って小さな山がみられるかもしれません。12月末現在、ウイルス定点で検出されているインフルエンザウイルスはほぼ全てA/H1N1(いわゆる新型)ですが、今後A香港型などの季節性が流行してくるかどうか注意が必要です。

 ほかの感染症は目立ちませんが、インフルエンザが下火になるのと入れ替わりに、この時期に毎年見られるウイルス性胃腸炎(ノロまたはロタウイルス)や咳がひどくなるタイプ(RSウイルスなど)が増えてきているようです。

 一部の保育園などでおたふくかぜが流行しているとの情報もありますが、水ぼうそうやおたふくかぜのワクチンは個人防衛ためのもので、流行は野放し状態にあると言えます。(米国では両ワクチンとも公費で接種されています)

不可解な青森県内のインフルエンザ報告[型別]

2009年12月11日 | 新型インフルエンザ
第49週の週報(PDF)に、不可解な集計が掲載されていました。
地区別の型別報告数を見てみると、八戸ではA型が6割、B型がごく少数で、残りは「不明」となっているのですが、他地区では「不明」がほとんどなく、弘前、むつ、五所川原などは「不明」がゼロなのです。
これは一体どういうことでしょうか?

インフルエンザの迅速検査は、現在のように発症直後や軽症者の受診が増えている状況では、陽性になるのは5~6割程度で、これは種々の情報と一致しています。
当院で提出しているデータも、大体半々くらいになっています。
八戸の報告数はその状況をほぼ反映しているものと思われます。

他の地区では飛び抜けて陽性率が高い? 検査キットの感度が違う?
陰性者に翌日検査するなどして陽性率を上げている?
もしかしたら、陰性者はインフルエンザ報告数にカウントしていない?
もしそうだとしたら、八戸地区は県内他地域よりも低めで推移しているのですが、他地域は本当ならもっと多いということになるのですが。。

いずれにせよ、八戸地区と他地区では同じ意味合いを持つ数字とは考えられません。

青森県感染症発生動向調査
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/kansen2009.html

インフルエンザ:2週連続減少へ
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/b1f580e9a18af2cb79de5dbd4613d41f

インフルエンザ:2週連続減少へ

2009年12月09日 | 新型インフルエンザ
全国、県内、地域の学校、当院のデータを合わせてみても、おそらく先々週(第48週)がピークと推測します。
先週(第49週:11/30-12/6)は当院では大幅に減少して先々週の半減。
今週も昨日までの様子だと更に減少することは確実です。
「県内全域で警報」というニュースは先々週のデータを元にした過去の話です。
既に感染者が当地の小学校では3割を超えているので、不顕性感染や軽症感染者を含めると5割は感染しているだろうと推測しています。
まだ小さな波は来るかもしれませんが、これから更に高いピークを形成することは考えにくいかと思います。
地域、学校、クラスによってまだ差がみられることから、流行開始が遅れた地域では急に増えるところもあるかとは思います。
小中学校から保育園や低年齢層に移りつつある様子もあります。
おそらく冬休みに入れば散発的になってくるでしょう。
県や医師会が考えている「1月に集団接種」などナンセンスです。

過去10年間との比較グラフ(週報)> インフルエンザ(感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html

MLインフルエンザ流行前線情報データベース(http://ml-flu.children.jp/)
http://210.233.67.206/graphimg/daily_graph2.png?1259937117

当院および八戸地域、青森県のサーベイランスデータ
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/b1f580e9a18af2cb79de5dbd4613d41f
(この記事)

感染症情報~2009年第47週(11/16~11/22)

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ

 インフルエンザが全ての地域・学校で流行中です。流行しているのは「A型」で、「新型」かどうか聞かれることがありますが、それ以上の検査は施行しておりません。全国のウイルス検出状況によると11月の時点ではほとんどがA/H1N1pdm(いわゆる新型)となっています。ただし、季節性のA香港型も検出されはじめていますので、混合流行になれば区別はつかなくなります。

 10月最終週にいったんピークとなり、2週連続で減少してから再度増加しているのは、近隣の小中学校で休校や閉鎖処置がとられたことによるものと考えられます。感染者が子どもの3割~半数に達すると急速に減ってくるはずですが、この調子だと年明けまで続くかもしれません。

 例年、この時期に多発するウイルス性胃腸炎(初冬のノロウイルス、真冬のロタウイルス)は増加傾向ですが目立ちません。数字には出てこないRSウイルスなどの乳幼児で咳がひどくなるタイプもみられていますが多くありません。
(院内報より)

※グラフは定点医療機関あたりの患者数。
「八戸」は八戸保健所管内(八戸市+三戸郡+おいらせ町)。
当院(くば小児科クリニック)も定点医療機関になっております。グラフを差し替えました(11/28)。今週(第48週)は46名で、この流行中最高となっております。

八戸では第44週(10月最終週)、第47週ともに30人に達しなかったため警報ではなく注意報に留まっていますが、第44週のときに「独自判断」で警報を発令した後、先週今週も警報レベルを超える状況が続いていて、まだピークを過ぎたとは言えないようです。

新型インフルエンザワクチンの「副作用」は?

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
 これまでの情報によると、接種を受けた約450万人のうち、重い副作用は68人(0.002%)で、昨年度の季節性ワクチンでの0.0003%より頻度は高め。接種後の死亡例は21人で、全員が持病のある50~90代の男女で、小児の死亡例はないようです。

 この点について「接種と死亡が偶発的に重なった可能性は否定できない。因果関係が評価できないものもあるが、大部分は持病の悪化などによる死亡の可能性が高く、ワクチンに安全上の明確な問題があるとは考えにくい」と判断しているとのことです。

 輸入ワクチンについては一部のワクチンが接種中止されたという情報もあり、予定通りの量で輸入、接種されるかどうか不確定要素が大きいようです。
(院内報より)

新型インフルエンザワクチン こんな疑問?

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
◎ 1回? 2回? 同時接種?
 行政、報道の混乱がありましたが、1歳~小学生は2回。中高生も2回(今後1回でも可という判断がなされる可能性がありますが、入手可能なら2回で)。季節性と新型の同時接種は可能ですが、新型輸入ワクチンと季節性の同時接種はできないことになっています。 MRなど他のワクチンとの同時接種も可能ではありますが、実際には1週間あけて接種してもらっています。

◎ インフルエンザに罹った場合は?
 検査でインフルエンザA型が確定した子については接種は不要です。検査陰性で「インフルエンザの疑い」と言われた子については、大きな子ではインフルエンザがほぼ確実な場合が多いのですが、年齢が小さくなるほど不明確になります。いずれも希望の場合は接種は可能です。

◎ 来年も接種が必要?
 まだ情報はありませんが、現在の「新型」が「季節性」となって組み込まれる見込みで、今年のように4回接種ではなく例年通り2回で済むはずです。
(院内報より)

新型インフルエンザ情報 あれこれ2

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
◎ これまでに罹った子の症状や様子から
 当院に通院している子では、喘息発作が誘発された子はいますが入院するほどの重症例はなく、ほとんどの子は例年のインフルエンザよりも軽症で済んでいる印象です。八戸市小児科医会での情報では、市内で重症化した3例の喘息患者が報告されましたが、全例1週間以内に退院できたとのことです。3例とも軽症の喘息患者でしたが、発症初期に呼吸困難が急速に進行したようです。

◎ 全国での重症例や死亡例から
 全国的には、幼児~小学校低学年を中心に脳症が132例報告されていますが、その83%は治癒・軽快し、後遺症は12%、死亡例は5%とのことです。
 すでに感染者は全国で1千万人を大きく超えているものと推測され、市内の学校では3割以上感染したところも出ています。全国では7月下旬から11月中旬までの受診者は推計で約900万人。入院患者は約7700人、うち345人が重症化、65人が死亡。受診者の1200人に1人が入院し、14万人に1人が死亡した計算になります。死亡率は0.001%未満で、当初予想された0.5%の500分の1以下ですが、子どもの重症化については今後も注意が必要です。

◎ 治療は?
 現在、「重症化予防」の目的でほぼ全例に抗インフルエンザ薬のタミフルかリレンザを処方しています。漢方薬の麻黄湯も効果が期待できることから殆どの子に併用しています。タミフルのドライシロップが品切れのため、カプセルの中身を甘くして処方する場合がありますが、少し飲みにくくなるようです。

◎ 子どもから大人への感染は少ない
 全国的に、小児科医や医療関係者の発症は非常に少なく、家族の中でも兄弟姉妹には感染しても親や祖父母への感染は少ないようです。これまで、90歳以上でなければ免疫はないとされていましたが、昨年までの「季節性」の感染による交差免疫で、ある程度の免疫があるのではないかと推測されています。

◎ 感染者の家族・きょうだいの休校・休業は不要!
 本人の症状次第です。
(院内報より)

インフルエンザ予防接種予約&実施中 1歳~高校生まで

2009年11月25日 | 新型インフルエンザ
「季節性」インフルエンザについては予約を終了し、キャンセル待ちだけになっております。「新型」については行政の混乱が続いていますが、当院では1歳~高校生までの全ての子どもの予約を受け付けており、入荷次第、順次接種していくことにしております。報道されているスケジュールはあまり気にしないで結構です。6ヶ月以降のゼロ歳児については接種の見込みがたっていません。ゼロ歳児の保護者はその次に接種可能ですので予約をお受けしております。「集団接種実施」との報道もありましたが、「各医療機関における接種」になるはずです(未定)。現場の状況が理解できていない行政、医師会、マスコミが混乱を助長して、一般の方が惑わされているというのが実態と言えます。

小児への新型ワクチン接種「前倒し」 今頃になって何を

2009年11月07日 | 新型インフルエンザ
#こんなわかりきったことを今頃言われても。。机上の空論を並べ立てて「スケジュール」(子どもの夏休みの予定表みたいなもの)を作っていたのはどこの誰なのか。何があっても自らの誤りを認めようとしないのが官僚組織で、政権交代があってもそれは変わりない。。

小児への新型ワクチン接種「前倒し検討を」 厚労省通知 2009年11月6日21時49分
http://www.asahi.com/national/update/1106/TKY200911060408.html

 厚生労働省は6日、新型の豚インフルエンザのワクチンについて、健康な小児への接種時期を前倒しするよう検討を求める通知を都道府県あてに出した、と発表した。1~6歳の幼児や小学1~3年の児童に対して、「12月前半」や「12月中旬から」としていた接種開始を「11月中旬から」に早めるよう求めた。

 また、12月前半を予定していた基礎疾患(持病)のある9~15歳の子どもの接種も、同様に11月中旬への前倒しの検討を求めた。

 足立信也政務官が同日夜、記者会見で明らかにした。前倒しを求める理由について、14歳以下の重症患者の発生率が他の世代より高い点や、6日に3回目のワクチン出荷が始まったことをあげた。

 ただ、持病のある人や妊婦らの接種回数は「当面2回」とされ、1回か2回かの正式決定は臨床試験の結果が出る11月中旬~12月下旬の見込み。仮に接種が1回になれば、ワクチンの量に余裕も出てくるが、そうしたことがないまま都道府県が小児への前倒しを決められるかは不透明だ。足立政務官は「ワクチンの流通・在庫状況を把握した上で可能であれば対応をお願いしたい」と求めた。

 また、接種を求める小児が医療機関に殺到する事態もあり得るため、多くに接種しやすい場所として、保健センターや保健所の活用を検討することも都道府県に求めた。

 優先対象者への接種がスケジュールに基づき10月中旬から始まっているが、健康な小児への接種前倒しの動きは東京都や大阪府などで進んでいる。足立政務官は「従来の実施要項の範囲内の対応で、接種順位の入れ替えをするわけではない」としている。

 小児へのワクチン接種前倒しは、日本小児科学会などが、早期の接種を求める要望書を厚労省に出していた。