踊る小児科医のblog

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丸山眞男「常に精神の冒険をし、常に疑い、全部相対化し、いろんな角度から検証する」

2014年09月01日 | 政治・行政
丸山眞男「常に精神の冒険をしなければならない。正しいと思っていることを常に疑い、冒険に出して、無事に乗り越えて帰ってこれるかどうか。全部相対化し、その人の中に入り込みながら、絶対視するのではなく、いろんな角度から検証するという学問態度…」(江田五月氏)

NHK 戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか
2014年度「知の巨人たち」 7月19日(土)
第3回 民主主義を求めて 政治学者 丸山眞男
http://www.nhk.or.jp/postwar/program/past/

「日本に内発的なデモクラシーの萌芽があったんだと言いたい気持ちは非常に強かったんですよね。占領軍から押しつけられたものじゃないという気持ちが明治の精神の中にもあったんだと、福沢とか持ってきてですね…」

「政治に対して無関心、嫌悪の支配するところでは、民主政治の実質が否定され、政治家は独裁化し、ボス化する。独裁者は民主主義の敵であり、政治は形骸化される。民主主義の実態は、プロセスを重視するのである。討論が重視されるのである。権力に対して常に問いかけること、問い続けることである」

「永久革命は、ただ民主主義についてのみ語りうる。民主主義は制度としてでなく、プロセスとして、永遠の運動としてのみ現実的なのである」

江田五月氏「丸山(眞男)先生から言われたことで思い出すのは、常に精神の冒険をしなければならない。自分はこれが正しいと思っていることを常に疑って、これを冒険に出して、無事に冒険を乗り越えて帰ってこれるかどうか。そういう意味で、この人は素晴らしいとかいう話じゃなくて、それを全部相対化して、その人の中に入り込みながら、しかしそれを絶対視するのではなくて、いろんな角度から検証するという学問態度というのをずっと持ってこられたんで…」

(若者がこの(当たり前ともいえる)言葉に耳を傾けることはあるのだろうか…私自身、丸山眞男は名前は知っていても著作を読んだこともありませんでしたが)

江田氏「戦後民主主義は虚妄だと、建前だけで薄っぺらなものだという説もあるけれど、それでも戦後民主主義の虚妄に賭ける、虚妄だと言われながらこれしかない、スカスカの民主主義ではあっても、もっともっと内実を充実させていく努力をしなきゃいけない。そんなに、民主主義をさらさらっと勉強して、さらさらっと捨て去って、民主主義は駄目ねなんて、そういうものではないでしょう。かなり骨太の民主主義者だった」

「今日でも新たに原爆症の患者が生まれている。長期患者あるいは二世の被爆者が、今日でも白血病で死んでいる。日々起こっている。毎日、原爆は落ちている。広島は毎日起こっている。毎日新しく、毎日我々に、問題を突きつけている」丸山氏も被爆者だったことを初めて公表

「何か日本はおかしいところがある。一番、世間を騒がしたのはオウム真理教ですね。あれが非常に変わったもの、自分たちと縁が無い、どうしてあんなのが生まれたのかと、思う方が少なくないようですけど、私はひと事と思えません。一言にしていえば、私の青年時代、日本中がオウム真理教だったのではないか。そうすると、非常によく思い当たる。一歩日本の外に出れば全然通じない理屈が、日本の中でだけ堂々と通用している。それ以外の議論は、耳にもしないし問題にしない」

(私はオウム幹部と同世代であり彼らと私と何が違ったのかかなり突き詰めて考えたし、縁遠いなどとは思えなかった。村上春樹氏と河合隼雄氏の対談本でも取りあげられている)

「最後に理屈を言いますならば、他者感覚のなさということなんです。他者がいないんです。同じ仲間とばかり話していますから、その怖さです」
(この「怖さ」がいま現実に吹き荒れている事態)

江田五月氏「自分自身が正しいと思っていることを常に疑ってみる、相対化する。そしてその自分自身が正しいと思っているものに対抗する。自分と意見が違う、その自分と意見の違うものをどれだけ自分が内在的に理解するか。その上で自分の意見と内在的に理解した他者の意見とを、自分の中でぶつけ合わせてみることによって、思想の発展が出てくる。これは非常に(丸山から)教わったことですね。今現実の政治の中でそういうようなことが、あまりにもちょっと足りないという感じはしてまして、多数を持っている人たちも、自分の考えに、あぐらをかくんじゃなくて、少数、あるいは自分と違う他者への、いっぺん共感してみようという思いを持って、お互いの討論をすると、少数の方も同じことは言えるわけですけどね、そういうことがないと、次のステージにのぼっていくことがなかなかできない」

「もし「永久革命」という言葉に意味があるとしたら、民主主義だけが永久革命という名で呼ばれるに値する。世界中どこも民主化を完了した国はない。これから永久に革命していかなければならない。あらゆる国は民主化の過程にある」