熊本熊的日常

日常生活についての雑記

至福の時

2009年06月23日 | Weblog
午前4時54分、仙台に着く。札幌を出発した北斗星が本州に入って最初に停車する駅だ。乗降客がいるのかいないのかわからないが、車窓の外に見えるホームの様子からは人の気配というものが感じられない。まだ眠いので寝床に戻る。

午前6時頃、車掌が向かいの10番の客を起こす声で目が覚める。その客は郡山で下車するようだ。外はもう明るいが、曇天なのでさわやかな明るさではない。郡山到着は午前6時38分。もう世の中は活動を始めている。隣に停車中の列車には、かなり客が乗っているし、ホーム上の往来も活発だ。郡山を出発すると、沿線には人の生活が動き始めているという雰囲気が広がっている。時に、列車に向かってカメラを構えている人の姿も現れる。趣味なのか仕事なのかわからないが、朝早くからご苦労なことだ。

氏家を通過するあたりからカメラを構えた人の姿が見えなくなる。列車が格好良く見える場所というのがあるのだろう。ということは、あのカメラオヤジたちは地元の人々ではなく、遠くから写真を撮るためにやって来たということなのだろうか。

写真を撮りにどこかへ出かける、というのと、どこかへ出かけたついでに写真を撮る、というのとでは大きな違いだ。意識や目的が違っていても撮れた写真の出来映えが同じということもあるだろう。写真に限らず、全力を尽くしたけれども力及ばず、ということもあれば、偶然に大きな収穫を得ることもある。それが人生の面白いところでもあるように思う。

ちなみに、カメラオヤジは大宮を過ぎると再び出現する。まず大宮駅のホームに大勢いる。特に東北線や高崎線のホームの東京寄りの端に多い。王子近辺では家の屋根の上に三脚を構えている人もいた。昨今は不景気とかで、世の中には嫌なニュースが多いように感じるが、平日の午前9時台に鉄道写真を撮っている人が大勢いるというのは、世の中が平和である証左だろう。

そんなことを考えながら、寝台でゴロゴロして、ぼぉっと車窓の景色を眺めているのは楽しい。こういうのを至福の時と呼ぶのだろう。

札幌駅で乗り遅れた客がいて、そいつが北斗星の約1時間後に札幌駅を発車する特急北斗20号で函館に向かっているという。札幌出発は61分後なのに函館到着は北斗星の出発予定時刻の7分後になる。「星」が付くのと付かないのとでは平均速度にかなりの違いがあるようだ。北斗のほうには、この北斗星の客が乗車しているから少し急いだのか、時刻表の上での7分の違いが、実際には4分まで短縮されている。確かめたわけではないが、車内放送によれば、この北斗星はそいつを函館で待っていた所為で、函館出発が定刻より4分遅れたとのことだった。函館出発は少し遅れたが、仙台に着くまでに挽回し、本州に入ってからはどの駅にも定刻通り着発した。終点上野には定刻通り午前9時38分に到着した。

この後、一旦、住処に戻り、荷物を置いて陶芸の道具を持ち、すぐに陶芸教室へ向かう。普段通りに午前10時半から午後1時まで作業。今日は鉢の削りだ。なんでもないありふれた形の鉢なのに、厚さが思うように決まらず作業はイメージしているよりも遅れている。その後、教室近くの百貨店の地下でたこ焼きとサンドイッチを買って住処へ戻る。

住処では買って帰ってきた昼飯をいただき、シャワーを浴び、洗濯をする。身支度を整えてから出勤。普段通りに仕事をして、帰宅して家計簿をつけ、メールをチェックしたりネットを眺めたりして、一日が終わる。