熊本熊的日常

日常生活についての雑記

愛撫

2009年09月24日 | Weblog
昨日、木工教室から完成したゴミ箱を持ち帰ってきた。このゴミ箱については8月2日付「物欲」と8月26日付「季節」で触れており、これがこのブログでの3回目の登場である。思いの外に満足できる仕上がりで、こういうものを身近に置いて使う生活というのはつくづく良いものだと感じている。

勿論、素人が作ったのだから、難癖はいくらでもつけることができる。底板と側板との継ぎ目に隙間があるとか、製作中についた傷があるとか、接着剤の拭き取りが不十分なところがある、表面のヤスリがけに斑がある、など、数え上げればきりがない。しかし、そうした難点が一切取るに足りないものに思われるほど全体の佇まいが素晴らしい。

なんといっても杉の木目が美しい。この木目については8月26日の「季節」のなかで語っているので、ここではもう書かない。ただ、どうしても付け加えておきたいのは、肌触りの気持ち良さである。夏材と冬材との硬度の違いと、そのリズミカルな繰り返しによって、表面の撫でたときの感触が、まるで人肌のようなのである。こんな家具や雑貨が世の中に他にあるだろうかと思えるほどの素晴らしい感触だ。家具や調度品を撫でて愛でるというのは、あまり一般的なことではないだろうが、心惹かれるものを前にすれば、それに触れてみたくなるのは自然なことだろう。それは相手が静物であっても生物であっても同じことだ。

このゴミ箱の反省点としては、ヤスリがけの斑である。見た目にはわからないが、撫でたときに気になる。現在製作中の木工品は、自分が作った陶器を収める桐の箱である。これは表面にオイルや塗料を塗らないので、ヤスリがけだけで、持った時に気持ちのよいようなものにしたい。