熊本レポート

文字の裏に事件あり

化血研の内部告発を聞き流した責任

2015-12-06 | ブログ

 80年代、血液製剤にエイズウィルスが混入し、1400人以上が感染した薬害訴訟。その被告席に立たされた化血研は、96年の和解の際に「安全な医薬品を供給する義務のあることを深く自覚し、悲惨な現実を再び発生させないよう最大の努力を重ねる」と確認書を原告団と交わした。
 ところが当時、「製造方法にも問題」という話が追って漏れ出てきたことを記憶する。その時、マスコミはHIV訴訟の和解で一息ついたところで、また同財団が地元では超優良事業所で、熊本大学医学部と極めて密接な関係にもあったことで、「化血研も被害者」という認識まではなかったにしても、そうした過信から同情報を聞き流し、見落とした。
 その結果、今回の「国の承認書と異なる方法での血液製剤の製造と40年間にも及ぶ同隠蔽」であり、その切っ掛けとなった内部告発への責任を考えると、出て来るのは過信による過失への後悔。
 空港拡張に基づく移転問題に絡んで、ゴルフ場跡地の土地転がしが浮上。その確認に入ると該当自治体だけならともかく、当時の運輸省まで、当初からの計画地における「2年にも及ぶ環境、アセス調査」を理由にして新情報を完全否定。だが、それから3年後、同着工に入ったのは漏れ出て見逃した噂の場所。
 汚点を重ねて、それで納得していく基本の反省では済まされぬのは当然である。
 もちろん、現在のサラリーマン化した記者らが、漏れ出てきた小さな情報を見逃さず、それを追跡、調査取材して、闇の中から悪を引き出せるかとなると、彼らには極めて巨大な疑問符が打たれる。
「君もしくは君の仲間が殺されようと一切、当局は関知しない」
 こうしたスパイ大作戦並みの指令を覚悟して、検察の金庫破りでもするくらいの意気込みがなければ、新聞は衰退の一途を辿るといえば、己の悔いから出る愚痴の一つであろうか・・・。


親の心子知らずか益城町建設業協会・第1回

2015-12-06 | ブログ

 大方の市民は懐に手を捩じ込まれて金が奪われない限り、役所を介した税金の行方には語られるほどの関心はない。だが納めた税金から子牛1頭の競り値に100万円が農家には加算されるとか、隣のサラリーマン家庭には4ヶ月毎に100万円の補助金が支給されたと話を替えると、その恩恵に授かれないあなたは不平等、不承諾だと一揆でも起こすだろうか。テーブルのみかんに手を伸ばし、その皮を剥きながら「運が悪い」と独り言が精一杯では、ここから先は目を閉じて頂くのが無難。
 町議会議員は明日に向けての議員提案の具体化で、執行のチェックなど余裕が見られないのか、益城町から「建設業界では目に余るほど談合、丸投げが横行」という声が届いた。大手ゼネコンの「脱談合宣言」から10年、大方の自治体が指名競争入札から公募型の一般競争入札に切り替え、「業界談合」は姿を消したかのように思われるが、今もしぶとく存在する地域は確かに存在。
 業界協調、公平な分配と日本の文化で美化する声もあるが、「入札価格が操作されて高い価格での落札となり、税金の無駄を生む」というのが談合否定の理由。仮に1回の談合で100万円の無駄が発生すると、その30回で市民の納めた税金3000万円が地域的に活きなかったとなる。
 一方、『丸投げの禁止(建設業法第22条…一括下請負の禁止)』は「工事価格の中間搾取を助長し、公共工事を巡って政治家、発注者、建設業者のもたれ合構図を生む。施工責任が曖昧になることで、手抜き工事や労働条件の悪化にも繋がり、業界の健全な発展を阻む」というのが禁止の理由。そもそも「何も仕事をしないで(現場に資格技術者を置いているだけでは正当な下請発注とはならない)、手数料を搾取する」という不良建設業者の輩出は市民、発注者への侮辱行為、いや反社会的な行為。
 益城町の建設業者の中には雇用従事者(雇用形態)の存在しない業者が存在していて、この建設業許可について「技能技術者(代表)がいて、それ相当の前年実績を有していたら許可対象」と熊本県土木部監理課は見解。「公共工事の発注となると、該当自治体(益城町)の法的、倫理的問題」と実務の関与を避けたが4月、その熊本県が河川改良工事で自ら関与(4月8日号)。この時、河川課は「縦割り行政が生んだミス」と責任転嫁で逃げたが、同22条違反の罰則規定(施工量から除外)だけは回避も無理で、同監理課の経営審査が注目される。
 下記の開札調書は10月7日、益城町で実施された飯野汚水枝線管渠築造(1、2工区)工事の入札結果。「予定価格が事前発表されているにも拘わらず、入札率99%とは、そもそも落札を目的にした競争入札の意思にあったのか」、「最低制限価格までの間隔10%まで札無しとは偶然か」と笑い声が聞こえて来そうだが、ここで「談合、丸投げ」を断定するつもりはない。だが、議員提案に多忙な町議員に代わり、町民の協力を得ながら過去の施工計画等を検証、それを関係資料と照合しながら後三回において、勇気ある内部告発に真摯に応えなければならない・・・。