熊本レポート

文字の裏に事件あり

豊洲問題よりもダーティな熊本県の採石行政 第5-5回。

2016-12-05 | ブログ
 急激な斜面の地肌を晒した未整備の採石場跡地を指して、地元民は「山菜採りにも上がれなくなった」と嘆いた。ところが該当地の山鹿市は、これについて「県(産業支援課)から『原状復帰に整備完了』と報告を受けたのですが、まだ未整備ですか…」と頼りない言葉を返して来た。
 確認を怠り、虚偽の報告をして来た熊本県もそうだが、それを確認抜きに鵜呑みにした山鹿市もまた、住民側にあるべき自治の危うい現実を見せてくれたのである。
 もちろん、自己責任とされる採石業者が主犯なんだが、ここは熊本県砕石業組合連合会長である古賀克巳氏(西日本建設工業代表・山鹿市鹿北町芋生)の地元。
 同市には久原に総面積775000平方メートル(サッカー場で95個分)を誇る西日本土木(大分県豊後高田市)の採石場もあって、ここは「ショベルでも掘れる(硬度に問題)採石が多い」と言われる中、「密度3の高品質採石を生産」と評価されるが、古賀会長の西日本建設工業と同社とは法人として異なる。ちなみに古賀会長も佐賀県の出身で、山鹿市の国道3号線沿いの砕石通りは県外出身者によって開発されたといえる。
 ところで問題の未整備跡地は、傾斜75度で盛り土してはあるが、それが「砂糖を積み上げた感じで放置」(地元民談)とあっては、大雨にでもなったら明らかに土差崩れがここには懸念される。山鹿市は「県の管轄下で、その県が『整備完了』と結論」と応えたが、地元住民は「危険で近寄れないどころか二次災害が懸念される」と不安を訴える。
 前代未聞の3億5000万円もの補償費を支払って、国立公園内の採石場を終掘させたと見せ掛け、そこを廃棄物の中間施設に衣替えさせたり、住民から防災面での問題が提起されても棚上げして、その結果で震災による大崩壊、大水害による被害が生じても「自己責任なし」では自治行政の存在価値が明らかに問われる。
 島の西半分が削り取られて放置された国立公園内の高杢島、そして国立公園から除外してまで採石場を優先していて、その御所浦東南部の漁業振興にも壁となっている未整備跡地。
 豊洲問題は密室で推進された結果といわれるが、自然公園法や砂防法、採石法、景観条例等の法律はともかく、この熊本県における採石行政の現実を県民の何人が承知しているであろうか…。