熊本レポート

文字の裏に事件あり

読みやすい熊本県議補欠選挙と見えづらい熊本県漁業連合会長選挙

2018-06-29 | ブログ

 信頼を欠く政治家はもちろん、そうした政治腐敗の批判に終始し、期待される政治の改善が一向にできない政治家も「無用」だとする大学教授らの「落選運動」が注目され、来年の統一地方選挙に向けて各地の野党議員も戦々恐々にある。
 そこまでの9ヶ月間の議席を巡って、村上寅美氏の死去に伴って熊本県議会議員の補欠選挙が、熊本市第2選挙区(定員2名・7月22日)では行われる。13日の告示に向けて出馬に名乗りを挙げたのは元職の井手順雄氏(58歳)と新人で故村上県議の秘書を務めていた竹﨑和虎氏(44歳・竹﨑芦北町長の子息・林田威元代議士元秘書)、それに共産党の益田牧子さん(68歳)の3人。
 自民党熊本県連(前川收会長)は「2議席確保に党をあげて戦う」と6月21日、井手氏と竹﨑氏の2人を公認候補としたが、考えづらい法定得票はあっても投票率5パーセント以下でもならない限り、2人の当選は確定と想定される。
 ところで、この両氏だが反野田(野田毅代議士)、非野田の候補。そこで野田派市議、市民からは「野田支持」の踏み絵が出された。それでは野田派自らの候補はとなるが、そこは来年の統一選挙を考えれば、それは現職で満杯の試算。
 9ヶ月の県政か、それとも4年先以上を見据えた県政かを考えると答えは簡単なのだが、表上の礼儀は当然。その政治家同士の約束ごとは守られた試しがないとなると、第三者の興味は投票率だけということになる熊本県議補選の熊本市第2区。
 ところで低調ムードのこの県議補選に比べ、その裏で火に油を注ぐように過熱化する一方なのが、熊本県漁業協同組合連合会(熊本市西区中原町656番地)の会長選挙。
 熊本県における海の男(もちろん関係する女性も含む)らを代表するのは誰か、という単純な選挙に考えがちだが、海の資源保護はもちろん、湾岸道路、架橋建設、それに河口に堆積した砂の改善事業まで深く関与となると、その選挙に舟を係留してでも駆け付けるのは当然(H24年には4ヶ月天下も経験)。
 この6月末の会長選挙では現会長の上田浩次氏(熊本北部漁業協同組合長・長洲町)と、川口漁業協同組合長(熊本市)の藤森隆美氏との一騎討ちと想定されて、県内漁協長の間で票読み、巻き返し策が練られていたが、何と現会長の上田氏が第1部会(荒尾、玉名市地区)の理事候補選挙で落選(5月26日)するという事態となって、これを不服とした上田氏が訴え出て現在、会長選挙は紛糾、混迷の状況。
 県漁連の会長選挙は、地域別の6部会がまず各1~2人の理事候補を選出。そして、その選出された候補の中から役員推薦会議で8人の理事が決められ、今度は総会によって、その理事の中から会長を選出するという方式。
 話を戻すと、第1部会の理事候補2人を選ぶ選挙では上田氏と滑石漁協の橋本孝組合長、それに荒尾漁協の組合長を務める矢野浩治組合長の3人が立候補。
 投票方式は漁協2票ずつの複票方式(自己名投票+相互信頼準票)なのだが、上田氏を推す2漁協が2票とも同氏の名前を記入した結果、3候補が4票で並んだ。この結果、第1部会は上田氏の得票は2票と判断し、4票を獲得した橋本、矢野両氏を理事候補として推薦。
 第1部会の部会長を務める橋本氏は、「2票に同一名前を記入しないと、それは事前に何度も確認した」と語り、一方の不服とする上田氏は「投票前に1票制や同一名記入を認めるように訴えた」と主張。
 役員推薦会議は、現会長(上田氏)に召集権があって、こうした状況から会長選挙の日程は未だ決まっていない。
 森林組合はもちろん、農業協同組合でも想定されない程の権益、また背景の代議士派閥、そして捕る魚より期間はどうあれ栽培の貝類、海苔等の収益割合が極めて大きい現在の漁協を考えると、こうした争いも想定内だが、それだけに第三者には、自ら覗けばワールドカップに準ずる興味ある熊本県漁業協同組合連合会の会長選挙・・・。