万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連の欺瞞

2009年07月11日 15時13分27秒 | 国際政治
露「2島交渉」を明言 領土固定化へ圧力(産経新聞) - goo ニュース
 中国によるチベットや東トルキスタンの侵略とロシアによる北方領土の占領には、一つの共通点があります。それは、これらの問題では、国連の常任理事国が当事者であるということです。

 国連の最初の構想は、常任理事国五か国が”世界の警察官”となって、侵略行為を取り締まるというものでした。しかしながら、当時のソ連邦は、ヨーロッパでも既にバルト三国などの侵略と占領に手を染めていましたし、日本国に対しても、北方領土の占領という侵略行為を働いていました。中国もまた、国際社会の混乱に乗じて、目立たぬようにチベットと東トルキスタンを侵略していたのです。侵略行為を行った当事国が、”世界の警察官”となるに相応しいはずもありません。中華人民共和国が国連の加盟国になるのは1971年8月のことですが、現在の中国共産党政権は、侵略行為の当の本人です。ソ連邦崩壊後に成立したロシア共和国もまた、先行国のソ連邦を承継していますので、やはり当事者であると言えます。

 戦後、国連は、西側諸国からの植民地独立には支援の姿勢を示してきましたが、過去の侵略、それも、”東側”の常任理事国による新たな”植民地支配”に対しては関心を払おうとはしませんでした(むしろ、常任理事国の地位にあることが、国際社会がこれらの問題に容易に触れられないようにし、侵略行為に隠れ蓑を与えている・・・)。国連の欺瞞とダブルスタンダードがチベットやウィグルの人々を苦しめているとしますと、それは、国際社会の正義にも、法にも反していると思うのです。

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コメント (2)
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