万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

女性優遇のパラドックス

2009年07月24日 16時06分36秒 | 社会
女性差別解消で国内法不備=慰安婦問題でも日本批判-国連委(時事通信) - goo ニュース
 国連の女性差別撤廃委員会では、日本国に対する非難が相次いだと報じられています。日本政府は、各分野での女性登用の”数値目標”を掲げた第2次男女共同参画基本計画を説明したそうですが、この数値目標方式は、果たして狙い通りの効果を上げることができるのでしょうか。

 マイノリティーの人々に枠を設けるという方式は、”アファーマティヴアクション”と呼ばれ、これまで、アメリカなどで、リベラル派が積極的に推進してきた手法です。一見、男女の平等化に貢献しそうにも見えるのですが、この方法には、隠れたパラドックスがあると思うのです。それは、枠を設けると、人事権を握った人物の権力が強まってしまうことです。もし、この権力を行使するポストに就いている人物が男性であるとしますと、この男性に取り入り、媚びる女性が枠を獲得することになり、狙いとは反対に、男性優位の社会が強化される可能性もあります。つまり、枠によってポストを得た女性幹部は、男性にとって都合のよい女性達で固められてしまうかもしれません。

 この方法ですと、数字の上では女性の地位が向上したように見えますが、量ではなく質から判断しますと、必ずしも男女が平等なのではなく、むしろ、実力派の女性が排除されてしまします。数合わせよりも、評価における男女の平等を目指すべきなのではないか、と思うのです。

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コメント (1)
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