万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランの”タリバン化”は悪夢

2009年07月31日 15時08分45秒 | 中近東
デモ死者追悼に2000人 イラン、参加者10人拘束か(産経新聞) - goo ニュース
 デモで亡くなった方々の追悼式までも力で粉砕しようとしたとしますと、イランの強硬派は、全く慈悲の心も寛容の精神をも失っているようです。これというのも、権力の維持のためなのでしょうが、イランがタリバン化することは、人類の悪夢なのではないかと思うのです。

 世界地図を見ればすぐ分かるように、イランとアフガニスタンとは国境を接しています。原理主義者であるタリバンが民主主義を頭から否定している一方で、イランは、イスラム体制における民主主義を追求したことにおいて、両者の間で明確な相違がありました。しかしながら、アハマディネジャド大統領の登場以降、イランの民主主義も雲行きが怪しくなり、イラン情勢は一進一退のせめぎ合いを繰り返しているようです。もし、強硬派が改革派を排除して強権体制を確立するとしますと、イランはタリバン化の様相を呈するかもしれません。それは、アフガニスタンにも悪影響を与え、西側諸国との関係は、さらに悪化の一途を辿ることになりましょう。

 イランの核兵器の開発は決定的な意味を持つことになりますし、西アジアでの緊張の高まりは、中東の不安定化にまで波及する可能性もあります。良識あるイランの人々が、イスラムの名誉のためにも、自国の”タリバン化”を防いでいただきたいと思うのです。

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