万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アフリカ諸国は人道を高く掲げよ

2011年06月03日 11時18分49秒 | 国際政治
子ども売買目的、少女32人を妊娠させる ナイジェリア(朝日新聞) - goo ニュース
 大航海時代の到来は、新たに開かれた航路を通して世界が繋がると共に、その航路を奴隷船が行き来するという、暗い一面を持つ時代でもありました。奴隷の多くは、西欧諸国の植民地において、プランテーションの労働力として使役されたため、アフリカ諸国は、今でも、西欧諸国に対して、奴隷売買を過去の汚点として厳しく批判しています。

 こうした歴史を振り返れば、アフリカ諸国は、心底から奴隷制を嫌悪し、とうに撲滅しているはずなのですが、驚くべきことに、ナイジェリアにおいて、人身売買を目的とした”赤ちゃん工場”が摘発されたというのです。これは、まさに現代版の奴隷売買に他なりません。19世紀以降、各国において漸次に奴隷制が廃止され、ようやく地球上から消えたものと思われた矢先に、奴隷貿易の被害者であったはずのアフリカ諸国から奴隷制が再び出現するとしますと、これは、人道の危機であり、忌まわしい事件です。

 当時にあっても、アフリカの現地にも奴隷制があり、その売買には首長やイスラム商人が関わっていたとも指摘されています。アフリカ諸国は、他者を批難しても、自らの内部にもあった奴隷の問題を直視してこなかったことが、こうした事件の土壌となっているのかもしれません。二度とこうした事件が起きないよう、アフリカ諸国は、自国民のために、人道を高く掲げるべきであると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする