万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

再生エネ法―日本国の電力事業の市場開放策か

2011年06月25日 15時41分41秒 | 日本政治
8月に脱原発解散?政権の延命材料に使われる 再生エネ法の失われゆく大義とそもそもの問題点【岸博幸コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 菅首相とソフトバンクの孫氏との私的な癒着が明るみになるにつれて、再生エネ法に対する国民の警戒心が強まっているようです。権力の私物化と利益誘導の問題に加えて、本法案には、さらなる問題点があると思うのです。

 本日の日経新聞の記事に、中国の風力発電会社の近況に関する記事が掲載されていました。電力事業の拡大を予測してメーカーが大幅な増産をした結果、供給過剰となり、外国に販路を求めているという内容です。もちろん、我が国への売り込みも既に始まっており、中国企業が国内の小型風力発電メーカーと組んで、北海道の石狩市で風力発電所を建設する計画もあるそうです。発電電力は、北海道電力に売却するとのことですが、ここから読み取れる展開は、再生エネ法案が成立した途端に、全国に風力や大規模太陽光といった発電設備が乱立し、しかも、それは、日本製品ではなく、価格の安い外国製品であるということです。現状では、風力発電の設備の日中間の価格差は二倍ほどもあり、日本企業が、価格競争に打ち勝つことは難しそうです。

 この計画では、日中共同出資の事業会社を新たに設立するとのことですが、結局、再生エネ法案は、外国への電力事業の開放を促進する、という結果となるのではないでしょうか。しかも、自国の産業と日本国民の負担の下で。加えて、自国の自然エネルギー産業や技術を育てることにもならないのですから、再生エネ法案は、デメリットばかりなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする