万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

どちらに転んでも安泰を目論む菅首相

2011年06月28日 15時33分45秒 | 日本政治
退陣条件「2次補正・2法案成立がメド」首相(読売新聞) - goo ニュース
 首相の退陣問題は、懸念された通り、条件闘争に持ち込まれてしまったようです。これで、菅首相は、震災対応時の重大な失政を誤魔化すことができたのですが、首相の政治手法の狡猾さには驚くばかりです。

 結局、菅首相は、退陣に条件を付けることで、どちらに転んでも自らの地位を安泰な立場に置くことに成功しています。2次補正、特例公債法、再生エネ法の三法案が可決されれば、退陣しても莫大な再生エネ利権が転がり込みますし、可決できなければできないで、首相を続投することができるのですから。そもそも、一国の首相が、自らの退陣に条件を付けること自体が間違っています。議院内閣制では、首相は議会に責任を負っているのですから、首相の進退問題は、あくまでも、国会における内閣不信任案の決議によるべきです。一時不再議の原則は慣例に過ぎませんし、両院における同一議案の審議を禁じた国会法第56条4の規定も、内閣不信任決議は衆議院に専属した権限ですので、当てはまりません。首相に対する不信任の提起の必要性は、時間の経過により変化しやすい性格がありますので、提出回数を一回に限定することにも合理性はありませんし、何もよりも、”慣例破り”を武器にしてきた首相を、律儀に”慣例”で守るべきではないと思うのです。

 首相は、どちらでもよいのですから、今後は、のらりくらりと、国民を生殺しにするような政治を続けてゆくことでしょう。そうして、再生エネ法が可決しますと、産業も国民生活も窮地に陥るのですから、国民は、どちらに転んでも不幸なのです。

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コメント (3)
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