万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

外国政府の”円高政策”に振り回される日本

2011年09月02日 15時05分21秒 | 日本経済
超円高長期化なら、企業46%が生産海外移転も(読売新聞) - goo ニュース
 本日の日経新聞の記事に、二つの円高に関する重要な記事が掲載されていました。これらの記事を読みますと、日本国が置かれている危機的な状況が理解できます。

 一つ目の記事は、超円高の原因の一つとして、海外の金融機関が、大量に短期日本国債を購入しているというものです。1月から8月の期間において、資金の流入額は、19.8兆円にも上っていると報じられています。中国といった新興国が、イギリスの金融機関を経由して、大量に購入しているようであり、恐らく、有り余る外貨準備の投資先を、アメリカ国債からの他の諸国の国債に移しているのでしょう。日本国債は、円建てで発行されていますので、為替市場では円買い取引が増え、円高が進むことになるのです。

 二つ目の記事は、韓国金融公社が、サムライ債(円建て外債)を発行するというものです。このサムライ債発行は、円の国際通貨化を評価するものではなく、ウォン高を抑える政策として実施されています。従来のように国内で外貨建て債券を発行すると、ウォンに交換する際にウォン高となるため、今年7月から、韓国政府は、この方法に制限を加えており、その結果、サムライ債の発効高が増加しているのです。今年1月から8月までの期間において、その額は、2450億円にのぼっており、もし、サムライ債購入のために外為市場で円調達が行われているとしますと、ここでも円高に振れることになります。

 外国政府は、外為市場への政府介入という直接的な手段のみならず、さまざまな手法を駆使して、”円高政策”を遂行しています。また、短期国債への外資流入は、円高のみならず、日本国のギリシャ化を招くことになりかねませんし、韓国政府のウォン安政策は、日本国の企業の競争力を削ぐことになります。外国政府が、”円高政策”に邁進しているのですから、日本国政府も、これまでのように怠慢を続けているようでは、産業の空洞化と国際競争力の低下を防ぐことはできないと思うのです。
 
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