万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

SMAP北京公演―意味深長な”世界に一つだけの花”

2011年09月16日 11時03分26秒 | アジア
SMAPは「日中関係の温度計」? 16日夜に北京公演(朝日新聞) - goo ニュース
 政府が音頭をとる”アイドル戦略”ほど怪しげなものもなく、中国政府による日本国のアイドル招待もまた、背後に政治的な思惑が潜んでいそうです。ところで、鳴り物入りで招待を受けたアイドルのSMAPは、温家宝首相の前で、”世界に一つだけの花”という歌を中国語で披露したそうですが、この選曲、なかなか意味深長なように思うのです。

 「世界に一つだけの花」を中国語に訳しますと、「世界上唯一的花」となるそうです。日本国では、この歌は、確か、それぞれの違った個性があってもよく、一人一人が世界において一つの花である、という意味で歌われていたと記憶しています。つまり、多様性のすばらしさをアピールした歌であり、それ故に、日本国内でも、この歌詞に込められている政治性や社会性が指摘されたものです。一方、中国政府は、「世界上唯一的花」を、日本語の歌詞と同様の意味で理解しているのか疑問です。「世界上唯一的花」を、もしかしますと、日本国とは逆に、”世界で唯一の花、それは、中国である”、と捉えているのではないかと推測するのです。”花”とは、”華”に通じ、歴史的には中国大陸の歴代王朝を指す言葉として使われてきました。そうでなければ、中国政府の首脳陣が、この歌を嬉しそうに聞き入るとは思えないのです(中国以外にも、様々な”花”があることは、中国にとっては受け入れ難いことかもしれない・・・)。

 「世界に一つだけの花」と「世界上唯一的花」。一つの歌に対する両国に解釈が正反対であるとしますと、それは、日中関係には、まだまだ深い溝があることを象徴しているのかもしれません。

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コメント (9)
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